日々仕事でメールのやり取りをしていれば、うっかりメールを誤送信してしまった経験は誰にでもあるでしょう。初歩的なミスと簡単に考えてしまいがちですが、個人情報や社内の機密情報などの漏洩につながる危険性があります。また、多くのお客様とメールのやり取りをする問い合わせ対応部署では、メールの誤送信をきっかけに企業への不信感やイメージ低下につながりかねません。この記事では、メール誤送信が発生する原因や、未然に誤送信を防ぐための対策方法を詳しく解説します。
目次
メール誤送信が発生する3つの原因
メールの宛先誤りやファイルの添付忘れ、タイプミスなどメールの誤送信はさまざまな原因によって発生します。具体的には担当者の意識や社内ルールなどソフト面での原因と、デバイス環境・セキュリティ設定といったハード面での原因があげられるでしょう。
やみくもに誤送信対策をするだけでは狙った効果が期待できないばかりか、担当者の業務負荷を増やし、業務生産性の悪化を招くことにもつながりかねません。そのため、誤送信の原因を正しく突き止め、発生原因に合わせた対策を検討することが重要です。
ここでは、メールの誤送信が発生してしまう代表的な原因を3つ取り上げて解説します。
担当者のヒューマンエラーが原因
担当者の集中力や認知力の低下、疲労、焦りなどによって意図せず発生してしまう誤送信で、いわゆる「うっかりミス」と呼ばれるものです。知識やスキルの不足、担当者間での連絡・連携不足、勘違いなどによって引き起こされることもあります。新人など仕事に慣れていない場合に発生しやすいエラーです。
また、決められた手順があるにもかかわらず、慣れや作業時間短縮など意図的に手順を省略・簡略化してしまうことで誤送信が発生してしまうケースもあります。このケースは独り立ち直後の担当者や、ベテランの担当者が起こしやすいミスであり、ヒューマンエラーによる誤送信はどの担当者でも起こりえるものと考えなければなりません。
また、組織的に生産性や効率を求めるあまりに担当者がストレスや重圧を感じてしまい、誤送信につながるケースもあるため、組織全体でヒューマンエラーを防止する対策が不可欠です。
担当者の教育が不十分なことが原因
担当者のセキュリティ意識が低く、自分の対応が誤送信につながること、誤送信がどのような影響を与えるのかを正しく理解できていないケースです。このケースではチェックリストを使う、正しいメールの送信方法をルール化して守らせるなどの直接的な対策が必要ですが、最初にメール誤送信によるリスクを理解してもらうことが重要です。
メール誤送信によって、お客様にどのような影響があるのか、商品やサービス・企業への影響はどれほど深刻なのかを正しく理解できていれば、担当者が意識的にミスを防ぐことが可能です。定期的に研修機会を設けて、誤送信のリスクや過去の事例を伝えることで、担当者が十分に注意しながらメール送信できるようにしましょう。
メールの誤送信を単純なミスと軽視せずに、企業にとって経営リスクであることを正しく理解することが重要です。
送信ルールや対策ツールが整備されていないことが原因
どんなに対策を重ねても担当者の意識や行動に頼っているだけでは、メールの誤送信を100パーセント防ぐことはできません。ヒューマンエラーは必ず起きるものと考え、誤送信を発生させない「仕組み」を整備することが重要です。たとえば、送信ルールの整備や、メール誤送信を防ぐためのシステム・ツールを導入するなどの対策で、誤送信の発生をできる限り回避することができます。
また、送信ルールやツールは一度導入して終わりにせずに、使いにくいところはないか?わかりにくいところはないか?運用が変わったところはないか?など定期的に見直すことが重要です。特に、ルール策定や、ツール導入後に発生したメール誤送信については、なぜ発生したのか、どうすればよかったかを分析(なぜなぜ分析)し、ルールやツールに都度反映しておきましょう。
メール誤送信を防ぐ4つの対策
ここからはメール誤送信を防ぐために有効な4つの対策を紹介します。メール誤送信の発生状況や原因に合わせて、それぞれの対策を組み合わせて活用してみましょう。
GmailやOutlookなどメーラーの使い方や設定をルール化する方法
GmailやOutlookなどのメールソフトには誤送信を防ぐための機能が標準機能として搭載されています。対策コストもかけずに、気軽に導入できる対策方法ですので積極的に利用しましょう。たとえば、メールアドレスの予測入力機能をオフにする、アドレス帳に不要な連絡先を登録しない、送信保留機能を設定しておくなどの対策が有効です。
なお、メールソフトの設定や送信前のチェックを各担当者に任せるだけでは万全の対策とはいえません。設定すべき内容を洗い出した上で部署全体のルールとして整備し、すべての担当者へ周知・徹底させることが重要です。
上長や別担当者のダブルチェックを実施する方法
ダブルチェックとは航空業界や医療現場などの生命に関わるミスが許されない職業で、事故防止の観点から導入されているチェック方法の一つです。メール送信時にダブルチェックを適用する場合は、担当者が仮作成したメール内容を上長や別担当者などの二次チェック者が確認し、問題なければ担当者がメールを送信するという運用にします。
ダブルチェックのメリットは、第三者の目で確認することで担当者が気づけなかった間違いを発見できる点にあります。確認精度が上がるので、メールの誤送信を回避する対策として有効です。
ただし、ダブルチェックも万全の対策とはいえません。「○○さんが確認してくれるからチェックが甘くても問題ないだろう」「××さんは間違わないだろう」など、担当者と二次チェック者の双方で誤った思い込みがあり、チェックをすり抜けてしまうこともあります。
ダブルチェックの目的を正しく理解するとともに、別の対策方法と組み合わせて対策することが重要です。
添付ファイルにパスワードを設定する方法
添付ファイルにパスワードを設定して送付する「PPAP」とよばれる手法です。具体的には最初にパスワードを設定したファイルを添付したメールを送信し、ファイルの開封に必要なパスワードを別メールとして後から送信します。
万が一誤った送信先に機密情報が含まれる添付ファイルが送信されてしまった場合でも、パスワードがなければファイルを開封できないため、情報漏洩になるリスクを抑えられます。このため、日本では官公庁をはじめとして従来多くの企業で利用されてきた方法です。
ただし、担当者の作業負荷が重くなったり、暗号化された添付ファイルはウイルスチェックができずマルウェア感染の被害にあったりと、近年では「PPAP」のデメリットが注目され徐々に利用を控える企業が増えています。特に2020年に当時のデジタル改革担当大臣が内閣府・内閣官房でのPPAP利用停止を発表したことをきっかけに、大手IT系企業を中心としてPPAPの利用廃止が進められています。
相手に機密情報を含むファイルを送信したい場合は、メールに直接添付するのではなく、クラウドストレージでファイルを共有する方法を検討するのも良いでしょう。
メール誤送信防止ツールを導入する方法
業務用のパソコンに専用ツールをインストールして、メール誤送信をシステム的に防ぐ方法です。送信時の確認ポップアップ表示や、誤字脱字の自動チェック、強制的にCC・BCCの追加、送信保留機能など、さまざまな機能を利用できます。
普段利用しているメールソフトのアドインとして利用できるため、使い慣れたメールソフトをそのまま利用しつつ、チェックを強化できるのがメリットです。
メール誤送信防止や業務の効率化にはシステム導入がおすすめ
メール誤送信を防ぐだけでなく、メールに関する業務自体をさらに改善したいのならば、専用のシステムを導入するのが有効です。特に日々大量のメールをやり取りする問い合わせ窓口などでは大きな効果が期待できるでしょう。
たとえば、株式会社インゲージの「Re:lation(リレーション)」では、送信前確認や警告、承認機能、添付アラート機能、ドメインアラート機能、添付ファイルウイルスチェックなどメール誤送信対策に役立つ機能が搭載されています。また、チーム内で案件内容、進捗状況を共有したり、ラベル機能で案件を仕分けたり、タイムラインで過去のやり取りを確認したりと、業務効率化や品質向上につながる機能が充実しているのが特徴です。
グッドデザイン賞受賞の使いやすい仕様のため、ITに苦手意識を持つ社員でも直感的に操作でき、問い合わせ管理の業務効率は飛躍的に向上します。問い合わせ管理システムの導入を検討する際は、機能や操作性をあらかじめ確認するとともに、導入実績を確認するなど、自社のニーズにマッチする製品を選ぶのがポイントです。
メール誤送信を防ぐには仕組み化が重要
メール誤送信は情報漏洩など深刻なセキュリティ事故につながりかねないミスであり、組織課題としてしっかりと対策することが重要です。担当者の判断や意識任せにするのではなく、仕組みづくりによる対策を進めていきましょう。