カスタマーサクセスとはどんな職種?仕事内容や求められるスキル

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カスタマーサクセスというポジション(機能)の重要性が高まっていますが、その仕事内容をご存知でしょうか。今回は、日本でも急速に起用が広がっているカスタマーサクセスの仕事についての解説です。カスタマーサポートとの違い、SaaS業界との関連性、仕事内容と必要とされるスキル、中途採用の難易度などを確認していきましょう。

カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセスとは、顧客の業績アップ=成功に向けて、能動的に問題や課題の解決を支援する企業の機能部門、もしくは職種を指します。顧客のビジネス上でサービスを「有効に」導入・機能させ、継続的な関係性を築き、顧客満足度の向上を図るポジションです。

では、カスタマーサクセスについてもう少し深く理解していただくために、その原則やカスタマーサービスとの違い、関連性の深いSaaS業界について解説します。

カスタマーサクセスの原則

カスタマーサクセスが世の中に広まるきっかけとなった書籍があります。著書『カスタマーサクセスーサブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則 』 。この著書の中で、カスタマーサクセスの10原則が提言されています。

「顧客の成功」10の原則
原則1 正しい顧客に販売しよう
原則2 顧客とベンダーは何もしなければ離れる
原則3 顧客が期待しているのは大成功だ
原則4 絶えずカスタマーヘルスを把握・管理する
原則5 ロイヤルティの構築に、もう個人間の関係はいらない
原則6 本当に拡張可能な差別化要因は製品だけだ
原則7 タイムトゥバリューの向上にとことん取り組もう
原則8 顧客の指標を深く理解する
原則9 ハードデータの指標でカスタマーサクセスを進める
原則10 トップダウンかつ全社レベルで取り組む


引用元:英治出版

カスタマーサポートとの違い

カスタマーサクセスには馴染みがなくても、カスタマーサポートはわかるという方は多いと思います。この2つには類似点もあるのですが、根本的な違いがあります。まずは、この2つの違いをクリアにしていきましょう。

カスタマーサポートとは

カスタマーサポートは、主に電話やメールで顧客の問い合わせやクレームに対応する仕事です。最近では、チャットでの応対も増えてきています。多くの企業がサポートセンターや問い合わせ窓口を設置して、商品やサービスの購買前や購買後のフォローを行なっています。

先手サービスか後手サービス

顧客に対応し、支援やサービスを行うという点では、カスタマーサクセスとカスタマーサポートは共通しています。顧客は、認識した問題について、分からないこと、解決できないことがあったときにカスタマーサポートを頼ります。カスタマーサポートは、起きていることやお客様の行動に対応するものです。

カスタマーサクセスも、カスタマーサポートと同じような対応をします。加えて、お客様に発生し得る問題や課題を先読みして、防止策や対策を考えた支援も行います。顧客の業績を上げるために、顧客が知り得ていない(=求められない)ことも提案し、サービスとして提供するのです。この点が2つの仕事の大きな違いです。

主たる目的:顧客の何に対するサービス提供か

では、カスタマーサクセスとカスタマーサポートのそれぞれのサービスの目的を比較してみましょう。

カスタマーサポートの目的は、問題や疑問の解決をサポートすることです。
カスタマーサクセスの目的は、顧客を業績アップや目標達成などの成功に導くことです。

顧客の業績アップは、既存の問題解決をサポートするだけで成し得るものではありません。より良い状態を目指す必要があるのですが、それは、状況の変化に対応し続けなければならないことを意味します。

この点を理解すると、現代ビジネスの中で、カスタマーサクセスが注目される理由が何となくでも見えてくるのではないでしょうか。根本的な目的が違うため、仕事内容も明らかに異なってくるのです。カスタマーサクセスの具体的な仕事内容については、このあとの項目で説明します。

SaaS業界とは

SaaS業界とは

カスタマーサクセスは、SaaS業界との関わりが深いです。SaaSサービスの広がりによってカスタマーサクセスが生まれたといっても過言ではありません。SaaS業界について、理解を深めていきましょう。

SaaSとは

SaaS(サース)は、Software as a Serviceの略です。訳せば、「サービスとしてのソフトウェア」ですが、少しわかりにくいですね。オンライン経由で提供され、クラウド上での利用とデータ蓄積ができるソフトウェア(サービス)のことです。

従来のソフトウェアは、パッケージを購入し、パソコンやサーバにインストールして使っていくものが主流でした。パッケージの費用は、新規購入時と更新の際に発生します。

ユーザーがソフトウェアを使うために必要とされるものは以下です。

  1. 【購入】
    ソフトウェアという物体(パッケージ)
  2. 【ハード】
    そのソフトウェアをインストールするハードウェア(PCやサーバ)
  3. 【容量】
    ソフトウェアと蓄積するデータを取り込むハードウェアの容量

SaaSが「サービスとして」となるのは、購入ではなく、サービス利用という形になるからです。SaaSでは、上記の1.2.3.のすべてが不要になります。購入やインストールの必要はなく、PCやサーバの物理的容量もいりません。

契約してログインすれば、「クラウド上」で利用を開始でき、「クラウド上」にすべてのデータを蓄積できます。その「サービス」に対して、定額の料金を月額契約、もしくは年間契約で支払っていくのです。

多様化するSaaS

現在は、無料・有料ともに数多くのSaaSが存在しています。たとえば、無料のものでは、GoogleのGmail、Salesforce、Dropboxなどが代表的です。最新の技術を取り入れたSaaSが、次々に登場し続けています。BtoB、BtoCを問わず、ビジネスのあらゆる領域で、SaaSのクラウドサービスの浸透が見られます。

  • 業界
    製造、小売、物流、人事、飲食、教育、医療、エネルギーなど。
  • 企業内機能
    会計、財務、人事、総務、営業、マーケティングなど。

現在のSaaS業界

SaaSが多様化し、それぞれの連携性や拡張性が高まるにつれ、SaaSについての課題も増えています。新しいウィルスなどの脅威に対するセキュリティ面への対策も求められます。SaaSの開発やユーザーのビジネス上でのプラットフォーム化も進んでいますし、API連携によるエコシステムのニーズも拡大中。モバイル対応や、AIやIoTとの連携も加速傾向にあります。

カスタマーサクセスが注目される理由

カスタマーサクセスが注目される理由

では、今、なぜこれほどにカスタマーサクセスが注目されるようになったのでしょうか。その理由を見ていきます。

「SaaS」ひとつをとっても、事業運営には必要で、有効ということを多くの企業が認識しています。しかし、選定・導入にはIT分野の専門知識が必要とされる上に、その変化や進化のスピードは目覚ましいものがあります。すでに、一般企業で意思決定できる範囲ではなくなってきているのです。

サブスクリプション型のビジネスモデルの普及

「SaaS」のような、サブスクリプション型のビジネスモデルが普及したことも要因のひとつです。

以前は、単発契約で、利用の初期に一括で費用を支払う形のビジネスモデルが主体でした。サブスクリプションモデルは、契約後に、使い続ける中で利用料を支払い、契約期間内はサービスを利用できるとするものです。

たとえば、あるシステムを購入して使おうとすると導入初期に300万円かかってしまうものが、サブスクリプションモデルであれば、月20,000円など安価で利用できます。購入すれば配置スペース、メンテナンス、不要になった場合の処分費も発生しますが、サブスクリプションであればすべて不要です。

一度契約すると、一定期間、継続的な利用が見込めるため、提供者にとっては利益予測も立てやすくなります。長期的に使ってもらうほど、利益を蓄積できます。つまり、サブスクリプション型のビジネスモデルは、現代の売り手と買い手の利害が一致しやすいのです。

しかし、サブスクリプションモデルは利用のハードルが低いと同時に、離れやすさももち合わせています。何か問題や不都合があると、すぐに競合に顧客を奪われてしまうのです。顧客が一度離れたり、逃したりすれば、サブスクリプションモデルを適用している競合がいる場合は、逆に顧客獲得が難しくなります。

従来の契約獲得はゴールといえたかもしれませんが、サブスクリプションの契約獲得はスタート。長く使い続けてもらうことが重要なのです。そのためには、問題を事前に阻止し、課題を見つけ出し、より顧客のビジネスを向上させる提案を継続的に行なう必要があります。これがカスタマーサクセスの概念へと発展したのです。

利用により顧客を成功に導く営業スタイルへ

デジタルの進化やサブスクリプション型のビジネスモデルなどの普及により、営業のあり方も変化しました。

従来のビジネスモデルでの営業は、契約を取る前に注力する傾向にあり、購入後はサポートで継続を創出していました。利益が生まれるのは、支払いの発生する購入時の1回、もしくは、追加やリピートのその時点だけ。そこで目標とされていたのは、自社の利益創出=自社の成功と言えるかもしれません。

現在は、商談・契約時点で長期的な視点からの提案が求められ、契約後も積極的に関係性を維持する必要があります。継続的なアプローチで満足度を高めなければ、すぐに顧客を失ってしまいます。

契約時点での発生費用は安価に抑えられ、さらに無料お試しの期間が設けられていることもあり、契約を獲得すること自体のハードルは下がったといえるでしょう。ただ、契約時点での利益は小さく、長期利用となってこそ自社利益につながります。つまり、現在の営業の契約獲得はスタートなのです。

目指すものが、顧客と同じでなければ、継続利用を促すことは難しいでしょう。顧客の業績アップ、成功、成長に向けた継続的なサポート、サービスの提供が必要なのです。

カスタマーサクセスに必要なスキル

カスタマーサクセスに必要なスキル

カスタマーサクセスに必要となるスキルを紹介します。顧客企業の規模や成熟度によって、カスタマーサクセスの絡む要素が異なり、それぞれで求められるスキルも違ってきます。ただ、顧客のビジネスを理解することや、能動的に顧客の成功に関わっていこうとする熱意は基盤となる共通要素です。

顧客との関係構築スキル

顧客のビジネスを十分に理解し、ニーズを的確につかみながら、密なコミュニケーションを取っていく必要があります。顧客とのコミュニケーション上では、よく聞き、聞き出し、本質をつかんだ上での対応が求められます。言葉だけでなく非言語的な部分も読み取れるかどうかも重要になってくるでしょう。

常に「相手の成功」を念頭に置き、熱意をもって能動的に対策・対応を進めながら、顧客との信頼関係を築かなければなりません。コミュニケーションスキルは、カスタマーサクセスを行う人や組織の最大基盤であり、要なのです。

情報分析のスキル

カスタマーサクセスで的確な対応、企画・提案をするには、得られる情報要素を俯かんして分析するスキルが必要です。顧客の属する業界の動向、顧客のビジネス構造や状況などの情報は、数値やデータという形で手に入ります。

あらゆるテクノロジーやその汎用知識を踏まえながら、顧客の代わりに俯かんして「何が言えるのか」「何が起こっているのか」「で、どうなのか」と分析し、必要なこと、適切なことを見出します。それをいち早く見つけ出し、顧客企業の成功戦略に結びつく提案をするのがカスタマーサクセスの役割なのです。

課題発見・問題解決スキル

課題発見・問題解決スキル

問題や課題を発見し、解決や達成に到達するスキルも欠かせません。

情報を得たとき、ヒアリングしたとき、いずれも問題や課題が隠れていることがあります。問題発生が予測されるとき、その問題が発生する前に対処することにも、課題に対して変化を起こすための向上策を打つことにも、早期発見が求められます。

顧客の業界や事業、顧客のスペックと自社スペック、顧客の意向などを踏まえてベストな解決策を見つけ出して、顧客企業の意思決定を助けていきます。

業務設計・企画のスキル

カスタマーサクセスでは、入手する情報を分析し、問題や課題を発見し、解決策を見出したら、実際の業務に落とし込むサポートまで行います。つまり、業務設計のスキルが必要です。

改善や追加、もしくは省略による変化があれば、自ずと業務フローも必要な人員も変わります。業務にかける時間や人件費、費用までが変わってくるわけです。最終的に成功に導くためのプロセス(オペレーション)まで考えて、提案していく必要があります。

ファシリテーションスキル

カスタマーサクセスは、人と人とのコミュニケーションを円滑にする調整力=ファシリテーションスキルを要します。たとえば、顧客と自社の開発メンバーとの間に立つときは、意思疎通をスムーズにするための「翻訳」が不可欠です。顧客はIT技術的なことにあまり詳しくないことが多いですし、開発者が顧客のビジネスに関する知見がないこともあるからです。

また、社内チームの連携も良好に保つ必要があります。とくに、開発、マーケティング、営業、サポートなど他部署との連携では利害関係にも考慮しなければなりません。それぞれの立ち位置の状況を見極めながら進めることが大切です。

カスタマーサクセスの仕事内容

カスタマーサクセスの仕事内容

カスタマーサクセスの実際の仕事内容について解説します。

顧客に価値を提供する=顧客に価値を生ませる

根本的な概念として、カスタマーサクセスの仕事は、顧客企業が価値を生み出すための支援やサポートをすることです。それがカスタマーサクセス=自社側の価値提供といえます。

ですから、もし顧客の意見が間違っていたり、ずれていたりすれば、反対ではなく訂正を行うのです。顧客が本質でない部分にフォーカスしていることがわかったら、即座に価値創造や成長につながる適切なフォーカスポイントを提示します。無駄があることに気付いたら、的確に指摘して無駄をなくす提案をするのです。

業務やマーケティングプロセスの改善・向上

組織内のオペレーションと、事業のオペレーションは連動しています。いずれも企業という共通の母体上で、カネが動き、ヒトがいて、モノや情報が存在するからです。カスタマーサクセスはその両方に切り込みます。生み出される利益=顧客の業績が、それらを動かすことによって動くからです。

とくに、デジタルやテクノロジーは、それらの経営資源との関わりが深くなってきています。システムの連動や一元化も進んでいるため、切り離して適切なサービスを提供することは難しくなっているのです。

自社サービスに関する支援・サポート

顧客が出会う問題のひとつに、使い方が分からない、有効活用できないなどがあります。これらは、カスタマーサクセスが「事前」に払拭しなければなりません。「サービス」に関する問題は、購入前、導入時、購入後(発生前)に解決を図っていくのです。

  • 購入前に、セミナーの開催や詳細資料を提供する。
  • 導入時に、トレーニングや研修を実施し、設置から実稼働できるまでをサポート。
  • 導入後は、活用事例など役立つ情報を届け、そのシステムのリテラシー向上を支援する

カスタマーサクセスの中途採用は難しい?

カスタマーサクセスの中途採用は難しい?

採用市場でのカスタマーサクセスのニーズは、ここ数年で急上昇しています。今後も高まっていくと見込まれますが、まだ経験者の数は少なく、求職者の認知度もまだ低いというのが実情のようです。経験豊富な人材は引く手あまた、採用市場の表側に出ていることは少ないでしょう。

したがって、カスタマーサクセスの職種で、適した人材を中途採用で集める難易度は高めです。

採用活動に関しては、他のスキルの汎用性の高い職種の経験者にあたるのも一策です。カスタマーサクセスの仕事は、営業やコンサルティングの側面を持ち、これらの職種のスキルセットとの類似性も高いです。営業やコンサルティングで、IT業界に関連した顧客やクライアントを担当した経験があるとさらにマッチ度があがるでしょう。他にも、WER業界のディレクションやカスタマーサポートの経験者なども有望です。

カスタマーサクセスの採用では、採用担当者がこの仕事をしっかり理解することが先決です。そして、自社にカスタマーサクセスを配置するのはなぜかという経営視点を認識した上で採用活動を進めていかれることをおすすめします。

コミュニティマーケティングとの関係

コミュニティマーケティングとの関係

コミュニティマーケティングという言葉をご存知でしょうか。カスタマーサクセスと密接な関係にあるものです。

カスタマーサクセスは、コミュニティマーケティングを担いながら、顧客に継続的に寄り添い、のちの自走化を目指すのです。自走とは、ロイヤリティが十分に醸成され、たとえば、自社からの働きかけがなくても利用し続けてくれることです。自走まで到達できていないと、カスタマーサクセスの担当者が退職すると顧客も利用をやめるというようなことが起きてきます。

コミュニティマーケティングとは、ざっくりいうとファンを増やす取り組みです。たとえば、WEB上で勉強会を開催する、ユーザー同士で解決するQ&A、活用上の情報交換などを行えるコミュニティを作ったりします。提案や解決策は、ケースごとに異なりますから、自社だけでなくユーザーの事例や回答を介入させれば、新たなベストプラクティスの提供も可能になるでしょう。

ポイントは

  • コミュニティに属する各ユーザーが自社の広告塔の一端を担うこと
  • WEB上でカスタマーサクセス業務を継続すること

コミュニティが拡大するほど、認知も上がり、利用を開始する顧客も増やせます。コミュニティマーケティングによって、低負荷・低コストで、顧客が増加しても継続的に接点を生み出し続けるサイクルができます。カスタマーサポート的業務で飽和してしまう可能性も下がり、しっかりサクセス業務にあたることができるのです。

カスタマーサクセスで顧客とともに成功を目指す

顧客企業の成功を支援していくのがカスタマーサクセスです。カスタマーサクセス抜きでの自社の成功は、ますます難しくなっていくでしょう。

カスタマーサクセスの業務経験者は、まだ少ない現状があります。企業にはカスタマーサクセスの仕事内容をしっかり理解し人材を「育成」していくフェーズも必要と考えます。適切な人材を採用し、育成して、適切なカスタマーサクセスで、顧客の長期継続的な利用を促していきましょう。

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