管理業務でエクセルを共有した場合のメリットとデメリットについて

エクセルは表計算ソフトとしてはもちろん、表付きの書類やスケジュール管理表としても使え、ワードやパワーポイントなどと比べても、その汎用性と使いやすさが魅力のオフィスソフトです。さまざまな用途にエクセルを使っていると思いますが、多くの人と共有するとデメリットが発生する場合があります。今回はエクセルを管理業務に用いるメリットとデメリットについて解説していきます。

さまざまな管理業務に使われているエクセル

多くの企業や個人に使われているエクセルの魅力は、文章(テキスト)と表、画像などを混在させやすいことでしょう。表計算部分にグラフや図形の挿入も自由自在なことから、企業では以下のような管理業務によく使われています。

  • タスク管理表

タスク管理表とは、ひとつの業務をタスク(やらなければならない課題や仕事の最小単位)分けし、未完、完了を管理する帳票のことです。あるセルにタスクを記入し、隣のセルに未完や完了、実行中のテキストを入れておけば、エクセルのフィルター機能で未完のタスクだけを抽出できます。このセルに日付やインデックスナンバー、各種情報を入れておけば、タスクのステータスごとに並べ替えや抽出が自由自在に行えるわけです。

  • 顧客リスト

顧客の住所、氏名、メールアドレス、購入履歴などもエクセルを使えば見やすく、また二次利用もしやすく管理できます。SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)からもCSVでリストを出力できるようになっていることが多いため、顧客リストはエクセルでの管理に向いているといえるでしょう。

  • 問い合わせ管理シート

カスタマーサポート部門で、顧客からの問い合わせを管理、整理するためにもエクセルのシートは使えます。列方向(縦方向)に顧客からの問い合わせ内容を並べ、行方向(横方向)に管理ナンバー、担当者、重要度、現在のステータスなどを並べていきます。このような問い合わせ管理表も、タスク管理表と同様にソート機能(並べ替え機能)とフィルター機能を使えば、必要に応じて内容を見やすく整理できるのです。

  • スケジュール表

エクセルには矢印や点線などの図形も挿入しやすいため、スケジュール管理にも向いています。たとえば列方向にタスクを、行方向に期間を設定すれば、ガントチャートと呼ばれるスケジュール管理表ができあがります。また完了したタスクは「非表示」にすることにより、今やらなければならないスケジュールを見やすく表示することもできます。

  • 見積書・請求書

計算式が文書内に入る書式はエクセルの得意分野です。表の中に販売金額などを入れていけば、消費税計算も自動的に行ってくれます。またシートをまたがっての計算も容易なので、見積書や請求書の管理にはよくエクセルが使われます。

  • 小口現金出納帳

エクセルの特徴を一番活かせるのが経理帳票でしょう。シートを月ごとに分ければ出納帳も作成可能。シート間の連携機能を使って年度の集計も簡単に行えます。

  • トラブル管理表

トラブルの事例を列方向に並べ、行方向には重要度や対処済か否か、今後の対処方法などを並べていけば、トラブルの管理表ができあがります。フィルター機能を使えば似通ったトラブルがどれくらいあるかを分析可能で、重要度別にソートし直すこともできます。また分析結果はグラフに出力可能なので、報告書にも使えます。

  • アンケート

顧客アンケートの整理に使う場合も、フィルター機能がとても便利です。似たような意見をまとめて表に数をまとめれば、グラフで見やすく表現できます。数値を修正してもすぐにグラフに反映されるので、報告資料にはとても便利です。

上記のようにエクセルはさまざまな用途で使えるのですが、よく見ると個人で使うものとグループで共用するものが混在しています。じつはエクセルは共有して使うと思わぬ問題が発生することがあるのです。

エクセルの弱点は同時編集できないこと

工夫次第でさまざまな業務に使えるエクセルですが、使う用途によってはメリットとデメリットが発生します。ここで整理しておきましょう。

エクセルを管理業務に利用するメリット

  • 導入が容易

エクセルは今やほとんどの企業で導入済のMicrosoft Officeのソフトで、ほとんどの人は何らかの形で使ったことがあるでしょう。改めて経費がかかることもなく管理業務には導入しやすいといえます。

  • さまざまな表現や分析が可能

表計算にテキストだけでなく、グラフや図、画像も挿入できる汎用性の高さもエクセルのメリットです。体裁を整えれば、そのまま報告資料や提案資料としても使えます。

  • 部門内で共有しやすい

Microsoft Officeはオフィスソフトのデファクトスタンダード(事実上の標準)となっているので、部門が違ってもほとんどの人のPCにインストールされていることでしょう。エクセルのファイルは誰に渡しても読み込みや修正ができ、とても共有しやすいものです。

エクセルを管理業務に利用するデメリット

  • データ量に限界がある

エクセルのファイルは、1シートの行数が1,048,576行(Excel2003までは65,536行)までとなっており、保存できるデータ量に限りがあります。

  • 同時編集ができない

エクセルのファイルは、同時に複数の人間が編集することはできません。誰かがファイルを編集している間は、別の人は閲覧のみの状態になります。またこの状態では変更がリアルタイムで反映されるわけではなく、閲覧者は現在の編集者が保存する前のファイルを閲覧できるのみです。常に多くの人が使う共有の管理シートとしては不便でしょう。

  • 容量が増えると重くなる

画像や図を多く挿入するとデータ量が増え、ファイルの動きが重くなる傾向にあります。セルやシート間の移動が緩慢になり、編集しにくくなってしまうのです。

業務で使用する場合にメリットの多いエクセルですが、共有ファイルとして使うには編集履歴が追えず、同時編集ができないことが大きなデメリットになるわけです。

多くの人が同時にアクセスする場合は専用システムが必要

エクセルのデメリットを整理すると、常に多くの人が使う共有の業務管理表としては不向きなことがわかります。たとえばカスタマーサポート部門で顧客からの問い合わせ管理にも使えると書きましたが、多くの人が常にアクセスする場合はやはり不向きです。カスタマーサポート部門の担当者が多くなれば、同時にアクセスする必要が多くなり同時アクセスができないエクセルの表では業務が非効率になるわけです。

エクセルがとても便利なツールであることには変わりがありませんが、重要なことは用途を分けることでしょう。たとえば顧客からの問い合わせ管理などであれば、「誰が」「いつ」「どのように」対応したかがとても重要です。対応の遅れや漏れ、二重対応などは顧客とのトラブルにつながりかねないため、履歴や現在のステータスを遅滞なく管理する必要があります。履歴が記録でき2人以上が同時に問い合わせ管理を行うのであれば、エクセルではなく専用のシステムを用意するべきでしょう。

顧客からの問い合わせに専用の問い合わせ管理システムを使えば、カスタマーサポートの品質は飛躍的に向上します。株式会社インゲージの「Re:lation(リレーション)」であれば、お客様からの問い合わせ対応に必要な機能をすべて実装しています。

ツールは適材適所で使うことが大切

エクセルは表計算ソフトでありながら、さまざまな用途に使えることが魅力です。ただし今回解説したように、履歴の管理と同時編集はできません。ツールは適材適所で使うことが大切で、このような管理が必要になるのであれば、専用の問い合せ管理システム導入をおすすめします。