問い合わせ対応にチャットを導入する企業が増えています。チャット導入によって、どのような効果が見込めるのでしょうか。ここでは、チャット導入によるメリットと注意点を解説します。すでに導入している企業の導入事例や効果的に活用していくためのポイントも紹介しています。顧客の購買意欲をつなぎとめるために、ぜひ、参考にしてください。
チャットサポートの導入で何が変わる?
近年、チャットによるサポート体制を整える企業は急速に増えています。チャットを導入することのメリットはたくさんあり、注意点を押さえつつ有効活用できればサポートを充実させていくことも可能です。導入によってどんな変化がもたらされるのか、メリットと注意点を確認しながら見ていきましょう。
チャット導入のメリット
チャットサポートの導入によるメリットには以下のようなものが挙げられます。
電話が苦手なお客様にも対応できる
電話が苦手な人でも、チャットであれば問い合わせてもらえる可能性が高くなります。
メールや問い合わせフォームから問い合わせるという方法もありますが、いずれも手間がかかりますし、回答までに時間差が生じるものです。チャットは、見込み顧客から消えてしまいがちな、この層を新たに取り込むことができます。
自動応答振り分けで対応を効率化
チャットのAI機能に、問い合わせの初めの段階の内容確認を任せることができます。問い合わせ内容が簡単なものであれば、AIでの質疑応答で解決できてしまうものもあるでしょう。より詳細で専門的な内容に入ったときに、1to1で対応していけばよいので、サポート業務を効率化できるのです。
人で対応すべきサポートに時間を割けるようになります。
顧客接点(問い合わせ)の機会が増える
チャットサポートは、疑問が湧いたそのときに簡単に使えるというハードルの低さがあります。このことが問い合わせの数を増やします。つまり、顧客接点が増やせるということです。
問い合わせの数が増えると、より多くのデータが集められます。マーケティングのための情報収集という意味でも有効であり、より効果的なマーケティング戦略を練ることができます。
購買意欲が失せないうちに対応できる
疑問が湧いても、手間がかかれば面倒ですし、時間を置くほど「知りたい」という意欲も失せてしまうものです。メールや問い合わせフォームからの問い合わせは、回答までに時間がかかります。
チャットは、どこにいてもリアルタイムな対応が可能となるため、せっかくの購買意欲が失せてしまう可能性も減らせるのです。
購買までの情報収集や比較検討にインターネットが使われる確率が高くなった現在、類似商品は市場に溢れています。他社のページ(商品)に移ってしまう前に、見込み顧客をつなぎとめることができるのです。
説明を可視化・記録できる
電話でもリアルタイムに対応することが可能ですが、すべてが口頭での説明になります。わかりやすい説明を心がけたとしても、問い合わせるお客様の記憶力や理解力に頼りながらの対応となるでしょう。
チャットであれば、文字で説明を残していけるため、問い合わせ対応が終わったあともその履歴を確認してもらうことができます。また、チャットで説明する際に、画像や資料を見せたり、参照URLに誘導したりすることも可能です。
チャット導入時の注意点
メリットの多いチャットサポートですが、気をつけるべき点もあります。ここから、チャットサポートを導入する際の注意点を見ていきましょう。
システムの構築が必要
チャットサポートを行うには、WEBサイトなどにチャットシステムを組み込む必要があります。既存のシステムも続々と登場しており、企業の導入も活発化しています。組み込みの難易度は、それほど高くないものも増えているようですが、やはりコストはかかります。
チャット担当者の配置・教育
チャットサポートを実施すると問い合わせの数が増えることがメリットですが、対応する担当者をあらためて配置しなければなりません。
チャットは、文字での対話になるため、電話でのトークスキルとは少し求められるものが異なってきます。基本のコミュニケーションスキルだけでなく、チャット独自のコミュニケーション能力を備えた人材が必要です。
対応がリアルタイムになる分、問い合わせるお客様もスピーディーな回答を期待します。詳細の商品知識と迅速な回答が不可欠です。
担当者は、端的にわかりやすく、それをタイピングで伝える能力を身に付けておく必要があります。チャットシステムの導入にあたっては、明確な対応指針を策定した上での、人材教育も欠かせません。
サービスによってはチャットが邪魔になることも
WEB上に表示されるチャットサポートのウィンドウを邪魔に感じるお客様もいます。WEBページを読んでいて何らサポートを求めていないのに、ポップアップなどが表示されると不快を覚えるユーザーは少なくありません。
せっかく興味を持ってWEBサイトを訪れてくれているのに、ポップアップで表示されるチャットウィンドウが離脱の要因になることもあり得るのです。チャットの存在をどのように示すのか、どのタイミングで表示するのかなどは熟慮した上で設計することが大切です。
問い合わせチャット導入事例
チャットサポートの設計は、決して一律ではありません。各企業が、工夫を凝らしてサービスにチャットシステムを組み込んでいます。ここで、チャットサポートを取り入れている企業の導入事例をご紹介します。
東京ディズニーリゾート
東京ディズニーリゾートは公式サイト内でチャットサポートを行なっています。問い合わせ画面に移ると、チャット画面に「チャットで受け付ける問い合わせ内容」と「対応できない内容」と「問い合わせ受付時間帯」が明確に表記されます。事前確認できるようになっていて親切です。
森永製菓
森永製菓は公式サイトの問い合わせ窓口の画面右下にチャットボットが表示されるようになっています。ちょっとした質問はチャットボットが即時対応するような仕組みが取られているようです。ボットであれば24時間の対応が可能です。
ユニクロ
ユニクロのオンラインストアでは、人のチャットサポート対応とチャットボットの両方が用意されています。
よくある問い合わせの内容をボットでの自動対応にして、人対応のチャットでは混雑状況も表示されています。ボットは24時間対応で、人対応のチャットの対応時間や空きを待つ間にボットで解決できる質問もあるかもしれません。
富士薬品
富士薬品は、カスタマサポートセンターの公式ページにAIお答えロボットが常駐しています。AIの自動対応により、人で対応すべき問い合わせ内容のほうに注力できるように工夫されているようです。
問い合わせ数を増やすならSNSとの連携も
チャットシステムを普及率の高いSNSと連携させることで、問い合わせの数をさらに増やすことができます。日本ではLINEやTwitterユーザーの割合がかなり大きいため、気軽な問い合わせを促すことができるでしょう。つまり、見込み顧客数の向上も見込めるということです。
現在は、そのニーズはかなり認識されているのでほとんどのシステムサービスで連携できるようになっていると思われます。チャットシステムの選定の際にも、SNSツールとの連携が可能かどうかはチェックされることをおすすめします。
チャットツールが問い合わせを促す!対応強化が必須
問い合わせにチャットを加えるとハードルが下がるため、問い合わせの数が増えます。
貴重な見込み顧客をつなぎとめ、データはのちのマーケティングにも役立てられるでしょう。チャットをどこに組み込み、どのタイミングで表示するかなどは自社のサービス内容にしっかりフィットさせることが大切です。
システムや担当者教育などそれなりの準備が必要とされますが、チャットのメリットを十分に引き出す使い方で顧客満足度を向上させていきましょう。