メルマガによるマーケティング効果を高めるには、セグメント配信がおすすめです。ここでは、セグメント配信とは何か、なぜ注目が集まっているのかを解説します。配信の流れやポイント、セグメントの仕方も確認していきましょう。見込み顧客のナーチャリング効果を高めることに有効なメール配信の手法です。ぜひ、参考にしてください。
目次
セグメント配信ってどういう意味?
セグメント配信とは、顧客(メールアドレス)を特定の基準でセグメントし、その顧客に合った内容のメールを配信することです。
セグメントとは、簡単に言うとある基準で分けたグループのことで、セグメントする(=セグメンテーション)とはある基準でグループ分けすることです。メール配信にあてはめると、メールリストという同一基盤の中で、顧客情報の項目を基準にしてメールアドレスをグループ分けすることです。
つまり、リスト上のすべての見込み顧客に同じ内容のメールを送るのではなく、ある基準で分けたグループごとにフィットする内容のメールを送るのがセグメント配信です。
たとえば都内に拠点を持つ企業、従業員1,000人以上規模の企業など固定的な基準もあります。メールマーケティングではさらに細かく、資料やホワイトペーパーをダウンロードした人、メルマガを開封した人、特定の内容のセミナーに参加した人など、時間の経過で変化する基準も用いられます。
見込み顧客はメルマガ配信でつかむ!
SNSを使った情報発信も普及していますが、メールの効力もまだまだ健在です。メールで届けられる情報を見て、購買が発生する確率は衰えていません。
このため、メールマーケティングの手段としてメルマガを配信する企業も増えています。メルマガは登録制となるため、新たに興味のある人(企業)を取り込むことにも有効です。継続的に見込み顧客に役立つ情報や自社商品の詳細情報などを届けながら、購買意欲につなげることができます。自社と見込み顧客の関係性を維持するための有効策なのです。
このメルマガも、セグメント配信で行うとコンバージョン率も上がりやすくなります。
※コンバージョン=その取り組みの目的や最終目標地点への到達
セグメント配信が注目される背景
メール配信を使ったマーケティングが浸透し、世界中の企業が一定の経験値を培っています。その中で、一斉配信よりセグメント配信のほうが、より高い効果が出ると認識され始めます。開封率も高くなる傾向があるのです。
そのことから見えてくるのは、見込み顧客は
- 自分と関連性の高い内容のメールを求めている
- 自分と関連性の低い内容のメールを不快に感じる
これらに対して有効な解決策となるのが、セグメントして配信することなのです。
実際、より個人的で1対1の対応と感じさせるようなメールのほうが購買率も高い傾向があります。このためメールマーケティングでは、セグメントでのメール配信が意識されるようになっているのです。
一斉配信で効果があまり出ない理由
確かにメールは、1通を大量・大多数の見込み顧客にクリックひとつで届けることができます。低コストで実施できる点も魅力です。ならば「できるだけ多くのメールアドレスを集め、一斉配信できる総数を増やそう!」となるかもしれません。
ここで考えなければならないのが、その1通のメールの内容がすべての受信者に関連した内容かということです。
一斉配信の場合、「これは自分には関係ない」と感じる見込み顧客の割合が増えます。そのように感じた見込み顧客は、メールの開封・読了・商品の購買のすべてにおいて低確率なのです。一斉配信を続ける以上、これらの行動の確率を上げることは難しいでしょう。
消費者の多くは、自分に無関係な情報を迷惑だと感じるようです。最悪の場合、メルマガからの離脱もあり得ます。つまり、関係性を維持できる見込み顧客が減るというマイナスが発生する可能性もあるということです。
セグメント配信の流れ
では、メールのセグメント配信の流れを見ていきましょう。
顧客情報を集める
まず、社内の見込み顧客情報を集め、データベース化する必要があります。たとえば、以下のような情報源が挙げられます。
- 顧客管理システムの顧客情報
- 名刺情報/名刺管理ツール内の情報
- セミナーや展示会などの参加者リスト
セグメントの基準となるような属性やアクションの項目を網羅できるのが理想です。メール配信ツールの仕様にもよりますが、できるだけ詳細の項目を蓄積できると、より細かなセグメントが可能になります。
データベースが整ったら、メール配信ツールでも属性やセグメントを扱えるように設定します。その上で、データベースを配信ツールに取り込んでいきましょう。
顧客を段階別に分類
見込み顧客は4段階に分類できます。
「まだまだ客」「そのうち客」「お悩み客」「今すぐ客」です。
この分類は、見込み顧客の検討意欲の程度別に分けたものです。
それぞれの顧客が4分類のどれにあてはまるかを決める基準の設定も必要になります。見込み顧客の行動を点数でスコアリングしていくと振り分けが容易になるでしょう。たとえば、メルマガ購読で5点、セミナー参加で2点というようなものです。
では、4分類について、検討意欲の低いものから順に説明していきます。
まだまだ客
まだまだ客とは、商品を知っているだけでそれ以上を感じていない見込み顧客です。商品やサービスをほしいとも思っていませんし、その必要性にも気付いていません。4分類の中でももっとも関心の低い層であり、全体に占める割合も大きいです。
多くの顧客がこの層から始まるため、ここでの離脱が多いほどマーケティング全体の成果も落ちてしまいます。
そのうち客
そのうち客とは、商品やサービスに魅力を感じ始めた段階の見込み顧客です。ほしいとは思っているけれど「今はいらない」とか「本当に必要か?」と躊躇している感じです。文字通り「ま、そのうちに…」という程度といえるでしょう。商品やサービスの情報収集など、すでに何らかの行動を起こしていることが多いです。
お悩み客
お悩み客は、商品やサービスの必要性は感じていても「ほしい!」と感じる程度が低い見込み顧客です。その商品やサービスを購入するか否かの検討に入っていると考えられます。
競合他社や類似商品との比較で迷っている、価格に不安を感じているというように、その商品やサービスの購入に対して何らかのブレーキ(悩み)が存在している段階です。
今すぐ客
今すぐ客とは、検討段階を経て購入がほぼ確定している見込み顧客です。求めている商品やサービスに対し、必要性と購入意欲が高い層のことです。自社の商品やサービスに関しても、リサーチや情報収集をして詳しく理解していると考えられます。言うまでもなくこの層が購入(=顧客化)にもっとも近いため、迅速なアプローチが求められます。
セグメントメール配信
セグメント(分類)ができたら、セグメントごとに送るメールの内容を吟味します。セグメントごとに求められる、関連性の高い内容が異なるからです。また、メルマガで伝えたいことがあるとき、その内容を届けるべきなのはどのようにセグメントした見込み顧客かを考えてマッチングするという流れもあるでしょう。
たとえば、まだまだ客には購入を進めるようなキャンペーン情報やボリュームのある説明資料などは好まれません。逆に、今すぐ客にすでに知り得ている基本的な情報を送るのも適切とは言えないでしょう。
個人的に送られているように感じてもらうために、差出人名を個人名にしたり、受信者の名前を文中に差し込んだりといったテクニックも有効です。
また、配信の頻度には気をつける必要があります。週1~10日に1回の頻度が一般的に受け入れられやすいようです。
あまりにも頻繁に送信してしまうと役立つ情報も意味をなさなくなる可能性があります。受信者の負担となり、不快感をもたれやすいからです。その後の検討時にその不快さが購入却下という結果を招いたり、その他のマーケティングや営業活動に影響が及んだりすることもあるので注意しましょう。
行動を数値化し測定結果を元に戦略を立て直す
見込み顧客の反応や行動を数値で把握する、効果測定のプロセスも大事です。たとえば、開封率、クリック率、コンバージョン率、ダウンロード率などがあります。ほとんどのメール配信ツールがこれらの測定機能を備えているはずです。
この測定結果をもとにしたセグメント配信のアップデートが不可欠となります。メルマガ効果による変化も期待できますし、見込み顧客の状況も刻一刻と変わるからです。
アップデートや改善なしで送り続けてしまえば、もはやセグメント配信ではなくなってしまうでしょう。セグメントをどう絞り込むかについて、改善と検証の繰り返しが大切になってきます。
あるセグメントに送っているメールを他のセグメントに送り、反応や行動を比較してみるのも有効です。このように、場合によってはメール自体を移行させることが改善につながることもあります。
その他、変更することで測定値を比較していきたい要素としては、
- 配信時間帯や曜日の変更
- 差出人名の変更
- メルマガに含めるコンテンツの種類の変更
- メルマガのボリュームの変更
などが挙げられます。それぞれの数値結果を見ながら最適値を追求していきましょう。
セグメントの分け方
セグメントでは、さまざまな分け方があります。見込み顧客の細かい情報を使った分類も可能ですし、すでにメルマガ配信を行なっていればその反応結果を活用できます。目的によって使い分けていきますが、考えられる選択肢を紹介します。
属性別
代表的な分け方として、固定的な顧客情報の属性があります。たとえば、業界・業種、拠点地域、従業員数、資本や売上額などです。
製造業/関東圏内/従業員5,000人以上、アパレル業界/営業部長レベルなど、各属性を組み合わせた分類も可能でしょう。
行動頻度別
スコアリング評価をすると見込み顧客が起こした行動の総合値が出せます。スコア(総合値)で測る検討の度合いでセグメントする方法です。上記でご説明した4分類があてはまります。
もしくは、一定期間にページ閲覧回数やメールの開封頻度などを測って分類してもいいでしょう。頻繁に反応がある人と、ほとんど反応がない人に分ける方法です。
行動別
見込み顧客の特定の行動でピンポイントに分ける方法もあります。たとえば、メルマガを開封した/していない人、開封後にクリックした/していない人、イベントに参加した人などです。問い合わせが○回以上、資料請求やダウンロードの有無などでも分類できるでしょう。
テーマ別
メールリストに上がっている受信者の属性で分けることもできます。たとえば、経営層、マネージャー層、現場担当者などに分けて、それぞれに適したテーマを届けます。BtoBの場合、選択する人と最終決定権をもつ人が異なることも多いため、有効な分け方といえるでしょう。
顧客と見込み顧客は分ける
一度でも購入・利用経験がある、リピート経験がある、購入未経験の見込み顧客での分類もできます。上記の基準で分ける際の前提としてここは区別しておいたほうがいいでしょう。含める内容や言葉が明らかに変わってくるからです。
顧客が読むメルマガに新規購入者に対する言葉のくだりがあれば、関連性は失われています。誰にでも送られる一斉配信と受け取られる可能性が高く、不快に思う顧客も少なくありません。
HTMLメールを活用する
メルマガで送るメールの表示方法にも配慮が必要です。
メールには、テキスト形式とHTML形式があります。
テキスト形式の場合、文字だけで簡単に作成できるのですが、装飾や画像の挿入ができません。
HTML形式では、作成の自由度が増すためインパクトのあるレイアウトや装飾が可能になります。現在はビジネスシーンでもほとんどがスマホユーザーです。そのため、HTMLメールを活用してスマホ閲覧用に最適化されることをおすすめします。
またテキスト形式の場合、開封やクリックされたことを確かめることができません。効果測定結果をセグメントに活かしながらメルマガの成果を高めるには、HTML形式が必要なのです。メルマガの購読にあたり、テキスト形式とHTML形式を選択できるようになっているのが理想でしょう。
メルマガはお客様とのコミュニケーションの場
メルマガは、見込み顧客とのコミュニケーションツールです。一方通行の情報発信では、良質のやり取り(コミュニケーション)で関係性を維持していくことはできません。見込み顧客の立場になり、見込み顧客に合わせた配信を行うことが大切です。
そうすれば、見込み顧客の行動が返ってくる可能性が高まり、さらにその反応に合わせてメルマガを届けていくことができます。どれだけ的を射たメルマガを届けるかが見込み顧客の反応を決めます。セグメント配信は、それを実現するための手法なのです。