問い合わせ業務の2つの課題と3つの効率化の方法とは?

日々多くの問い合わせに対応する部署では、対応品質を落とさず、いかに問い合わせ業務を効率化し、生産性を高められるのかは重要なミッションです。特に、人手不足や業務量の増加などで現場がひっ迫している状況では、早急な業務改善が求められ、頭を抱える担当者も多いのではないでしょうか。この記事では、問い合わせ業務の効率化をテーマに、課題点や効率化に向けた改善ポイントを詳しく解説します。

問い合わせ業務は大きく分けて2つある

問い合わせ業務は「社内からの問い合わせ」と「社外からの問い合わせ」の大きく2つに分類できます。問い合わせ業務の効率化を検討する前に、まずはそれぞれの問い合わせ業務について、内容や特徴をおさらいしましょう。

社内からの問い合わせ業務

社内からの問い合わせ業務とは、自社社員から寄せられる問い合わせに対応することです。情報システム、人事総務、経理などさまざまな分野で「社員の困りごと」を迅速に解決することを目的としています。

問い合わせ内容は「パソコンの調子が悪い」「社内システムがエラーになってしまった」「経費精算のやり方を知りたい」「有給休暇の残日数を知りたい」など、幅広い内容が多いのが特徴です。社員業務に直結するため、的確かつスピーディーな対応が求められます。

社外からの問い合わせ業務

社外からの問い合わせ業務とは、社外のお客様や取引先などからの問い合わせに対応することです。コールセンターやメール、チャット、SNSといった問い合わせ窓口などが該当します。

問い合わせ内容は「商品を注文したい」「〇〇月○○日までに商品を届けてほしい」「機能の使い方がわからない」「商品に不具合がある」などです。商品やサービスに関する問い合わせのほか、要望やクレーム対応など多種多様な問い合わせを受け付けます。

社外からの問い合わせ業務では「企業の顔」としてお客様や取引先と向き合うため、単純に問題を解決するだけでは不十分です。問い合わせのしやすさ、回答のスピード、丁寧さや正確さなど企業イメージアップ、顧客満足度アップにつながる高い対応品質が求められています。

問い合わせ業務で解決すべき2つの課題とは?

社内・社外どちらからの問い合わせであっても、対応業務の効率化を実現するためには解決すべき課題を明確にすることが重要です。ここからは、問い合わせ対応部署が抱えやすい課題について、代表的なものを2つ深掘りして解説します。

問い合わせ対応の件数が多く時間がかかる

近年、問い合わせ件数が増え対応時間が多くかかるようになった理由は、そもそも取り扱う商品やサービスが増えたことと、顧客ニーズの変化から電話窓口だけでなく、メールやチャット、SNSなど複数の問い合わせ窓口設置(マルチチャネル化)が進んだからです。また、チャネルごとにお客様が求める対応内容や対応スピードが異なるため、各チャネルの特徴やお客様心理に合わせた対応が求められています。

そのため問い合わせ件数の増加や難易度の上昇により従来通りの問い合わせ体制では人手不足となり、回答までに時間がかかる、生産性が低下するといった課題が顕在化し、さらには顧客満足度が下がってしまうのです。コールセンターやコンタクトセンターにおける慢性的な人手不足も背景にあり、問い合わせ件数や対応時間の削減といった業務効率化が不可欠です。

対応者によってバラつきがある

対応者によって対応内容にバラつきがある例では「ある対応者は〇〇と回答したが別の対応者は××と回答した」「親身に対応してくれる対応者と最低限の対応しかしてくれない対応者がいる」などがあげられます。

対応品質のバラつきはお客様に混乱や不信感を与え、満足度低下につながりやすい要因の一つです。また、お客様の不満がクレームに発展し、二次対応者による追加のフォローが必要になるなど、問い合わせ業務の生産性を下げる要因にもなりかねません。

一方、多くの対応者を抱えるコールセンターやコンタクトセンターでは、研修が不十分だったり、人材の入れ替わりが激しかったりと、各対応者のスキルやノウハウに差が生まれやすく、属人化しやすいのが現状です。効率化だけでなく、対応品質の維持・向上に向けた取り組みを意識的に実施しながら、業務効率化と対応品質を両立させることが重要です。

問い合わせ業務を効率化させる3つのポイント

問い合わせ業務の効率化に取り組む際に知っておきたい3つのポイントをそれぞれ解説します。

業務フローやマニュアルを見直す

業務効率化の正攻法ともいえる対策です。問い合わせ業務に関わる業務フローやプロセスを見直し、ムダがないかどうか、省略・簡略化できるポイントはないかなどをチェックします。まずは現状の業務フローやプロセスを書き出し、各プロセスが意味のある作業なのかを一つずつ点検しましょう。この時、管理者だけでなく、現場で実際に問い合わせ業務にあたっている対応者へのヒアリングも欠かせません。細かな意見も確実に収集し、問題点を見流さないようにするのがポイントです。

また、対応品質の均一化・均質化のためには業務マニュアルの整備にも取り組みましょう。マニュアル整備には以下のポイントを押さえることが重要です。

  • 読み手を想定しレベル感を合わせた文体や表現をする
  • 要点や目的を明確にする
  • 見出しをつけ見たいところを探しやすくする
  • 図やイラストを用いて視覚的にわかりやすくする
  • 関係者の誰もが参照できる場所にマニュアルの最新版を保管する

また、最初から100点のマニュアルを目指さず、実際に活用しながら内容を定期的にブラッシュアップさせていくことが、マニュアルを形骸化させないためのポイントです。

お客様の声(VOC)を活用する

問い合わせ業務を効率化するためにはVOCを活用することも効果的です。たとえば、特定の製品やサービスに対して同じような問い合わせが多いのであれば、製品やサービス自体に改善ポイントが見つかることもあります。VOCの分析結果から商品やサービスの改善につながれば、結果的に問い合わせ件数が減少し、同じ対応人数でもより多くの問い合わせに対応することが可能です。

また、VOCの活用は問い合わせ業務の効率化だけでなく、お客様の真のニーズや希少な意見を新商品、新サービスの開発に役立たせるために有益な取り組みです。マーケティング戦略や顧客満足度の向上施策として積極的に実施しましょう。

業務効率化ツールを活用する

問い合わせ業務を効率化するためのツールを活用するのも一つの解決策です。たとえば、FAQサイトを開設し「よくある問い合わせと回答」を公開しておくと、お客様の自己解決率が上がるため、問い合わせ件数は減少します。特に同じような問い合わせ内容が多く寄せられている場合では有効です。FAQが最新化されているかどうか、回答内容がわかりやすいか、FAQの配置場所は適切か、検索しやすいUIかどうかなどを確認して、ユーザーのFAQ活用を促しましょう。

また、チャットボットを活用することも効果的です。チャットボットとはユーザーの問い合わせに自動で応答するチャットシステムです。有人対応が不要となるため、問い合わせ業務の効率化につながります。さらにチャットボットは、問い合わせに対する心理的ハードルを感じにくく満足度アップにつながりやすい、24時間、場所を選ばず問い合わせができるなどのお客様側のメリットも多くあります。

最後に、問い合わせ業務を抜本的に改善したいならば、問い合わせ管理システムの導入がおすすめです。電話、メール、チャット、SNSなど複数チャネルの問い合わせを一元管理し、問い合わせ対応部署全体で問い合わせ状況を共有することにより効率化を実現します。また、対応者ごとの業務分担の偏りや、引き継ぎミスを防ぎ、二重返信、対応漏れを防ぐ効果も期待できるでしょう。

問い合わせ管理システムは近年多くの製品が登場しており、機能や使い勝手はさまざまです。たとえば、株式会社インゲージの「Re:lation(リレーション)」では、メール、LINE、電話などの複数チャネルをまとめて管理し、チーム内で対応状況を共有できます。グッドデザイン賞受賞の使いやすい操作性でITに苦手意識を持つ社員でも直感的に操作できる点も特徴の一つです。

問い合わせ管理システムの導入を検討する場合は、機能や操作性をあらかじめ確認するとともに、導入実績を確認するなど、自社のニーズにマッチする製品を選ぶのがポイントです。

問い合わせ業務の効率化をスマートに実現するにはシステム導入がおすすめ

問い合わせ業務の効率化は単純に問い合わせ対応部署の生産性が向上するだけでなく、社外対応では顧客満足度向上や企業の競争力アップ、社内では社員の業務効率化や収益アップにつながる重要な取り組みです。まずは、現状把握と課題点を洗い出し、改善ポイントを組み合わせて効率化を進めましょう。また、問い合わせ業務の効率化を強力、かつスマートに実現したいのなら、問い合わせ管理システムの導入がおすすめです。ぜひ前向きに導入を検討してみましょう。