カスタマーサービスにとって電話対応の対応力は欠かせないスキルです。電話対応は簡単なようで難しく、最初のうちは多くの人がカスタマーサービスの対応が上手くいかなかったことで落ち込んだり悩んだりします。お客様と上手に話せるようになるために身につけたい解決策や、カスタマーサービスに必要なスキルについて説明します。
目次
カスタマーサービスは「企業の顔」
カスタマーサービスは電話応対で顔が見えないポジションでありながら、企業の顔とも言える仕事です。そして、その対応次第でお客様の企業の商品やサービスへの印象が変化し、決定されてしまう重要な立ち位置であるということを忘れてはいけません。
したがって、適当な対応をしてお客様に対応が悪いと思われたり悪い印象を与えると、直接は関係ない商品のイメージまでもが悪くなってしまいます。
最近では不満をもったお客様がSNSなどに書き込んで悪い印象があっという間に広がり、企業のブランドイメージを下げたり売上減少につながってしまうことも多いですよね。カスタマーサービスが心掛けたいことは、お客様の全てに丁寧に対応して企業の顔としてブランドイメージを良くしていくことです。
カスタマーサービスに必要なスキルと知識
カスタマーサービスの対象となる顧客は幅広く、ただの取り次ぎの電話対応と違ってカスタマーサービスに求められるスキルや知識も多くなります。同じように人と接する職業であると言っても、カスタマーサービスと営業や販売などの職業では求められるスキルや知識が異なると言えます。
カスタマーサービスでは豊富な商品知識をもって電話でしっかりと説明できる能力が必要となるだけでなく、電話をガチャ切りされたりクレームをされたときにも弱気にならないストレス耐性の強さが必要とされているのです。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力の高さはどんな職業でも重要視されますよね。特に、カスタマーサービスのように相手から顔が見えない職業の場合には、声だけでお客様とコミュニケーションを取っていかなければいけません。
したがって、わからないからと言って黙ってしまうようではお客様を不安にさせてしまいます。カスタマーサービスの仕事で重要なコミュニケーション能力では、どんなお客様が相手でもその相手に合わせ、適切な対処ができなければいけません。
もちろん、”対人的な好感度”も必要となるので感じの良い対応をしなければいけません。
お客様の声を「聞く」姿勢
お客様の中には一方的にまくしたてられることを苦手としている人もいます。例えば、クレーム対応でお客様の話を聞かずに自分の話をわかってもらおうとしても怒っているお客様は話を聞いてくれないですよね。
カスタマーサービスの仕事は自分がメインで話すことではなく、お客様とコミュニケーションを取って要望を聞いていくことです。したがって、”聞く”ことが最も大切なことのひとつになります。
お客様の要望がどんな内容であっても聞く態度を示せば、顧客満足度は向上します。クレームを言いたいお客様の中には自分の話を聞いてもらいたいという人が多いので、説明をする前にまずお客様の話を聞いてその時の状況に合った対応をしていくと良いでしょう。
カスタマーサービスは対応力によって自分のファンを作ることができ、指名で電話を掛けてきてくれるお客様も増えます。自分のファンができるのはモチベーションにもつながり、自信を持って対応することができるようになるでしょう。
明るいトーンではっきりと話す
消費者として電話を掛けた時に電話の向こうにいる相手の声が暗いと不安な気持ちになったり、不快な気分になったりしますよね。もちろん、声の高さには個人差があり、それが顧客満足度に直結する訳ではありません。
しかし、地声よりも少し声を高くすることを意識して電話対応をすることによって、明るいトーンになって感じが良く聞こえるというメリットがあります。また、ボソボソとした話し方をすると相手が聞き取りにくいので、電話対応をする時には明るい声でハッキリとした話し方をすることを心掛けましょう。
最低限の礼儀を踏まえた話し方
電話対応で相手を不快にさせないためには最低限の礼儀を踏まえた話し方ができなければいけません。礼儀がないと感じさせる話し方としては、敬語が正しく使えていなかったりお客様の話を聞く姿勢がない適当な対応が挙げられます。
例えば、電話対応で相槌として「うん」と言ってしまう人は少なくありません。これは友達相手なら良いのですが、相手がお客様や上司である場合には正しくありません。そのため、電話対応全体としては他がしっかりとできていたとしても、この対応ひとつでそれを台なしにしてしまうことも少なくないのです。
最低限の礼儀を踏まえた話し方によって、相手がこちらの話を聞いてくれる姿勢を作ることができるようになるなどのメリットがあります。
対応・説明力
カスタマーサービスには初心者にでもわかりやすく的確に説明できるような能力や、お客様の状況に応じた対応ができることが求められます。
お客様はわからないから電話をしているのに説明が下手だとわかりにくい説明を続けることになってしまいますし、ある程度の臨機応変な対応ができないことで顧客満足度が下がってしまう可能性があります。
もちろん、最初は顧客への対応や説明が上手くいかないこともあるでしょう。しかし、カスタマーサポートの仕事は経験を積めば積むほど電話対応が上手になり、臨機応変な対応もできるようになります。
上手くいかないことがあったとしても、自分には向いていないと思わずに数をこなすことで慣れていってください。
商品・サービスの知識
カスタマーサービスは電話で説明をするため、商品やサービスについて知識をもっていなければいけません。しかし、仕事を始めたばかりの時は自社の商品やサービスについての知識がなく、わからないことばかりですよね。
カスタマーサービスの仕事をすると言っても、最初から100%の知識を求められる訳ではありません。最初は誰でもわからないことがあって当たり前なので、周りに聞きながら少しずつ覚えてできるだけ早く自分ひとりでも対応できるようにできれば大丈夫です。
問題解決力
カスタマーサービスの仕事はお客様に説明をするだけでなく、迅速にお客様の問題を解決に導くなど幅広いスキルが必要です。そのような問題解決力を身に着けるためには、ただマニュアル通りの仕事をこなすだけではなく自分自身で考えて問題を解決する力を身に着ける必要があります。
そのためには色々なお客様の要望を聞き、スピードと正確さの両方を重視しながらさまざまなケースの仕事を経験していかなければいけません。
お客様対応時の心得
お客様対応時の心得としては、お客様をお待たせしないように電話はできるだけ3コール以内で取ったり、お客様が不愉快な気分にならないように配慮しながら対応をすることを心掛けましょう。
具体的にお客様を不愉快な気分にさせる電話対応とは、カスタマーサービスに自分の話を聞いてもらえずにカスタマーサービス側の言い分を通そうとしたり、適当な対応や電話のガチャ切りをされることです。
カスタマーサービスにはたくさんの電話が掛かってきますが、それでもなかなかつながらなかったり、お客様が電話を切る前にガチャ切りをするとお客様を嫌な気分にさせてしまいます。
3コール以上鳴ってから電話を取った時には「大変お待たせいたしました」と言ったり、お客様が電話を切るのを待ってから電話を切るだけでも印象は違います。
また、忙しかったとしても話すスピードをお客様が聞き取りやすいようにゆっくりにし、今の電話相手のお客様に向き合うことが大切です。
問い合わせ電話対応の悩み別解決策
お客様がカスタマーサービスに電話する用件としては、問い合わせが最も多いと言えるかもしれません。お客様はその問い合わせでカスタマーサービスとやり取りをする中で、対応力を見ています。
例えば、クレームに対するカスタマーサービスの態度に誠意を感じられないと、不快な気持ちやお客様の怒りは大きくなりますよね。そのような問い合わせやクレームをするお客様に対し、カスタマーサービスとしてスムーズにやり取りをするための6つの悩み別解決策を紹介します。
クレーム対応が上手くいかない
カスタマーサービスの対応力が問われることのひとつとして、クレーム対応が挙げられます。クレーム対応は電話対応に慣れているカスタマーサービスでもできれば避けたい電話対応とも言えます。クレーム対応が上手くいかない理由としては、最初から怒っているお客様に対してやってはいけないことをしてしまっている可能性があるからです。
例えば、強い口調のクレームだからと言って怯えているような態度を取れば、お客様は自分が悪者にされた気持ちになって気分を害されるかもしれません。逆に、適切なクレーム対応ができればお客様の態度や言い方も柔らかくなるはずです。
正しいクレーム対応としてはまず誠実な態度で謝罪をし、お客様の話を聞いてどんな状況かを把握していきましょう。ここで上手く状況がつかめないと困ったことになりかねません。なぜなら、中にはお客様の勘違いである場合やただのクレーマーの可能性もあるからです。
話を聞いた上で必要であれば商品の交換などの提案をし、最後に再度の謝罪と感謝を伝えればお客様に悪い印章は残らないはずです。自分ひとりでの判断が難しいケースやクレーマーだと思われる場合には独断で勝手なことは言わず、上司に相談をしてその指示に従ってから対処するのが良いでしょう。
滑舌が悪く聞き直されることが多い
滑舌が悪くて聞き直されることが多い場合には、電話対応に苦手意識ができてしまいます。滑舌が悪い理由はさまざまですが、主に舌や口の周りの筋肉が衰えていたり、母音や子音の発音がしっかりとできていないことが原因とされています。
つまり、舌や口の周りの筋肉を鍛えたり、母音や子音をしっかりと発音することを意識するだけでかなりの改善が期待できるのです。滑舌が原因で聞き返されることが多い人は、手軽にできる舌や口の周りの筋肉を鍛える体操を毎日行い、滑舌を良くする努力をしてみてください。
なまりが強い
地方出身の人に多い悩みには、なまりや方言が抜けないことが挙げられます。これはその地方で就職する場合にはあまり問題にならないのですが、標準語を話す地域では気になる人も多くいます。
なまりが強いことが自分でもわかっていたら外国語を学習する時のように、テレビやyoutubeなどでリスニングして発音することで標準語の発音をマスターしましょう。
また、方言は言葉によっては別の地方では失礼な意味に取られたり、違った意味に受けとられることがあります。だからこそ、自分の地方の方言が標準語でも同じ意味を指すのかを知っておくことは大切です。
最初はなまりが強いという人は、同じ地方の人から電話がかかってきた時には聞き取れるという意味では強みをもっています。なまりを改善するのも大切ですが、電話応対では自信を持って良いでしょう。
高齢のお客様が多く対応の仕方がわからない
総務省が2014年9月に発表したデータによると、65歳以上の高齢者人口は3,296万人で、何と総人口の25.9%という高い割合を占めていることがわかります。
カスタマーサービスではそのような高齢のお客様にも対応していかなければいけませんが、高齢のお客様の中には耳が遠くなったり理解力が落ちたりしていることからその対応が難しく対応の仕方がわからないという人もいます。
高齢のお客様は話を聞いて欲しいという人も多いので、まずしっかりと話を聞いた上で聞き取りやすいように大きな声でゆっくりとハッキリ話すようにすると理解してもらいやすくなります。
説明が上手くできない
カスタマーサービスの中には説明が苦手な人もいて、初心者ほどその割合は高くなります。初心者はお客様の話を上手く整理できないため説明が上手くできなくなってしまいます。
電話対応をする時には初心者、ベテラン問わずメモを取ることは必須となります。メモを取ることによって電話対応で話を聞いていただけではわからなかったところまで理解することができるようになります。
他にも復唱をすることは理解力を高めるだけでなく、実際に違った時にはお客様から訂正してもらえるので効果的です。上手く説明ができない理由は自分がお客様の話を理解できていないからだということも多いので、まずは理解して順序立てて説明できるような状態を作りましょう。
ストレスに潰されそう…
カスタマーサービスは離職率の高い業種と言われているほどストレスが蓄積しやすい仕事です。実際にカスタマーサービスの仕事をすることによってストレスに潰されそうになってしまい、その結果離職を選んでしまう人も多くいます。
カスタマーサービスの日々の仕事の中にはクレーム対応や営業電話のような電話も含まれ、前者では自分が悪くなくても会社の商品のことなどでお客様から怒られ、後者では話を聞いてもらえずに電話をガチャ切りされてしまうことも少なくありません。
したがって、カスタマーサービスの仕事を長く続けるためには仕事中の嫌なことも長く引きずらないようにするとともに、ストレス解消方法を実践する必要があります。
ストレス解消方法としては同僚と話をして共感してもらったりアドバイスをもらう、仕事以外での趣味を見つける、仕事中にガムを食べたりするなどの気分転換をすることが挙げられます。
電話対応時にはお客様としっかりとコミュニケーションを取り、喜んでもらえるお客様を増やすことでモチベーションアップにもつながります。
電話対応上達法
電話対応を上達させるためにはただ数をこなすだけでなく、電話対応上達法を実践するのが近道です。電話対応が上手になる3つの方法を紹介します。
イメージトレーニング
さまざまな状況を想定してイメージトレーニングで返す言葉や対応方法、お客様との話題を頭の中でシュミレーションしておくことによって、実際の電話対応でそれと近い状況になった時でも言葉に詰まらずスムーズに会話することができるようになります。
イメージトレーニングは暇な時に色々と想像しながら行っても良いですが、家でその状況を思い浮かべながら実際に発声してみると自分がスムーズに対応できるかがわかります。
もちろん、イメージトレーニングで想定したこと以外の対応を求められることもありますが、イメージトレーニングをたくさんしておくと応用力も身に着くなどの良いことがあります。
ロールプレイング
電話対応のイメージトレーニングも大切ですが、同じ職種の誰かに相手になってもらってロールプレイングをすることもおすすめです。
ロールプレイングは研修などで取り入れられることも多いですが、実際にその状況を想定して疑似体験をすることを言います。ロールプレイングでは自分が電話対応の担当者役をするだけでなく、お客様役をする時にも他の人の対応の仕方が学べて勉強になります。
ダメなところがあればダメ出しもしてもらえるので、本番ではそこを改善して臨むことができるメリットが得られます。
先輩や上司の電話対応をお手本にする
先輩や上司はカスタマーサービスの仕事を長く続けてきたベテランでもありますよね。カスタマーサービスの仕事にかかわらず、電話対応では誰かひとり目標の人を決めてその人の真似をするのが良いと言われています。
お手本にするのはもちろん、自分が聞いていて電話対応が上手な人です。このお手本にする相手は必ずひとりだけに決めなければいけないという訳ではなく、クレーム対応や商品の説明などカテゴリー別に分けても良いですし、その場の電話対応聞いて良いと思ったところがあればその対応力を盗んでしまえば良いのです。
一般的に”真似をする”と言うと良い意味に聞こえませんが、仕事に関しては自分がお手本になっていることについて悪い気がする人はいません。電話対応が良いと思う人を見つけた後に、”この状況でこの人だったらどうやって対応するんだろう?”と疑問に思うことがあったら、直接本人に相談してみても良いでしょう。
最初は対応を真似しているだけだったとしても、さまざまなケースを経験して応用力が身に着いていくことによってその対応がいずれは自分のものになっていくはずです。
カスタマーサービスで避けるべき言葉遣いとは
カスタマーサービスがつい使ってしまう言葉遣いで、電話対応では使うべきではない言葉はいくつかあります。それは、お客様が聞いてすぐにわからない言葉や、雑な印象を与える言葉などです。
お客様が聞いてもわからない社内用語や専門用語はお客様の理解度を下げるだけでなく、その用語の説明をするのにも時間がかかってしまうというデメリットがあります。また、お客様によってはわざと難しい用語を使うカスタマーサービスに対して不親切だと思ったり、悪い印象を抱く人もいます。
もっと大変なのはお客様がわからないのに流してしまって、伝えたいことが伝わらずに解釈が違ってしまうことです。これによってさらに大きなクレームへと発展してしまうケースもあるので注意しましょう。
社内用語や専門用語は会社内で使う分には問題ないですが、お客様にわかりやすいかを考えながら説明をするべきです。説明をする時にはお客様の立場に立って説明をすることを心掛けましょう。
また、言葉遣いでは丁寧であるかを意識してみてください。例えば、お客様の話を聞いている時に「なるほどなるほど」など不要に繰り返す言葉はお客様に不快感を与えることもあります。
電話の相手は声の印象や言葉ひとつで話を聞きたいかが変わってしまうということを忘れないようにし、正しくてわかりやすい言葉を使うことを徹底してください。
カスタマーサービスで臨機応変な電話対応をするためには
カスタマーサービスで臨機応変な電話対応をするためには、まずはこのパターンは苦手などといった特定の状況への苦手意識をなくすことが大切です。
最初はクレーム対応に苦手意識がある人でも、慣れていくことによって徐々に苦手意識をなくしていくこともできます。そして、苦手な状況がわかっている場合には、それを想定したイメージトレーニングなどをしていくことでだんだんとどんな状況にも応じられるようになります。
始めはストレスの溜まりやすいカスタマーサービスの仕事も慣れればやりがいを感じられるようになるので、悩みを乗り越えられるように頑張ってみてください。