端的に言うと、「迷惑メールを送ってはいけない」というのが特定電子メール法( 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律 )です。
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)※消費者庁
(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/specifed_email/)
しかし、迷惑メールといっても、なにが迷惑メールになるのか、その基準や見分け方、あるいは守らなければならないルールなどはご存知でしょうか?
また、いつも何気なく送っていたメールマガジンが、実は迷惑メールだった!ということもあるかもしれません。
改めて法律の観点から、正しくルールを守ってメールを送信しているか、確認する必要があります。
目次
特定電子メールとは?
特定電子メールとは、 「営利を目的とする団体及び営業を営む場合にお ける個人」である送信者が「自己又は他人の営業につき広告又は宣伝を行う ための手段として送信する電子メール」 と、法律で定義されています。
一般的に、営業目的のメールマガジンは、これに該当するものとみなしてよいでしょう。
BtoBビジネスであれば、リードや既存顧客に対し、自社のサービスの購入・利用への誘導を促すもの、またはその宣伝にあたるものは、その対象となります。
単純な料金請求のお知らせなど、取引上の案内だけのメールであれば、これには該当しません。
こうした営業目的のメールマガジンを送付する場合には、原則としてあらかじめ同意した者に対してのみ広告宣伝メールの送信が認められる 「オプトイン」が義務付けられています。
オプトインとオプトアウト
オプトイン方式によるメール送信には、受信者があらかじめそのメールを受信することに同意する必要があります。 反対に、オプトアウト方式では、利用者がこのメールは受け取りません、という意思を送信者に伝える必要があります。
日本では現在、法改正により、オプトイン方式の原則が導入されています。
一般に、サービスを申し込む、資料請求をする、といった場合に、ウェブフォームを経由して利用者は申し込みを行います。
その際に、個人情報の取得に関する同意をする、あるいはメールマガジンの購読を希望する、などといったチェックボックスを見かけたことはないでしょうか?
こちらのチェックボックスによって、利用者自身がメールの受信に同意する。
これをもってオプトインによる同意がなされた、とみなすのが通常のケースです。
NGなケース
一方で、その同意取得の方法が利用者にとって、見づらい、分かりにくいものは同意取得の方法として適切ではない、とされています。例えば・・・
① 極めて小さい文字で記載されている
② 極めて目立たない色の文字で記載されている (背景に近い色、など)
③ 約款や利用規約が長く、ウェブサイトを膨大にスクロールして、注意しないと認識できないような場所に記載されている
④ 同意の通知の相手方が具体的に特定されていない(関連サイト・姉妹サイトなどの表現はダメです)
こういった同意の取得は、利用者にとって親切なものではありませんし、相手をだまして同意を得ようとしているものと推測されます。
それは、相手にとって不利益なだけでなく、長期的に見てお客様との関係にも悪影響を与えます。
デフォルトオフの推奨
また、あらかじめチェックボックスにチェックが入っているなど、利用者が気づかないうちに同意してしまうような方法も、推奨されていません。あらかじめチェックボックスに同意のチェックが入っているものをデフォルトオン、入っていないものをデフォルトオフといいます。
仮にデフォルトオンをする場合には、
①デフォルトオンであることを利用者に認識させやすいように、 「配信が不要な場合はチェックを外してください」といった文言を、目立つように工 夫することが望ましい(背景が白色の場合には赤字で示すなど)。
② 最後までスクロールしな いと、利用者はデフォル トオンのチェックボック スに気づかない、ブラウザの「戻る」ボタンを押して再度ページを進むと一度外したチェックが再びついている、といったページは推奨しない
などといった、あくまで利用者に配慮したページ構成が求められます。
<参考>
オプトインの例外
一方で、オプトイン方式にも例外があります。あまりに、ガチガチにルールを決めてしまうと、商習慣のなかで円滑なコミュニケーションが取れない、といったことに配慮したものと考えられます。
① 「電子メールアドレスの通知」をした者
これは、名刺交換などでメールアドレスを送信者に伝えた場合を指します。一般に、相手と連絡先を交換した以上、相手から連絡が来ることは予測できるからです。
② 「取引関係」にある者
これは、すでに顧客である取引先のことを指します。一般に、ビジネス上の関係性は一回きりで終わるものとは限らず、その後も継続的にサービスを利用したり必要に応じて新商品を追加購入するなどといった商取引があり得るためです。
③ 「自己の電子メールアドレスを公表」している団体・営業を 営む個人
これは、ホームページ上などで問い合わせフォームを設置している、メールアドレスを公開しているなどの場合を指します。そういった相手に対して営業のメールを送信することは、一般的な商習慣として理解できるものだから、です。
オプトアウトの表示記載義務
オプトインがメールの受信の同意を得るものであるのに対し、オプトアウトはメールの受信の拒否を意思表示するものです。
メールの送信者は、受信者が簡便にオプトアウトの意思表示ができるよう、メール本文内に、下記の事項を表示することが義務付けられています。
①メール送信責任者の氏名・名称(会社名・サービス名など)
②オプトアウトの通知ができる旨の表示と連絡先(電子メールアドレスまたはURL)
③ 送信者の住所、苦情・問合 せ等を受け付けることので きる電話番号、電子メール アドレス、URL (こちらはリンク先ページでも可能です)
「配信解除手続きはこちら」などといった文言と合わせて、これらを表示させる必要があります。
特定電子メール法以外にも知っておきたい「個人情報保護法」
メルマガやDMのやり取りでは特定電子メール法だけではなく個人情報保護法も気をつけなくてはいけません。個人情報は相手の氏名や住所、電話番号などがイメージされますがメールアドレスも個人情報の扱いとなります。
また、2017年の5月30日に個人情報の改正があり、すべての事業者が法律の適応対象になりました。以前までは個人情報の取扱量が5,000人以下では個人情報保護法の対象から外れていましたが、改正後はすべての事業者が対象となっているのです。
また、第三者へ個人情報を提供しなくてはいけない場合は対象者本人の事前承諾が必要となります。特定電子メール法と個人情報保護法をセットだと考えて特定電子メールを送るというスタンスでいるのがいいのかもしれません。
法律ができている以上は法律に準じて行動をしなくてはいけませんので、どのようなシーンでは承諾が必要であるのか、個人情報保護法に触れていないかどうかを確認するようにしましょう。
ルールを守ってマーケティング戦略を!
特定電子メール法はBtoBでも注意すべきではありますが、オプトインの例外もあるということをわかってもらえたかと思います。
また、特定電子メール方だけでなく個人情報保護法についても覚えておかなければならないということも紹介しました。 メルマガやDMは気軽に送れる分、ルールを守ったマーケティング戦略を展開していくようにしましょう。