ECサイトでの商品販売は、実店舗での販売に比べて少ない投資で大きな利益を得られる販売方法です。ただしECサイトの立ち上げは実店舗の立ち上げとは異なり、ネットショップならではの手順がいくつか存在します。企業としてECサイトの立ち上げを考えたときに、その手順にはどのようなものがあるのでしょうか?今回はECサイトの運用方法から立ち上げの手順、立ち上げ後に注意したいことなどを解説します。
目次
ECサイトの運用方法は大きく2つある
一口にECサイトといっても、その運用方法は大きく2つに分けられます。自社でECサイトを構築する「自社サイト型」と、あらかじめ作られたモール(インターネット上に作られた仮想の商店街)内に出店をする「モール型」です。
これらはどちらが良いというわけではなく、それぞれにメリットやデメリットがあるため、ECサイト構築のための予算と、運営する目的に合わせて選択します。ここでは、それぞれの運用方法や構築方法にはどのような違いがあるのか、またどのようなメリットやデメリットがあるのか紹介します。
自社サイト型
自社サイト型(自社EC型とも呼ばれます)は、サイトの構築方法にいくつかの種類があります。自社サイト型は、以下のどれかの方法を用いて自社の力でECサイトを構築しショップ運営を行います。
- ASP型
ASPとはアプリケーションサービスプロバイダーの略で、近年はSaaS型とも呼ばれます。主にクラウドで用意されている機能ブロックを組み合わせ、ECサイトを立ち上げていきます。あらかじめ用意された機能ブロックを組み上げていくだけですので短期間でECサイトを構築でき、ショップの開店も迅速に行えるのですが、用意された機能以外の追加が難しいのが難点です。自社の特徴を出したショップ運営をするのであれば、他の方法がいいでしょう。
- オープンソース型
オープンソースとは、それぞれのオープンソースによって、使用や修正、再配布の条件は異なりますが、作者が自らの意思で公開し、使用や修正、拡張、再配布が可能なものとして配布しているソフトウェアの総称です。オープンソース型はこのソフトウェアを使って自社でカスタマイズしECサイトを構築します。この方法は自社の特徴を前面に出したECサイトの構築が可能である反面、プログラミングの知識が必要になるため自社にエンジニアがいなければ外部にプログラミングを委託する必要があります。デメリットは外部に開発を委託する場合、ASP型に比べて構築や修正にかかる投資額が大きくなることや、開店までの期間が長くなることです。
- パッケージ型
一般的に販売されているECサイトのパッケージを使ってサイトを構築する方法です。従来はパッケージで箱に入って販売されていましたが、現在ではダウンロードする形態が一般的です。パッケージ型はASP型と同様にほぼECサイトの形が決まっているものが多いのですが、設定により若干のカスタマイズができる製品もあります。
- フルスクラッチ型
フルスクラッチとは、ソフトウェアやシステムをゼロからつくりあげることをいいます。つまりECサイト構築のフルスクラッチ型とは、既存のプログラムやパッケージ、機能ブロックなどを使用せずゼロからサイトを構築する方法です。自社の特徴を生かしたオリジナリティのあるECサイトを構築できますが、開発への投資は高額になります。また要件定義や開発などにも時間がかかるので、開店まで相応の期間を要します。
自社サイト型のメリット
- 構築方法によってはカスタマイズ性が高くシステムの拡張性に優れている
- オリジナリティのある店舗を作りやすい
- 同じサイトには他店はいないので競合が起きにくい
- 集客や販促に制限がないので大きな利益が見込める
自社サイト型のデメリット
- 構築方法によっては開店まで時間がかかる
- 構築方法によっては投資額が高くなる
- 集客も含めたすべての運営を自社でする必要がある
モール型
amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなど、他社が用意したモールに出店する方法をモール型といいます。
モール型のメリット
- 自社サイト型のように初期投資がかからない
- モールに申し込めば迅速に開店できる(所定の審査がある場合もある)
- モール自体に集客力がある
- モールに対してはお客様の信頼がすでにある
- 運営に関してはモール運営企業からのサポートがある
モール型のデメリット
- 他店に埋もれてしまう可能性がある
- 他店との価格競争が激しい
- テナント料や販売手数料を払う必要がある
ECサイトの構築でどちらの方式を選ぶかは、サイトのオリジナリティや予算、開店までの期間によって、総合的に判断するといいでしょう。
失敗しないECサイトの立ち上げ手順とは
ここでは一般的なECサイト立ち上げの手順を説明します。
- ECサイトのコンセプト・事業目標を決定する
最初にどのようなコンセプトでECサイトをオープンするのか?どのような商品を売るのか?など事業計画を考えます。これはサイトの方向性を決める大事なプロセスで、後からは容易に変更できないので慎重に検討を重ねましょう。年間・月間の販売目標なども決めます。
- 要件定義
ECサイトのコンセプトを実現するために必要な機能やシステムなどを定義していきます。
- EC構築方法決定
必要な機能やシステムなどが定義できたら、自社サイト型にするかモール型にするか決めます。自社サイト型を選択したのであれば、予算や期間、機能、自社内のエンジニアの有無に応じてASP型、オープンソース型、パッケージ型などから選択します。
- 決済種別の選定
販売に関わる決済種別を決めていきます。クレジット決済やID決済(PayPay、Amazon Payなど)、コンビニ決済(決済代行)などの決済種別を選択し、それぞれの決済手段を運営する企業と契約を始めます。
- サイト構築
選択したECサイトの構築方法に応じてサイトを構築します。選択した方法によって開店までの期間が変わります。
- 商品登録・開店準備
ECサイトの構築がある程度まで進んだら、実際に商品を登録し開店の準備をします。不具合があればここで修正します。
- テスト注文
サイト構築の最終段階としてテスト注文をして、カゴの動作や決済が異常なく動作しているかを確認します。また在庫との連携状況も確認します。
- ECサイトオープン
最終的なECサイトのテスト・評価を終え、オープンします。
ECサイトはオープンして終わりではありません。運営に問題がないか常にPDCAサイクルを回して改善します。また運用開始後はサイトを陳腐化させない素早い商品登録と顧客対応がとても大切です。
立ち上げ後は商品の更新と顧客対応が重要
ECサイトを立ち上げてから、新しい商品の登録が遅れれば魅力のないサイトになり、顧客対応が悪ければ顧客満足度が下がってしまいます。また他サイトの商品情報も積極的に収集し、自社のECサイトが他社サイトに比べて陳腐化していないかどうかも常にチェックしておきましょう。
重要なことはお客様を引きつける魅力的な商品の登録・更新と顧客対応です。特に顧客対応はサイトの評価を決める重要な指標です。
たとえば新商品がサイトに登録されると、カスタマーサポートには商品に対する問い合わせが増える傾向にあります。問い合わせに対する対応遅れや漏れ、二重対応などの管理が不十分ですと、お客様とのトラブルに発展するおそれもあります。
現在はSNS全盛の時代で、お客様とのトラブルは炎上につながり、企業としての評判を落とすことにもなりかねません。問い合わせは担当者ごとにバラバラに管理せず、問い合わせ管理システムを導入して一元管理するのがおすすめです。
ECサイトのカスタマーサポートにメール共有システムや問い合わせ管理システムを使えば、カスタマーサポート部門の品質は飛躍的に向上します。株式会社インゲージの「Re:lation(リレーション)」であれば、お客様からの問い合わせ対応に必要な機能をすべて実装しています。
高い運用品質がECサイトの売上を伸ばす
ECサイトの運営は、サイトを立ち上げて終わりではありません。その後の運営品質が悪ければサイトの評判は悪化し、最悪の場合お客様から敬遠されてしまうことも考えられます。高い運営品質を保つためには、商品登録の回転を早くすることと、他サイトの情報をこまめに集めることです。また、顧客対応にも細心の注意を払う必要があります。お客様からの問い合わせ管理には、問い合わせ管理システムの導入がおすすめです。