増え続ける問い合わせ対応でパンクする前に求められるヘルプデスク効率化のアイデアを紹介

商品やサービスの多様化が進み、またスマートフォン、パソコンといったIT機器の普及もあり、メール・電話・チャットなど多くのチャネルからヘルプデスクへの問い合わせ件数が増えています。そのため対応時間も必然的に長くなり、回答の難易度も上がっています。

こういった状況からヘルプデスク業務を人的リソースだけで対応するのは困難になりつつありますが、社外向けや社内向けのヘルプデスクを効率化させるにはどのような方法があるのでしょうか?今回はヘルプデスクの概要から効率化の方法、ツールの導入などについて解説していきます。

ヘルプデスクとは?

ヘルプデスクとは、技術的な問い合わせやトラブルなどの幅広い問い合わせに対応する業務全般を指します。ヘルプデスクには社外向けと社内向けがあり、社外向けはお客様、社内向けは社員からの問い合わせに対する対応をおこないます。

よくカスタマーサポートと混同される場合がありますが、カスタマーサポートとヘルプデスクではカバーする範囲が違います。カスタマーサポートは一般のお客様からの問い合わせに対応し、簡単な商品紹介やクレーム、要望の受付を行います。ヘルプデスクはカスタマーサポートと違い、技術的な対応や専門的な商品説明が主なカバー範囲です。そのなかでもさらに専門的な知識が求められる場合には、テクニカルサポートが対応します。

難易度が上がるヘルプデスク業務

冒頭でも書いたように、商品やサービスの多様化や、パソコンやスマートフォン、タブレットなどIT機器の普及により、ヘルプデスクに対する技術的、専門的な問い合わせは増える傾向にあります。特に社外からの問い合わせでは、問い合わせの種類が増えるとともに相手の理解度の幅も広くなるため、さらに対応が難しくなってきているといえるでしょう。

問い合わせの種類が増えることにより応対者の知識量も増やさねばなりませんが、すべての知識をカバーすることは難しく、内容次第では社内へ対応を振り分けることも必要になってきます。このように近年のヘルプデスク業務は、問い合わせ件数が増えて問い合わせの内容も難易度が上がり、対応方法も多岐にわたるようになってきています。

ヘルプデスクの業務を限られた人的リソースだけで行うには、とても困難な状況となっているのです。このような業務の多様化に適応しながら効率を落とさないためには、業務のIT化やツールの活用も考えていかねばなりません。

ヘルプデスク業務効率化の方法とは?

ヘルプデスク業務を効率化させるには大きく2つの方法があります。問い合わせを減らして効率化する方法と、回答(対応)を効率化する方法です。

FAQを導入して効率化させる

FAQとは、よくある質問(Frequently Asked Questions)の略です。お客様もしくは社内からの問い合わせ内容を収集して分析すると、意外に同じ内容の質問が多く分類も容易なことがわかると思います。同じ内容の問い合わせを今後減らすには、定型的なよくある問い合わせをまとめ、FAQとして公開する方法が有効です。FAQの活用は社外向けにも社内向けにも有効で、社外や社内からの問い合わせ件数を削減できます。

FAQは特別なツールを用いることなく社内で作成可能です。問答集を作る感覚で質問と回答を整理し、社内であればポータルサイトに、社外向けではWebサイトの見つけやすいところにリンクを設定して利用できるようにしておけばよいのです。問い合わせ件数を減らす方法としてFAQはコストパフォーマンスが高く、すぐに実践できるため、ヘルプデスクの業務効率化の方法としておすすめです。

ヘルプデスクのツールを導入して効率化させる

ヘルプデスクを効率化するもう一つの方法は、回答(対応)自体の効率を上げるためにツールを導入してヘルプデスクをIT化することです。

ヘルプデスクをIT化する3つの方法

FAQで問い合わせの数を減らしたあとは、ツールの活用によるIT化が効率化の方法として最適なのですが、ここで紹介するヘルプデスクをIT化するツールは大きく分けて2種類あります。問い合わせの数を減らす2つのツールと、問い合わせに対して回答の効率化を図る1つのツールです。

「ナレッジ共有ツール」:情報共有によって問い合わせを減らす

ナレッジ(knowledge)とは、知識や情報、知見といった意味を持つ単語です。FAQは問い合わせの内容を質問と回答に分けて多くの人に公開し情報共有を行っていますが、ナレッジ共有ツールは多くの人が知りたいであろう情報や知見を、見つけやすいように工夫したツールです。

ナレッジ共有ツールはキーワード検索やファイル検索が可能で、情報としてFAQを掲示したり、さまざまなマニュアル、業務フローなどを整理したりして格納しておくことができます。このような特徴があるナレッジ共有ツールは、社内のポータルサイトからリンクを張って活用するのが一般的ですので、社内向けの情報共有ツールといえるでしょう。社内からの問い合わせであれば、交通費や出張費の申請から物品購入の精算方法など各種申請に関わる問い合わせや、家族の異動や各種厚生手続きなどの労務関連の問い合わせもあり、その内容はテクニカルな内容だけでなく多岐にわたることでしょう。

このような場合にナレッジ共有ツールで業務フローとFAQをすぐに見ることができれば、問い合わせの数をかなり減らすことができるのです。ナレッジ共有ツールは比較的安いコストで導入できるため、FAQとの併用におすすめのツールです。

「チャットボット」:自動応答で問い合わせを減らす

チャットボットとは、「チャット(chat)」と、ロボットを意味する「ボット(bot)」を組み合わせた造語で、テキスト文、もしくは音声で送られてくる問い合わせに対して自動で回答するプログラムのことをいいます。チャットボットには人工知能(AI)型と人工無能(AI非搭載)型のシステムがあり、それぞれ回答の精度が違います。人工無能型のチャットボットでは質問の意図と回答がずれることもあるのですが、双方はコスト的に違いがあるので導入時には回答の難易度で人工知能型と人工無能型を選択する必要があります。ただしどちらも他のツールと比べて利用コストが高めですので、FAQ、ナレッジ共有ツールと導入を進めたならば、次に紹介する問い合わせ管理システムの導入をおすすめします。

「問い合わせ管理システム」:問い合わせを効率化する

上記で紹介した2つのツールは問い合わせの数そのものを減らすツールでしたが、問い合わせ管理システムは問い合わせに対して回答の効率化を図るツールです。問い合わせ管理システムは、メールやチャット、電話などの問い合わせを一元管理できるツールです。

問い合わせ管理システムは社外向けにも社内向けにも利用できるのですが、たとえば社外のお客様からの問い合わせであれば、ヘルプデスクはさまざまな問い合わせ方法に対応している必要があります。電話やメール、チャットなどで入ってくる問い合わせを、人的リソースだけで管理するのはとても煩雑な作業です。お客様からの問い合わせに対する回答は完了しているのか、対応中なのか、または他部署に転送して対応をお願いするべきなのかなど、問い合わせのステータス管理はトラブル防止のためにも必要なことなのです。

問い合わせ管理システムを導入すれば、お客様の問い合わせに対して対応中や未対応、遅れなどが一目でわかるため効率的なだけでなく、アカウントを増やせば他部署のメンバーでもヘルプデスク業務に対応可能です。問い合わせ管理システムは、FAQやナレッジ共有ツールでカバーしきれない問い合わせを管理する、ヘルプデスクを効率化するためのツールなのです。

効率化が求められるヘルプデスクこそIT化が必要

よくある定型的な質問はFAQで対応可能ですが、技術的質問も多いヘルプデスクはどうしても対応時間が長くなりがちです。電話での問い合わせですと調べてから折り返し電話することも多く、顧客対応の場合は漏れや二重対応がトラブルになることも考えられます。ヘルプデスクの効率化をお考えでしたら、問い合わせを一元管理できる問い合わせ管理システムの導入をおすすめします。