日々のサポートの質を高めるお客様アンケートの設計

Customer service evaluation and satisfaction survey concepts.
Customer service evaluation and satisfaction survey concepts.

日々のお客様と接している接客業の方、あるいはカスタマーセンターやコールセンターでお客様の悩みの解決に取り組んでいるサポートの方。サポートや現場の接客などは、お客様と直接かかわるとても重要なお仕事の一つです。一方で、直接売上につながらない部署であると認識されることも少なくありません。
その原因のひとつとして、定量的な評価が難しい、目に見えた成果が把握しづらい、といった課題があります。あるいは日々業務の繰り返しの中で、成果として新しいことをしづらい、なにを改善すれば満足度が上がるのか見えづらいという課題も抱えています。

実際に、評価や業務改善を行うにあたって、効果的なのはお客様への対応アンケートです。しかし、このアンケートも決して簡単なものではなく、導入にあたってはいくつものハードルがあります。

日々の生活を思い返していただければ、分かるかもしれません。
自分自身がお客様として実際にアンケートを回答したケース、しなかったケース、いろいろ思いめぐらせてみると、アンケートひとつでも嫌な思いをしたり、あるいは気持ちよかったりすることはありませんか?

なぜアンケートは難しいのか?

なぜお客様へのアンケートは難しいのでしょうか。
ここでは大きく二つの要因を考察してみたいと思います。

1.評価システムの構築のハードルが高い

お客様が対応に満足されているかどうか、を測る仕組みとして、最も効果的で直接的なのが満足度アンケートです。
紙のアンケートを配るのは最も簡単で安価ですが、紙での集計は集計作業にとても時間がかかり、また対面での接客でない限り不可能です。
口頭で満足度を測る、ということも導入するのは簡単です。しかし、面と向かって直接対応者に対して、不満を言えるお客様は多くないでしょう。

また、サポートは一時的なものではなく、ずっと続けていくものです。アンケートも一時的なものではなく、常に行えるものでなければ、お客様の声を反映した改善が生まれません。
しかし、常にアンケート結果を集計し続けるというのは、現場の負担を重くします

自動的に評点を計算されるシステムでなければ、紙のアンケートと変わらず集計の時間もかかります。すると、アンケートフォームを作成し、対応後に適切なタイミングで送付する、というのが理想ですが、そのためのシステムを構築し、実際に運用するには費用も時間もかかります。

アンケートは一見簡単なようで、それを効果のあるものにするためには、実はとても難しいものなのです

2.お客様がアンケートに答えてくれない

お客様にとっては、わざわざアンケートを回答する、というのは大変な手間です。多くの場合、アンケートを回答したらなにかもらえる、というわけでもないのに、お客様の善意に頼ってアンケートをお願いしています。
そのため、回答率が低く、アンケートの結果がお客様の全体像を反映したものになっていないというケースも起こりえます。

手間をかけてアンケートのシステムを確立したとしても、回答率が低ければ正しいお客様の声を汲み取ることは難しくなります。

そして、回答をしてくれないお客様の声こそ、本当に聞き取りたいものである場合があります。何もいわずに解約されてしまった、電話では不満を言っていなかったのに、連絡が途絶えてしまった。そうしたケースは次のサポートへの改善につながりません。

さらに、アンケートに答えてくれたお客様の声をすぐに集計できなければ、別の問題も生まれます。せっかくアンケートに答えて、改善点を指摘したのに、いっこうに改善されない、となれば余計に不満を募らせてしまいます
下手にアンケートだけを用意して、その後の改善フローを考えていなければ、アンケートによって業務を改善するどころか悪化させてしまいかねない事態になります。

どうすれば、お客様の声を汲み取れるのか?

では、どのように対処すれば、正しくお客様の声を汲み取れるのでしょうか。

一つは、現場でより簡単な集計・簡単な導入ができることです。
現場の負担が大きくなる集計方法を導入することで、担当者の業務が増え本業に集中できなければ本末転倒です。
常にアンケートができる、ずっと続けることができる、そうしたアンケートが現場には必要です。

もう一つはお客様に適切なタイミングで、簡単な方法で回答できるアンケートを送付することです。
質問項目が多く、回答に時間がかかるアンケートは回答率が低くなります。
1つ、2つの質問であれば、それほど回答に時間がかからず、お客様の手間も感じさせることはありません。
また、対応後にすぐに質問を投げかけることは、アンケートの回答の正確性を高めます。2日後、3日後にアンケートを回答しても、その時の気持ちや満足度を覚えていないかもしれません。

「適切なタイミングでアンケートが送られること」は、アンケートを業務改善や業務評価につなげる重要なファクターになります。

そして、そもそも日々の改善をしていなければ、アンケートをしていても何の意味もないばかりか逆効果となってしまいます。アンケートの結果をきちんと業務に反映することで、はじめてお客様の声を活かすことができ、業務の質の向上につながります。

お客様の声を本当に大切にしているか

お客様の声を大切に、とはよく言われることです。
しかし、本当にお客様の声を聴こうとしているかどうか、それはアンケートの設計ひとつで大きな差が現れます。

適切なアンケートを適切なタイミングで送り、そしてそれを日々の改善に活かし、次の良い評価につなげていく。そんな良い循環が生まれることで、お客様により良い印象をもってもらえる対応につながっていくのではないでしょうか。

そのようなお客様アンケートの仕組みを整えている企業やシステムはまだ少なく、だからこそお客様の声をすぐに反映できるシステムがある企業はより優位にたつことができます。

お客様アンケートは、日々のサポートの質を高める大切なものです。お客様の汲み取り、よりよいサポートを提供する、そのことがお客様の声を本当に大切にしていることにつながるのだと思います。