不動産売買の流通事業をはじめ、開発分譲、リフォーム、住宅ローンなど不動産にまつわるサービスを幅広く展開する同社。関西エリアで12店舗の仲介部門を構え、新卒採用を中心とした組織づくりを進めています。

順調に店舗展開を進める一方で、現場では「顧客対応のブラックボックス化」という根深い問題を抱えていました。不動産売買において、初動の遅れは致命傷になります。月150件にも及ぶ問い合わせをいかに漏れなく対応し、若手社員のスキルアップに繋げるのか。関西の第1グループ責任者として6店舗を管轄する中戸氏に、現場が自走し始めるまでの軌跡を伺いました。

導入前の課題:月150件の反響。シフト休みの間に「他社へ流れる」という現実

不動産仲介の現場はスピードが命です。お客様の「買いたい・売りたい」という熱量が高いタイミングで連絡を返せるかが、成約を左右します。当時、店長として店舗を任されていた中戸氏は、顧客対応の仕組みに限界を感じていたと言います。

中戸氏:「私がいた店舗では、月にだいたい150件ぐらいの問い合わせがありました。それを担当に割り振るんですが、当社には定休日がないんです。担当者がシフトで休むので、どうしても担当者に紐付いてブラックボックス化すると困る事象がありました。お客様からのお問い合わせ内容が平日でないと確認できない時、担当が不在だと対応が遅れて、他社さんに行かれることもやっぱりあるんです」

さらに、不動産売買は契約後も、住宅ローンやリフォーム部門への引き継ぎなど、数ヶ月にわたって顧客とのやり取りが続きます。これまでは各店舗でOutlookを使用し、Googleカレンダーやスプレッドシートを組み合わせて「誰が次何をするか」を管理していましたが、限界を迎えており、全員で1組のお客様を漏れなく対応する仕組みが急務でした。

導入の決め手:とにかく現場のブラックボックスを解消したかった

新たなツール探しのきっかけは、日々の情報収集の中に偶然流れてきた広告でした。「対応漏れで困っていませんか?」という言葉に惹かれ、まずは自身の裁量が及ぶ自店舗のみで試験導入を決断されました。

しかし、同社には長年使い続けている基幹システムが存在しており、「新しいツールを入れることで現場に負担を強いることにならないか」という懸念もあったそうです。

中戸氏:「顧客システム自体は長年使っているシステムなので、そちらにも情報を蓄積したいんです。だから、その二重入力は未だにやらないといけないし省けていない。そこは導入当初からわかっていました。でも、顧客情報や進捗が分かりにくいスプレッドシートを見るよりは、全部のやり取りが分かるものが別である方が、結果的に工数は少ないと思ったんです。

導入当初は1ヶ月ぐらい、ほぼ毎日みんなで終わりの時間に集まって『今日どうだった?』『どのラベルがあると嬉しい?』と話し合いました。すると『あ、これもある。これめっちゃ便利じゃない!』って発見があってゲームみたいでした。それにわからないことがあったら、どんどんチャット機能でサポートに聞いて解決していましたね」

導入後の成果:「10分の隙間時間」が可視化され、異動者が他店舗へ直訴するほどの定着

Re:lationの導入後、現場の空気は目に見えて変化しました。特に威力を発揮したのが、メール一覧のラベル機能によるタスクの可視化でした。

中戸氏:「パッと見て、どのお客様に対して次何をするか、どのタイミングで電話を入れるかが分かるようになりました。接客の合間の10分、15分で終わる仕事っていっぱいあるんですが、それが可視化されたんです。『この隙間でこのお客様の対応をしておこう』というのが、時間をかけずに判断できるのが一番大きいです」

また、トップダウンではなく現場からの強烈なボトムアップという予期せぬ形で他店舗への波及が起こりました。

中戸氏:「当社は定期的に異動があるんですが、私のチームでRe:lationを使っていたメンバーが、導入されていない別の店舗に行った時に『不便だから、ここでも導入してほしい』と懇願していたんです。そうやって徐々に各店舗に広がっていきました」

管理職としての視界も劇的にクリアになったと言います。

中戸氏:「新人が対応する際、自分(上長)が不在でも先輩社員に代わりに内容確認を依頼できます。何より、受信箱を見るだけで『どれくらい反響が来ているか』『今日問い合わせ対応に中々時間が割けないくらい忙しかっただろうな(営業が回っていないな)』というのが一目でわかる。管理職側の管理の仕方、営業所の運営が効率的になりました」

今後の展望:新卒1〜4年目のチームを育てる「共通言語」としての役割

現在、同社は関西で12店舗、さらに東京圏への出店も進めるなど規模を拡大しています。その中で、Re:lationは単なるツールを超え、組織の成長を支える基盤になりつつあると言います。

中戸氏:「担当者がどこに異動しても同じツールを使っているので、業務の共通言語のようになっています。環境対応の面で話が進みやすくなるのは、店舗展開を進める上でとても大きいですね」

特に注力しているのが、若手へのノウハウ共有だそうです。

中戸氏:「私が導入した時の店舗も1年目から4年目の若手のメンバーがメインでした。通常業務の中で、売上を担う先輩が下の子にノウハウを伝える時間なんて全然ないんです。だからこそ、メールのテンプレ化や、反響対応時のトークスクリプトを掲示板機能に上げて共有しています。最近はどの店舗もこの掲示板が流行っていて、それを見ながら対応するだけで、若手の精度が随分と上がっています」

シフト制によるブラックボックス化を解消し、顧客の流出を食い止めた同社。現場の生の声と改善の積み重ねが、次世代の営業チームを確実に育て始めています。