仕事のできる人は、お客様のクレームにどんな返信をするのか?

Email client list, woman hand on the computer laptop, inbox e mail message on the screen, close up
Email client list, woman hand on the computer laptop, inbox e mail message on the screen, close up

お客様からクレームメールをいただいたとき、どのような内容のメールをどんなタイミングでお送りすればよいでしょうか。

なぜメールなのか?

過去の履歴を確認

クレーム対応が後手に回ってしまうと、お客様からの不信感は募ってしまいます。場合によっては、何度も問い合わせをしたにもかかわらず、対応してくれないという事態に発展しかねません。

そこで、お客様からクレーム対応メールを受けたときには、まず、過去にどのようなやりとりがおこなわれていたのかの履歴を確認しましょう。やり取りの中でクレームが出たのであれば、どのタイミングや理由、経緯でクレームに発展したのかを確認します。

担当者が複数人いる場合は、お客様に対するやり取りの履歴を共有しておきましょう。情報を共有することでより一層スムーズに対応が可能となります。

24時間以内に返信

クレーム対応にあたっては、お客様をお待たせさせないことが大切です。最近では、スマホを常に使われている方も多く、メールなどのやり取りはすぐに返信が来て当たり前と思われている方も少なくありません。

クレーム対応についても同様で、できればメールを確認してすぐにご連絡するようにしましょう。ただし、内容によっては、即返信が難しい場合があるでしょう。その場合でも、24時間以内の返信を心がけましょう。

事情によって24時間以内に返信できない場合は、メールを確認した事実だけでも、お客様に伝えることが大切です。「詳細を確認したうえで、改めてご連絡差し上げます」という旨をすぐにお伝えするようにしましょう。

言い回し・言葉遣いには細心の注意を

メールは身近なツールとはいえ、文字だけのやり取りになってしまいます。対面であれば、表情や態度を見て、電話であれば声の調子などからお客様の状態を把握し、こちらの状態も伝えることができます。

しかし、文字だけのやり取りとなると、どうしても冷たくなる印象を与えますし、言い回しや言葉遣いでさらにクレームを呼び起こしてしまう可能性があります。

また、メールは画面保存やデータなどの記録として残るものなので、トラブルが大きくなり後々裁判沙汰にでもなれば、証拠として扱われかねません。メールの内容は、念には念を入れ、言い回しや言葉遣いには最新の注意を払うようにしましょう。

クレーム対応メールの基本構造と書

それでは、クレーム対応メールはどのように書けばいいのでしょうか。基本的な構造と、書く際の注意点をまとめました。

件名

クレーム対応メールの件名は、一目で謝罪の意図が伝わるようにしなければなりません。また、お客様からのクレームを受けて、こちら側がお客様に対して誠実に向き合っていることもお伝えできる件名を付けましょう。具体例を以下に紹介します。

件名の例

「文書送付ミスに関するお詫び」
「【お詫び】資料数量不足に関しまして」
「【お詫び】ご注文いただいた商品の欠品につきまして」

クレーム対応メールに件名をつける場合、「お詫び」という文言を使うことで、お客様への謝罪の意図をお伝えすることができます。また、どのような内容について謝罪しているのか一目でわかるよう、ポイントを押さえて的確に表現することも大切です。

宛名部分

メールの宛名は、お客様へのご挨拶の第一印象を決める大切な部分です。連絡をくれたお客様を敬う気持ちを込め、「様」を付けましょう。送付前にはお客様の名前や企業名の誤りがないか誤字脱字がないかも必ず確認します。

宛名例(個人)

[お客様の名前] 様

連名である場合には、2人続けて

[お客様の名前] 様
[お客様の名前] 様

と、きちんと双方に対して「様」をつけます。

宛名例(企業)

[会社名]
[部署名と役職名]
[担当者名]様

お客様が企業の場合は、会社名と、部署名、役職名、そして担当者名を記載します。

部署名や役職名が分からない場合は、
[会社名]
[担当者名]様

担当者名が分からない場合は、
[会社名]
[部署名と役職名]
ご担当者様

のように、臨機応変に変えますが、あくまでお客様に対しての「様」づけは徹底しましょう。

挨拶文

挨拶文は、本文、つまりクレームの謝罪へと続くためのつなぎ手として重要な役割を担っています。その中で、メールを送付している自分がどのような者であるか、社内でどのような地位を担っているかを具体的に示します。そこで、こちらの企業名と自分の肩書、名前をしっかりと名乗るようにしましょう。

名乗りと合わせて、メールを送っていただいたお礼と、日頃からお世話になっている旨をお伝えします。

挨拶文例

平素より、格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。
○○株式会社お客様センター 担当マネージャー 〇〇 ○○と申します。

弊社お客様センターへご連絡いただき、誠にありがとうございます。
また、弊社サービスをご利用くださり、重ねて感謝いたします。

謝罪

謝罪部分には、お客様からのクレームメールを受けて、お客様にご迷惑をかけてしまったことを単刀直入にお詫びする文言を記載します。お詫びにあたっては、お客様がクレームとする内容を折りこむことで、より一層問題に向けて対応している姿勢を表すことができます。

謝罪文例

「この度は、弊社の〇〇につきまして、不具合により[顧客名]様に大変ご迷惑をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます。」

「この度は、弊社の○○をお買い上げいただきありがとうございました。商品の一部送付ミスにより、お客様に多大なる影響を与え大変失礼いたしました。深くお詫び申し上げます。」

「この度は、弊社○○につき、一部破損があったとのこと、まことに申し訳ございません。併せて、状況がわかる写真を添付してくださり、まことにありがとうございます。」

また、謝罪連絡が遅れた場合には、その旨も記載します。
「この度は、ご連絡をいただいたにもかかわらず、事実確認のためお時間をいただきましたこと、心よりお詫び申し上げます。」

「弊社にて休業日をいただいておりましたので、お客様へのご返信が遅れてしまいましたことを深くお詫び申し上げます。」

クレーム

謝罪をお伝えした後は、どうしてトラブルが起こったのか、お客様にとってクレームになってしまった原因をお伝えします。お客様によっては、クレーム自体よりも、その原因が気になっていらっしゃる方もいるので、具体的に伝わるように、どういったタイミングで何が原因で起こったのかということを記載しましょう。

問題発生の原因文例

「お客様にご指摘いただいた点について、弊社内で確認いたしましたところ、製造過程内で異物の混入が認められました」

「お客様からのお申し出について、弊社内で調査いたしましたところ、検品時に問題があったことが分かりました」

このように、お客様からのご連絡について確認したことをきちんと伝えましょう。また、どのような原因がクレームにつながったのかを明示することも大切です。

改善策の提示

問題を引き起こしている原因が分かったところで、企業としてどのように対応していくのか、お客様に的確に伝える必要があります。再発防止に向けて、今後、どのような改善策を用意しているのかを記載しましょう。

また、お客様に対しての保証がある場合は、併せてこちらで提示します。

改善策文例

「今回の問題が再度起こりえないように、対策チームを発足させ、改善へ向け迅速に動いている次第でございます。」

「今後、同じ問題が起こらないよう、再発防止に向けて、検品体制を整える予定でございます。」

「お客様にご購入いただきました商品につきまして、正常に稼働するものを無償にて交換させていただきます。」

クレーム対応メールの結び

クレーム対応メールの結びでは、再度、謝罪をお伝えするとともに、お客様にご連絡いただいたお礼を伝えましょう。お客様によってはクレーム連絡を入れることに罪悪感をもたれている場合があります。お礼を伝えることで、お客様の罪悪感を和らげ好印象を与えることができます。

締めの文例

「再発防止に向け、社員教育を徹底してまいります。今後とも、ご愛顧のほど、どうぞよろしくお願いいたします。ご連絡をいただき、ありがとうございました。」

「弊社製品に対してご迷惑をおかけし、まことに申し訳ございませんでした。今後、同トラブルが起きないよう、品質管理について徹底し、改善する次第でございます。
この度は、ご連絡を下さり、まことにありがとうございました。」

送信前に見直しを

さて、完璧なメールが書けたとしても、文面に問題がないか、再度確認しましょう。特に、言い回しや言葉遣い、誤字脱字は禁物です。お客様の立場になって読み返して、不快感を与えないか、謝罪の意図は伝わっているか、かならず見直してください。

クレーム対応メールの例文

それでは、具体的に企業向けや個人向けにどのようなクレーム対応メールを送ればいいのか、おさらいしましょう。

企業(BtoB)向けの例文

[会社名]
[部署名と役職名]
[担当者名]様

〇〇株式会社 品質管理部門 センター長 〇〇と申します。
平素は、弊社サービスをご利用下さり、まことにありがとうございます。

さて、先日ご購入いただきました商品について一部破損があったとのこと、まことに申し訳ございません。弊社にてお送りいただきました商品を確認いたしましたところ、ご指摘の通り、破損個所が見られました。

原因については、現在調査中ですので、詳細が分かり次第、改めてご連絡差し上げます。
また、商品につきまして無償にて交換させていただきたいと考えております。
つきましては、ご返送先のご住所、宛先を伺えれば幸いです。

お手数をおかけして申し訳ございませんが、何卒よろしくお願いいたします。
この度は、ご連絡を下さり、ありがとうございました。

〇〇株式会社 品質管理部門 センター長 ○○
住所
電話番号
メールアドレス

個人(BtoC)向けの例文

[顧客名]様

〇〇株式会社 品質管理部門 センター長 〇〇と申します。
この度は、弊社製品をご愛用下さり、まことにありがとうございます。

さて、先日○○様にお届けした商品が異なっていたとのこと大変失礼いたしました。
社内で確認いたしましたところ、検品、梱包時に商品の取り違えがあったことが発覚いたしました。この度は、こちらの手違いで〇〇様にご迷惑をかけてしまい、大変申し訳ございません。

つきましては、新たにご注文いただきました商品をお取替えいたします。詳細を確認したいので、〇〇様のご連絡先と、連絡のご都合の良い時間帯を教えていただけますでしょうか。
重ねてのお手数をおかけして申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

〇〇株式会社 品質管理部門 センター長 ○○
住所
電話番号
メールアドレス

クレーム対応メールは迅速かつ適切に

クレーム対応メールは、放っておくと、お客様の感情をエスカレートさせてしまいかねません。お客様に誠実に対応するためにも、クレームメールを受け取ったら、24時間以内に返信するように心がけましょう。

また、お送りするメールの本文は、挨拶、謝罪、原因の明示、改善策、締めの文という並びで記載すると、お客様に伝わりやすくなります。お客様の申し出を踏まえて対応すれば謝罪の意図は必ず伝わります。焦らず冷静に対応してください。

ABOUT US
T.Wada
まだコンピュータが1枚の基盤だった頃からITとともに育つ。約10年のアメリカでのIT開発ディレクター・企業取締役を通じて海外も含めたITの歴史を肌で感じてきた。自身の経験から顧客対応がなぜうまくいかないのかを考える中でカスタマーサクセスを作るクラウドサービス「Re:lation」を開発。3男1女の父。好きな言葉は「日々勉強」。