人気スマホゲームをカスタマーサクセス視点で捉えること

Game of chess
Game of chess

先日まで4ヶ月ほど、あるスマホゲームにハマってました。

私は10代の頃はよくTVゲームをしていましたが、社会人になってからは時間がなくてゲームから遠ざかっていました。スマートフォンを使うようになってからも、話題のゲームを少しやってみてはすぐ止める。そんな状況でした。

そんな中、「このゲーム面白いよ」との話であるスマホゲームをプレイしてみました。世界中で人気のカードバトルゲームです。

Board game. Cubes with numbers and cards for the game. Evening pastime

「ゲームとして、とてもよくできてる」を言語化

カードを入手、レベルを上げながらネット越しに他人とバトルするこのゲーム、「ゲームとしてよくできてる」と素直な気持ちが沸き上がります。直感的にいいゲームであるとわかります。

それらをさらに言語化してみます。

私が「よくできている」と感じた点はだいたい下記のことがらです。

  • ゲームがしっかりと世界観を持っている。
  • ゲームバランスがよくできている。簡単すぎたり、難しすぎたりしない。
  • 「もう少しでうまくなれそう」「強くなりたい」というやりこみ要素。
  • 操作ストレスのなさ。画面遷移がとてもスムーズ。もさっとした動きがない。
  • UIがよくできている。とても直感的。ボタン・機能があるべき配置をされている。
  • グラフィックが素敵。ムダに派手なところもない。
  • BGMが素敵。状況に応じた雰囲気を的確に盛り上げてくれる。
  • プレイしていてうまくできた時の爽快感。
  • うまくできなかった時の悔しさをプラスに捉えられる。
    (自分以外のせいでうまくいかないと感じさせない)

そのため、スマホゲームでは初めてくらいにめちゃくちゃハマりました。ちょっとした時間を見つけてはどんどんプレイするほどでした。

このゲームもいわゆるスマホゲームとしてはよくある、無料で始められて、必要に応じて課金できるシステム(フリーミアム)を取っていました。
課金システムもよくできていたので、4ヶ月で1万5千円も遣ってしまいました。(人によってはビックリするほど少ない額なのだとは思いますが、私にとっては結構高額だと思っています)

プレイしながら、これまで忙しくてゲームにハマれなかった私がどうしてこのゲームだけはプレイしたくなるのか、いろいろと考えてみました。
そのゲームには、プレイしたくなる理由や要素がたくさんちりばめられていました。それは、私にとってカスタマーサクセスでした。

スマホゲームのカスタマーサクセス要素

そのスマホゲームの楽しさをカスタマーサクセス視点で分解すると、次のような要素になります。

一般的なカスタマーサクセスのフローに当てはめてみます。

  1. <Aquision>ユーザー獲得
    ちょっとした合間にプレイできる。2〜3分で1ゲームができる。
  2. <Recommend>適切なタイミングでの提案
    プレイに連れてステージが上がる。
    上がった時に「期間限定」で購入できる宝箱が現れる。
  3. <Small Start>敷居の低さ
    宝箱は、最初は120円と少額。
  4. <Attention>注意喚起
    中身をチラ見せして購買意欲をあおる。「今しか買えないし、少額だし、これで強いカードが手に入るなら」と購入する気にさせるのが上手い。
  5. <UI>デザイン性
    購入アクションから支払い〜ゲーム画面に戻るまでの画面遷移は至ってスムーズ。ストレスがない。
  6. <CX>顧客体験
    購入すると、宝箱が「ドスン」と手元に来たように大きく描かれる。手元に来た後、「バシャッ」ととても心地よい音で宝箱が空く。キラキラしたアニメーションがまるで実際に宝箱を開いて覗くかのようなわくわく感。
  7. <Retention>再訪・リピート購入
    購入してよかったことがその後のプレイで実感できる。また買いたくなる。
  8. <Referral>紹介・口コミ
    どんどんはまるとその面白さを誰かに話したくなる、薦めたくなる。
  9. <Revenue>収益化
    レベルが上がってくると、少額だった期間限定セールが1,200円、2,400円と急に上がったりするが、ゲーム難度が適切でそのころには不当に高いと感じさせない。

このように、非常に導線がうまく設計されており、このゲーム、もうしばらくハマりそうです。

プレイヤーの購買意欲を「そそらせる」このゲームのポイント

  • 「お金を出させる」ではなく「お金を出したい」と思わせている。
  • 「お金を出す」という行為の見返りとなる十分なビジュアル・サウンド両面の演出ができている。
  • 「あとちょっと」というプレイヤーの心理をうまく突いている。

ゲームにお金を遣うことは旅行にお金を遣うことと似ています。
それは「体験・経験(カスタマーエクスペリエンス)」を得るための行動なのです。コストに見合った体験が得られれば消費者は満足します。また、その体験にコスト以上の価値を感じられれば感じられるほど、満足度は高まるのです。

顧客が求める期待を上回る価値の提供はやはりとても重要ですね。

ABOUT US
T.Wada
まだコンピュータが1枚の基盤だった頃からITとともに育つ。約10年のアメリカでのIT開発ディレクター・企業取締役を通じて海外も含めたITの歴史を肌で感じてきた。自身の経験から顧客対応がなぜうまくいかないのかを考える中でカスタマーサクセスを作るクラウドサービス「Re:lation」を開発。3男1女の父。好きな言葉は「日々勉強」。