最近では、コールセンター業務の受託企業の数が大幅に増加しています。
就職・転職リサーチサイトのOpenWorkを見ると、実に1,700以上もの関連会社がヒットします。
このような環境のなか、コールセンターの内製化や人員確保が難しい企業にとっては、「カスタマーサポート業務を委託すべきかどうか」「委託するメリットやデメリットは何か」と、悩んでいるケースも多いでしょう。
そこで本記事では、カスタマーサポートを委託するメリット・デメリット、委託先の選び方を詳しく解説します。
目次
カスタマーサポートとは
カスタマーサポートとは、ユーザーや顧客が抱えている疑問への回答や課題解決を支援する業務です。
カスタマーサポートの業務内容は、購買フェーズの段階によって大きく異なります。
たとえば、購入前の段階であれば、商品やサービスの詳細や使用方法に関する説明が求められますが、購入後になるとクレーム対応や不具合に対する解決策の提示などが必要になります。
また、最近では電話やメールのほかにも、問い合わせフォーム、チャット、SNSなどのチャネルが増え、問い合わせ窓口が多方面に分散しています。
このような状況のなかでコールセンターやヘルプデスクを構築するには、さまざまな業務やチャネルに対応できる多数のオペレーターを確保しなければなりません。
予算に限りがある中小企業にとっては、多数の人材を採用するのは現実的に難しいでしょう。
そこで、選択肢の一つとしてあげられるのが、カスタマーサポートの外部への委託です。
カスタマーサポートを委託するメリット
カスタマーサポートを委託することで、主に次のようなメリットが生まれます。
- コア業務に集中できる
- 応対品質の向上が期待できる
- コスト削減につながる
- 営業時間外でも対応ができる
コア業務に集中できる
これまで自社で行ってきた電話応対や問い合わせ管理を外部に委託することで、従業員はコア業務に注力できるようになります。
また、カスタマーサポート部門やコールセンターを立ち上げようと考えていた場合でも、業務を委託すれば、部門・施設を構築するための人材を配置する必要がありません。
その結果、人材や時間をより有効に活用できます。
応対品質の向上が期待できる
カスタマーサポートの受託企業には、内部に経験豊富で専門的な知識を持つオペレーターが多数在籍していることも珍しくありません。
オペレーター向けの研修や教育を実施している受託企業が多いからです。
こうしたプロのオペレーターにカスタマーサポートを委託することで、自社で顧客対応をするよりも高い品質が期待できるでしょう。
質の高いカスタマーサポートは、ロイヤリティの向上やエンゲージメントの強化につながります。
コスト削減につながる
カスタマーサポートを委託すると、SVやオペレーターを雇用する必要がありません。
カスタマーサポートの受託企業では、時期や業務量に合わせて常に最適な人数で業務を行っているため、必要に応じて人材を採用する必要もなくなります。
浮いた人件費や採用コストを別の分野に回せるのは、業務委託を行う大きなメリットです。
営業時間外でも対応ができる
カスタマーサポートの受託企業の一部は、24時間365日のバックアップ体制を敷いています。
企業の希望次第で、夜間や休日にもカスタマーサポート業務が可能だということです。
カスタマーサポートの対応時間を拡大することで、顧客満足度の向上や新たなビジネスチャンスの発見といったメリットが生まれます。
カスタマーサポートを委託するデメリット
カスタマーサポートの委託にはメリットがある一方で、以下のようなデメリットも存在します。
- セキュリティリスクが高まる
- 見込み客や顧客との距離が遠くなる
- 社内にノウハウを蓄積できない
セキュリティリスクが高まる
カスタマーサポート部門やコールセンターを内製化する場合は、自社でセキュリティ体制を整備すれば済みます。
しかしこれが委託となると、カスタマーサポートの受託企業を経由する分、セキュリティリスクが高まってしまうことは避けられません。
受託企業に提供した自社の顧客情報や秘密情報が流出してしまうリスクがあるからです。
最近では、高水準のセキュリティ対策を行っている受託企業が増えていますが、複数社とよく比較したうえで適切な委託先を見つけるようにしましょう。
見込み客や顧客との距離が遠くなる
自社の負担を最小限に抑えられるメリットがある業務委託ですが、委託後はユーザーや顧客の声を直接聞けるわけではありません。
自社とお客様との間に受託企業が入る分、どうしてもユーザー・見込み客・顧客との距離が遠くなってしまいます。
お客様の声が直接企業に届かなければ、商品開発に意見が反映されず、競争力が低下してしまう可能性も考えられるでしょう。
そのような事態を避けるためには、受託企業と定期的に打ち合わせを行ったりレポートを提出してもらったりして、お客様の意見を汲み上げる仕組みを作っておくことが大切です。
社内にノウハウを蓄積できない
社内にCS業務のノウハウがたまらないのも委託をするデメリットです。
将来的に自社でカスタマーサポート部門やコールセンターを立ち上げる予定がある場合は、ノウハウや技術の不足によって実施困難になる可能性があります。
受託企業によってはマニュアルを共有してもらえる場合があるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
カスタマーサポートを委託する方法
カスタマーサポートを委託するには、すべての業務を代行サービスに外注するか、インハウスを構築して運営のみを任せるかという2つの方法があります。
ここでは、それぞれの具体的な方法を解説します。
カスタマーサポート代行サービスを利用
カスタマーサポート代行サービスとは、電話やメール、チャットなどによる問い合わせ対応を委託できるサービスです。
電話代行サービスやコールセンター代行サービスとも呼ばれています。
後に紹介するインハウス下での業務委託に比べ、こちらの方法は代行会社にすべての業務を委託します。
そのため、先にあげた人材の有効活用や採用コストの削減といったメリットが期待できます。
代行会社によって対応業務の範囲や料金が大きく異なるため、あらかじめ複数の会社に見積もりを依頼し、目的や用途に合わせた適切なサービスを見つけましょう。
インハウス下での業務委託
インハウスとは、業務を外注せずに内製化することです。
コールセンターの建物や設備は自前で用意し、施設内で行われるコールセンターの運営のみを外注するのが、インハウス下での業務委託となります。
建物や設備を用意するための費用が必要ですが、万一のトラブルが起きても早急に対処しやすく、お客様からの問い合わせやクレームにもよりスムーズに対応できるメリットがあります。
また、現在はクラウド型のシステムを導入すると、高額な機材を設置する必要がありません。
購入した建物や設備は将来にわたって活用できるため、この先自社でカスタマーサポート部門やコールセンターを立ち上げる予定がある場合に適します。
カスタマーサポートの委託先の選び方
カスタマーサポートを委託する際は、先述した代行サービスを使うのが一般的です。
数あるカスタマーサポート代行サービスから自社に合うものを選ぶには、次の5つのポイントを意識して選別しましょう。
- 委託できる業務の内容
- 業務委託にかかる費用
- 応対品質
- セキュリティ
- 支援実績
委託できる業務の内容
最も注意深く比較したい項目が、委託先が対応している業務内容です。
カスタマーサポートの業務は多岐にわたるため、まずは自社で必要な業務を正確に洗い出したうえで、各サービスの対応業務を見比べましょう。
商品説明やクレーム対応といった基本的な業務以外にも、在庫管理や決済業務など、カスタマーサポートに付随する一連の業務まで対応してくれる場合もあります。
また、この時点でコールセンターの稼働時間を確認しておくのも良いでしょう。
業務委託にかかる費用
カスタマーサポートの委託費用は受託企業によって異なりますが、料金体系に関してはある程度の決まりがあります。
カスタマーサポート代行サービスの料金体系は、次の2種類に分けられます。
- 月額固定制:一定の受電数までは定額となり、超過分が上乗せされる形態
- 従量課金制:1件ごとの受電に対して加算されていく形態
そのほかにも、動員するオペレーターの数や対応時間の幅の広さなどが料金にかかわってきます。
また、代行サービスによっては、必要に応じてオプションを設定できるケースもあります。
サービスの内容と料金のバランスを見比べつつ、適切な受託企業を選びましょう。
応対品質
カスタマーサポートの応対品質は顧客満足度に直結する要素なので、最も慎重に比較・検討したいところです。
応対品質は各オペレーターのスキルや意識が強く影響しますが、実際に導入してみなければ実態をつかみにくい難点があります。
そのため、公式サイトにアクセスして、応対品質を高める制度を実施しているかどうかをしっかりとチェックしておきましょう。
スキルアップにつながる研修制度や教育制度、モチベーションにつながる適正な評価制度などがあると、応対品質が高まりやすいといえます。
セキュリティ
カスタマーサポート代行サービスを利用していて、ユーザーや顧客の個人情報が流出してしまうと、責任は受託企業側にあるにせよ、お客様からは企業のミスとして捉えられる可能性があります。
結果的に自社のブランドイメージが悪化してしまうため、厳重にセキュリティ管理が行われている代行サービスを選択しなければなりません。
セキュリティを比較・検討する際は、ISOやPマークといったセキュリティ規格を取得しているか、専用ID・PCなどの対策が行われているかといった点を確認しましょう。
支援実績
最後に、公式サイトで支援実績についても確認しておくことをおすすめします。
豊富な実績があるということは、そのカスタマーサポート代行サービスに対する信頼の証です。
どのような企業で導入されているかということに加え、導入事例も参考にしましょう。
同業他社の導入事例を読んでおくと、自社で導入する際の課題や注意すべきポイントなどが整理しやすくなります。
カスタマーサポートを委託する際はメリット・デメリットを十分に把握しよう
カスタマーサポートを外部に委託することで、施設や設備、人員を自社で用意する必要がなくなり、従業員がコア業務に集中できるようになります。
そして何より、プロのオペレーターに問い合わせ対応を任せれば応対品質が高まり、顧客満足度の向上に寄与します。
ただし、委託することによって新たなセキュリティリスクが生まれたり、社内にノウハウが蓄積できなかったりする点には注意しなければなりません。
このようなメリットとデメリットを十分に理解したうえで、カスタマーサポートのすべての業務を委託するか、それともインハウス下で一部の業務のみ代行会社に任せるかを決めましょう。
マルチチャネル対応の問い合わせ管理ツール「Re:lation」を使うと、カスタマーサポートの委託先と情報共有ができるようになります。
セキュリティ面も強化されており、顧客ごとの対応履歴も記録として残せます。
「便利なツールを活用して質の高い顧客対応を実現させたい」という方は、ぜひカスタマーサポートの委託とともにRe:lationの導入を検討してみてください。