メールマーケティングによって、見込み客に効果的なアプローチができます。ここでは、効果測定のやり方やメールの種類別の成功ポイントを詳しく説明します。メールマーケティングのメリットやデメリットとメール配信の注意点も押さえていきましょう。お客様に期待するアクションを引き出していくために、ぜひ、参考にしてください。
目次
メールマーケティングの効果測定はどう行うべき?
PDCAを回してマーケティングの質を上げ、効果を最大化するための必須のプロセスです。具体的にどのように効果測定を行っていくべきか、測定指標別に説明します。
メール到達率
メール到達率とは、送信するメールの総数に対して、確実にお客様の受信ボックスに届いたメールの割合です。
そもそも、メールがお客様のもとに到達しなければ、開封されることもありません。エラーで返ってくるのはどれくらいなのかという確認が、重要なはじめの測定項目となります。
エラーメールの確認
- メールアドレス数・送信総数1,000個
- 到達数950個
- エラー数50個
以下のような計算式で到達率が出せます。
到達数÷メール総数×100、
もしくは、
(1-(エラー数÷メール総数))×100
上記の状況であれば、到達率は95%で、未達率は5%ということになります。
未達の理由としては、以下のようなことが考えられます。
- メールアドレスが存在しない(受信者側の変更・消去)
- メールアドレスが間違っている(入力ミス)
- 受信側のサーバの問題・障害
- 受信者の受信ボックスが満杯
メール到達率を上げるには
注意しておきたいのは、上記の1や2の状況を放置しないことです。無効なアドレスに送り続けていると、受信側のサーバから疑われ、スパムと判定されることもあります。そうなると、その他の有効なメールアドレスもブロックされる可能性が出てしまいます。
到達率を上げるためには、無効なメールアドレスは送信リストから外しましょう。
開封率
開封率とは、受信ボックスに到達したメールのうち、実際に開封されたメールの割合です。受信ボックスに到達しても、開かれない、もしくは削除されるメールは期待に反して多いのが実情。開封率を上げるために「件名」に注力してみましょう。
開封率の確認
- 到達したメール950個
- 開封されたメール200個
上記の状況であれば、以下の計算式で開封率が出せます。
200÷950×100=21%(21.052631…)
業界やメールの内容によって開封率には大きな差があるようです。メルマガの平均開封率は、10~20%くらいという分析が多く見受けられます。何が開封と未開封を分けているのかを考えていきます。
開封率は件名(タイトル)が肝心
受信ボックスにメールが届いたとき、受信者の目に留まるのは「件名」です。したがって、「件名」が開封と未開封を分ける大きな要因のひとつと言えます。
「件名」について、以下の点に気を配ってみてください。
- 受信者の興味を引く内容にする
- 表示可能な文字数に抑える
- キーワードはできるだけ文頭に
- マークで他のメールとの差別化
受信者が興味を持つメールを送る(=興味を引く件名で届ける)ために、メールの内容に合わせて送信リストを作成するという逆ベクトルの作業も必要になるでしょう。
クリック率
クリック率とは、メールが開封され、読まれたときの反応の割合を示すものです。メールは開封されたとしても、最後まで読まれているか、興味をさらに高められたかはわかりません。
これらのことは、メールの中にURLを盛り込んで、クリックされたかどうかで測ることができます。配信するメールの実質的なマーケティング効果(=反応を導き出す効果)や質を測る指標ともいえます。
クリック率を上げるポイント
クリック率を上げるには、メール内で複数の場所にURLを載せておくのが効果的です。とくにメールを開いたときに見える箇所(冒頭)には、必ず置いておきましょう。「もっと知りたい」というモチベーションが高まるメールの最終箇所もおすすめです。
目次項目をURLにしてメール内の読みたい箇所に飛べるようにしておく方法もあります。また、メール内で概要を示し、その先やより詳しい情報のあるWEBページのURLで誘導することもできます。
URLの表示は、「詳しくはこちら」のようなテキストリンク、HTML形式のメールなら画像やバナーでの表示も可能です。いずれの場合も、クリックできるということをわかりやすく表示しておきましょう。
コンバージョン率(CVR)
コンバージョン率(CVR)とは、配信者のメールの目的(お客様の反応)が達成された割合です。マーケティング上で配信するメールは、資料請求、問い合わせ、申込みや応募、購入など最終目的が異なります。そのメールを送ることで最終的に何をしてほしいのかということです。
コンバージョン率を上げる方法
コンバージョンを獲得するには、信頼性が重要なポイントになります。いきなりキャンペーンなどの紹介や売り込みで目的達成に走ると、高い確率でコンバージョンに到達する可能性が失われます。
役立つ内容やコンテンツを届け、信頼や安心を十分に醸成してから、期待するアクションの機会を提供するという流れで進めましょう。お客様が必要とする情報を、段階的に少しずつ前倒しで提供することでコンバージョン率アップに成功した例もあります。
コンバージョンは、送信、到達、開封、クリックと、一連のプロセスの集大成です。個々のフェーズでも信頼性や価値を醸成する必要があります。
たとえば、
- 件名とメール本文が一致していること
→でなければ不信につながる - 自分に関連のある情報が届くと認識してもらう
→でなければ迷惑メール行き、もしくは削除対象になる - 役立つコンテンツを提供する
→いきなり紹介や売り込みで目的達成に走ると嫌われる
→クリックしたのに「読めない」「URLが無効」では不信感となる
獲得したコンバージョンを分析して何が有効だったのかを知り、逆に、コンバージョンに至らなかったのは何が原因だったのかを探って改善していきましょう。
オプトアウト(解約)率にも注意
メール配信では、オプトアウト(解約)率にも注意する必要があります。
解約の要因として考えられるのは、
- メールの内容との関係性が低いとき
- メール配信の頻度が高すぎるとき
お客様に関連性の高い内容を届けるためには、メールリストの振り分けも必要です。振り分けのためにお客様の興味・関心を理解するには、アンケートや投票などの方法があります。また、適切な配信頻度というのは、業種や内容によって異なりますが、受信者の負担過多や嫌悪感につながらないように気をつけましょう。一般的には週1回~10日に1回程度が好まれるようです。
メールマーケティングの種類別成功ポイント
メールマーケティング施策の種類ごとの特徴を確認していきましょう。BtoB向けの各施策の成功ポイントを解説します。
メルマガ(メールマガジン)
登録した(=希望する)お客様に対して、役立つ情報を一斉配信するのがメルマガです。BtoBとの相性も良いです。
定期、不定期、いずれも配信元が決めますが、週1回~10日に1回のペースに抑えましょう。興味を引く情報を盛り込み、配信の曜日、時間帯のタイミングを測ることがメルマガの有効性を左右します。
ステップメール
あらかじめ用意した一連のメールを、お客様ごとに送るのがステップメールです。登録者へのメール配信という点ではメルマガと同じですが、配信のタイミングはお客様ごとに異なります。登録日時を起点にして、毎日、週一などの設定日時に該当するメールを自動で届けます。
1通目、2通目、3通目と、一連のメールの中で伝える内容を段階的にすることがポイントです。徐々に意欲が高められるような内容を段階配信しましょう。
セグメントメール
特定の対象者(属性・ターゲット層)に絞り込んで配信するのがセグメントメールです。お客様の個別情報をもとに、条件ごとに分類し、その条件に合うメールを配信します。製造業・従業員500名未満にはAの内容のメール、不動産・営業担当者にはBのメールという感じです。
お客様情報を一元化してデータベース管理して、対象リストを抽出する必要があります。狙いを定めた配信なので、開封やクリックの可能性は高くなります。反応への対応策をしっかり構築しておくことが大切です。
リターゲティングメール
リターゲティングメールとは、「お客様の行動や意図」と「タイミング」と「メール内容」を一致させるメール配信の施策です。つまり、お客様の行動や意図が見えたタイミングで、適切なメールを送ってアクションを促します。上記のセグメントメールにより、さらに照準を絞り込んだアプローチです。
行動や意図を見るには、サイトへのアクセスや閲覧(離脱も含む)、メールの開封やクリックもあります。反応に対してメールの自動配信ができますが、送りすぎや深夜の配信は避ける設定をしておきましょう。また、〇〇をしたからこのメールを送りましたというような説明は不信や警戒につながることもあるので控えるのが賢明です。
休眠発掘メール
休眠発掘メールとは、過去の購入や利用から、その後一定期間動きのないお客様に対して働きかけるメールです。
前回の利用後から、メルマガなどを配信中ということもあるでしょう。それでも動きがないのは、届いていない、読まれていないとも考えられます。件名の工夫や差出人を変更するという策を試してみましょう。反応が得られるようになれば、上記で紹介したようなメール施策に誘導できます。
メールマーケティングのメリット・デメリット
何のために、どのような効果を見込んでメールマーケティングを行うのでしょうか。逆に、どんなことに気をつけて進めればいいのでしょうか。これらの答えを知るためにメールマーケティングのメリットとデメリットをチェックしておきましょう。
メールマーケティングのメリット
冒頭で紹介したように、メールマーケティングでは効果測定が必須です。裏を返すと、効果測定ができるということになります。しっかりと数値で状況や進捗が見えると、改善ポイントが見つかりやすくなります。また、測定した情報は、あらゆるメール施策で反映・活用できます。
メールであれば、低コストで大量のお客様とのコミュニケーションが取れます。デジタル上なので印刷も不要ですし、郵送料もかかりません。一社一社、訪問するマンパワーや予算がないという問題も補完できるのです。
ひな形を作成してしまえば、ひとつのメールで大量に配信できます。資料やWEBサイト記事などほかのコンテンツとの組み合わせも容易です。
メールマーケティングのデメリット
デメリットとしては、お客様ごとに関連性や興味・関心度を測りながらメールマーケティングを行うには、それぞれに対するメールやコンテンツが必要になります。それらは多数のお客様に送ることができ、一定期間は使い回すことも可能です。しかし、見直しやアップデートは、やはり必要になってきます。
メールマーケティングの精度を上げるほど、工数や時間はかかります。できるだけ効率的に進められるような仕組みづくりが求められるでしょう。
メール配信時の注意点
では、BtoBでのメール配信における注意点を確認していきましょう。
誤送信
誤送信は、相手企業にとっても、自社にとっても、大きな損失につながる可能性を秘めています。定期的に送信リストを見直し、配信ツールなどを活用するなどして、正確に配信・管理できる体制を整えておきましょう。
件名(タイトル)
件名は、徹底的に熟考して作り上げましょう。興味を引く、価値ある情報をメールに盛り込むことが前提ですが、開かれてこそのメール配信なのです。
- 本文に何が書かれているのかがわかる
- 関連・興味のあることがわかる
- 具体的なメリットが提示されている
- 今、読みたいと思わせる表現
これらのことを意識して作成してみてください。
配信時間
メールが開封されるか、読まれるかは、相手の状況でも変わります。配信の時間帯によって、開封率も変わってくるのです。いつが適切かは、お客様の業界、企業や受信者の業務スタイルによっても異なります。
ですから、一定期間、配信するメールの効果測定をしてデータを分析してみましょう。自社のメールの対象者に「読まれやすい時間」が見えてくるはずです。
メール関連の法律
メール配信に関しては、一定の法律が定められています。違反のないように進めていきましょう。
個人情報保護法
お客様の情報を入手し、管理している者(企業)は、以下の点を満たす必要があります。
※お客様が一人であっても適用され、法人企業以外の個人にも適用されるものです。
【個人情報を得るとき、もしくは事前に、情報の利用目的を提示する】
何に使うのかをお客様に知らせ、納得の上で個人情報を提供してもらうということ
【得た情報を漏洩させないためのルールや仕組みを整えておく】
情報データにアクセスできる人を限定したり、セキュリティ対策を取ったりすること
特定電子メール法
大量のお客様に送ることのできるメール配信ですが、同意を得ていない不特定多数の人に広告や宣伝目的のメールを送ることは違法です。
メール配信で満たすべきは、オプトイン。事前に送信相手からの「メールを受け取ることの承認」を受ける必要があります。その承認の証明は保管しておかなければなりません。この承認は、メールアドレスの提供だけでは成立しません。個々のメルマガやステップメールなどを受け取ることに対する承認です。
例外として
- 名刺にメールアドレスを記載している
- WEBサイトでメールアドレスを公表し、拒否表明なし
- すでに取引関係にある
オプトイン後でも、上記の例外のケースであっても、配信後に停止の意向が伝えられた場合(オプトアウト)は、配信は不可です。停止したいときの手順やルートをメール内にわかりやすく提示しておく必要があります。また、自社で公表していない架空のメールアドレスからの配信も違法です。
メールマーケティングで解決できない課題も
メールマーケティングを行う前提として意識しておきたいことがあります。ここまでお伝えしてきたように、メールマーケティング施策は、見込み客の意欲を喚起するためのコミュニケーション手段として有効です。しかし、あくまで顧客化に向けたひとつの補強策。
営業やマーケティング上のすべての課題を解決できるわけではありません。中には、メールが不適切、SNSでのアプローチのほうが最適となるケースもあります。
行うべきは「効果の上がるマーケティング」であり、メール、SNS、電話、チラシにとらわれず、最適な方法を見つけることが大事です。お客様の実際の反応や声に耳を傾けて、最適なメディアを選択しながらコミュニケーションを創出していきましょう。
メールマーケティングのカギは効果測定と継続
メールマーケティングには一定の手間暇を要します。効果測定ができるメリットを最大限に活用して、継続しながらPDCAを回しましょう。メールや関連コンテンツ、施策自体の質を高めることがコンバージョン獲得につながります。
自社の見込み客に合う内容を、ベストタイミングの配信で届け、マーケティング効果を高めていきましょう。