企業のカスタマーサポート部門では、お客様からの問い合わせメールに対する返信にとても気を遣われていることでしょう。ちょっとした言葉遣いの誤りが誤解を招き、トラブルに発展してしまうことも十分に考えられるからです。特にインターネット上で批判が殺到して収まりがつかなくなるいわゆる炎上してしまうと、最悪の場合SNSを通じて悪評が広まり企業の価値を落とすことにもつながります。
このようなトラブルを招かない理想的な返信メールとは、どのようなものなのでしょうか?今回は、問い合わせに対して適切に回答することの重要性や適切な回答の要素、返信メールの例文などを紹介していきます。
目次
問い合わせに対して適切に回答することの重要性
カスタマーサポートで大切なことは、お客様の要望に応えることはもちろんですが、対応によって新たな問題を生まないようにすることです。そのためにはお客様からの問い合わせに対して、適切に回答することが何より重要です。
近年は商品やサービスが多様化しているため、お客様からの問い合わせも多くなる傾向にあります。企業のカスタマーサポートや問い合わせ窓口の重要性は、年々増していると言えるでしょう。またお客様から問い合わせる方法も多様化し、以前の主流であった電話に加えメールやチャットでの問い合わせも増えています。電話は「つながりにくい」「待たされる」「直接話すのが面倒」などの理由により、近年ではメールやチャットでの問い合わせが主流になりつつあるのです。
しかし、メールやチャットは文章でのコミュニケーションとなるためにニュアンスが伝わりにくく、ちょっとした言葉遣いの誤りがトラブルに発展することがあります。直接の会話であればすぐに訂正できる誤解も、一度お客様に届いた文章となると修正の方法がありません。SNSが普及した現代ではこのような問題や悪評がすぐに拡散され、最悪の場合カスタマーサポートだけでなく、商品やサービスを提供している企業自体の価値までも下げかねません。
そのため、ちょっとした問い合わせでも対応を疎かにするとすぐにクレームになるのが、カスタマーサポートが直面している問題です。問い合わせ内容にかかわらず、一定品質の適切な対応が求められているのです。
問い合わせメールの返信で適切な要素とは?
では「適切」とはどのような対応を言うのでしょうか?ここでは、お客様とトラブルにならないための返信メールに要求される要素を説明します。
返信までの時間
一般社団法人日本ビジネスメール協会が、仕事でメールを使っている人を対象に行った「ビジネスメール実態調査2022」によると、7割を超える人が「24時間以内に返信がこないと遅いと感じる」と回答しています。また68.2%の人が「メールの返信が遅れてしまうことがある」と回答しており、メールの返信は早いほど相手を不安にさせないということがわかります。カスタマーサポートに届くメールには「操作方法を知りたい」「商品が故障した」など、一刻も早く回答するべき内容も多くあるでしょう。すぐに解決できる問題かどうかは別にして、下記のような一次回答は1時間以内を目標とするべきでしょう。
一次回答の文例
このたびは当社製品〇〇に関してお問い合わせいただき、誠にありがとうございます。
お問い合わせいただいた内容は、当社技術部に確認し調査を進めてまいります。恐れ入りますが、3営業日以内に調査結果または進捗に関しまして、改めてご連絡させていただきます。
お時間をいただき大変申し訳ございませんが、何卒よろしくお願い申し上げます。取り急ぎ、お問い合わせ拝受のご連絡まで。
返信メールに不可欠な要素
お客様に対する返信メールには必要不可欠な要素があります。このような要素はテンプレート化し、抜けのないように返信メールを作成しましょう。
- 件名
ひと目で問い合わせに対する回答とわかるように要件を明確に記載します。 - 宛先
誤字や抜けのないようにお客様名を記入します。特に斉藤(齋藤、斎藤)や、渡辺(渡邊、渡邉、渡部)など同じ読み方で複数のパターンがあるものは誤記しやすいので、必ず返信前に間違いがないか確認しましょう。 - 書き出しの挨拶
「この度は、当社お問い合わせフォームよりご連絡いただきありがとうございます」など、商品やサービスの利用に関するお礼を始めに記載します。 - 発信者の明記
社名および簡単な部署名、発信者の紹介文「株式会社△△のサポートセンター××でございます。」 - 本文
問い合わせに対する回答を明確に書きます。謝罪の場合は謝罪文を適切な場所に入れます。 - 結び
「お手数をおかけしまして恐縮ですが、どうぞよろしくお願いします」など、メール全体を結びます。 - 署名
会社名、詳細な部署名や名前、連絡先(電話番号、メールアドレスなど)を記載します。
読みやすさと適切な言葉遣い
上記のうち本文部分には結論を明確に書くことが重要です。今後の対策が必要であれば、「誰が」「何を」「いつまでに」行うのかをわかりやすく明記します。またお客様の名前だけでなく、本文の誤字・脱字にも十分注意が必要です。加えて丁寧語や謙譲語などの適切な言葉遣いも、応対の品質を左右する重要な要素です。お客様への返信メールには、内容を伝わりやすくするための読みやすさと、適切な言葉遣いが必要なのです。
また文章の間には、クッション言葉と呼ばれる文章を挿入することで、発信者の気持ちが伝わりやすくなります。以下のようなお詫びの言葉とクッション言葉は、お客様との無用なトラブル防止に役立ちます。
適切なお詫びの言葉とクッション言葉
- お詫びの言葉
「ご不便をおかけいたします」「お手数をおかけし申し訳ございません」「お客様のご希望に沿えず申し訳ございません」
- クッション言葉
「僭越ながら」「恐れ入りますが」「大変恐縮ですが」「ご希望がございましたら」「お手数ではございますが」
このようなお詫びの言葉やクッション言葉は、多用すれば逆に嫌味に見えて逆効果になるため、返信メールの始めや終わりなど、適切な箇所に使うことを心がけましょう。
理想的な返信メールの例文とは?
最後に理想的な返信メールの例文を紹介します。返信メールにきまったフォーマットがあるわけではありませんが、先述の不可欠な要素をバランス良く盛り込んで返信メールを作成するのがポイントです。
製品の不具合に関する謝罪メールの例
【件名】当社製品「〇〇」の不具合に関するお詫び
****様
平素より大変お世話になっております。株式会社△△カスタマーサポートセンターの××と申します。
この度は、当社の「〇〇」をご購入いただき、ありがとうございました。
お問い合わせいただきました〇〇の不具合につきまして社内で確認いたしましたところ、当社の▲▲が原因であることが判明いたしました。ご不便をおかけし誠に申し訳ありません。
(原因の詳細説明)
つきましては、近日中に商品の交換に上がりたいと思いますので、改めてこちらよりお電話をさせていただきます。この度は当社の不手際により、多大なるご迷惑をおかけし心よりお詫び申し上げます。
今後は、このようなことを起こさないよう再発防止に努めてまいります。今後とも〇〇をよろしくお願いいたします。
株式会社△△
カスタマーサポートセンター ×× ××
メールアドレス :xxx@xxx
電話番号(会社):xxx-xxxx-xxxx
会社HP:xxx
上記のような謝罪文を含めてお客様に返信する際には、トラブルを未然に防ぐため、上長もしくは複数人による文面チェックが必要です。また対応遅れや対応漏れ、二重対応はトラブルに発展するため、顧客対応のステータス管理も必要です。
ミスコミュニケーションが原因で起きるクレームを防止するには、既存のメーラーでは機能が不足しています。株式会社インゲージの提供する「Re:lation(リレーション)」であれば、上長の承認機能や問い合わせのステータス管理機能も実装しているので、より効率的で品質の安定した顧客対応が可能となります。
メールの返信前には一人で判断せず複数でチェックすることが大切
お客様からの問い合わせメールには素早く返信し、必須な要素を記載することが大切です。また返信前には上長もしくは複数人で返信メールのチェックをすることで、不要なトラブルの防止につながります。問い合わせメールを一元管理し、応対の品質を保つには、問い合わせ管理システムの導入が最適でしょう。問い合わせ業務の効率を向上させ、顧客満足度を上げるためにも、このようなシステムの導入を検討していきましょう。