ビジネスメールで「インラインで失礼します」という文言を見た経験はないでしょうか。インラインとは相手から送信されたメールを引用し、本文の中にこちらの回答を埋め込むメール返信方法です。一般的にもよく利用されている返信方法ですが、正しく使い方を理解していないと失礼な印象を与える可能性もあります。この記事では、インラインの意味を解説するとともに、ビジネスシーンでの適切な引用マナーを紹介します。
目次
インラインとは
インラインは相手から送信されたメールを引用し、相手の本文の間にこちらの回答を追記する形でメールを返信する方法です。元々の意味は、英語で中の「in」と、行・線・並びを表す「line」を組み合わせた用語で、直列の、一列に並んだなどの意味をもちます。
インラインは、メールの返信方法として使われるのが一般的ですが、IT用語で関数として定義したコードを直接プログラムコードの中に埋め込む手法「インライン展開」や「インラインコード」といった使われ方をすることもあります。
インラインは具体的に以下のように使用します。
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件名:○○に関するお打ち合わせについて
本文:
○○株式会社 ○○様
平素よりお世話になっております、○○株式会社 ○○でございます。
お問い合わせいただきました○○についての回答となります。
インラインでの回答失礼いたします。
>ご都合のよろしい日時をご連絡いただけますでしょうか。
〇月〇日(〇)〇〇:〇〇~〇〇:〇〇でお願いできますでしょうか。
>打合せはオンラインでの開催でよろしいでしょうか。
はい、オンラインでの開催でお願いいたします。
>当日予定しているアジェンダについてご意見あればお願いします。
いただいた内容で問題ございません。
以上となります。
引き続き、よろしくお願いいたします。
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上記の例は、相手から送信されたメールの中から質問文を引用し、自分のメールで回答するシーンを想定しています。引用部分には「>」などの引用マークをつけることで、自分が作成した部分と区別します。
また、GmailやOutlookなどのメールソフトを利用している場合は、初期設定で相手のメール本文すべてを引用(全文引用)する仕様になっています。全体引用部分に回答を追加する方法もありますが、メール自体が長くなり読みにくくなるため、質問部分だけを抜き出して部分的に引用するのが一般的です。例えば、Gmailでインライン返信をする場合は以下のように使います。
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件名:お問い合わせいただいた○○について
本文:
○○様
このたびは弊社商品にお問い合わせいただき、誠にありがとうございます。
ネットショップ○○担当○○でございます。
お問い合わせいただきました○○について、インラインで回答いたします。
|○○社製品の型番○○の取り扱いはありますか?
ご指定いただいた商品はあいにく在庫がございません。
代わりに後継機種である○○はご用意がございますが、いかがでしょうか。
|本日購入した場合、いつ発送されるのでしょうか?
本日ご購入いただいた場合、弊社に在庫があれば翌営業日中に発送いたします。
在庫がない場合はメーカーからの取り寄せとなりますので、
発送日がわかり次第ご連絡差し上げます。
回答は以上となります。
その他ご不明な点等ございましたら、お気軽に以下窓口へお問い合わせください。
また、よくある質問をまとめておりますので、よろしければご確認ください。
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このように一般的なメーラーでは、相手から送信されたメール本文から引用したい箇所を選択し、下部の書式設定ボタンを押下、さらに引用ボタンを押下します。引用された箇所には左部に「|」が表示されるので、自分の入力した部分と引用部分との区別が可能です。
インラインでメール返信するメリット
インラインで返信するメリットとして、以下のことが期待できるでしょう。
- どの話題について回答しているのかがわかりやすい
- それぞれの話題に対して回答を記載できるので、各話題に漏れなく回答ができる
- 受け取った人も回答が見やすく理解度が高まる
ビジネスシーンでは毎日数多くのメールのやり取りを必要とします。漏れなく確実に情報共有・回答ができ、何往復もメールのやり取りをしなくてもよいのはインライン返信の大きなメリットです。
インラインを使わない方がよいケース
インラインは効率的かつビジネスシーンで広く利用されているので、企業間の取引であればインラインでのやり取りはスムーズです。一方で、一般のお客様でインラインの回答に慣れていないと抵抗感を抱くこともあります。ヘルプデスクや問い合わせ応対窓口など一般のお客様とやり取りする場合は、インライン返信による不信感や不快感を回避するため、あえて使用しないという選択肢もあるでしょう。
他にも、一つのメールでインラインでの返信を繰り返すと引用箇所がわかりづらく、メールが長文になってしまいます。複数回やり取りが続く場合は、むやみにインライン返信を使わないなど柔軟にメール返信方法を切り替えるのが重要です。
インラインを利用する場合のマナー
ここではインライン返信時のマナーを3つ紹介します。
お断りの一文は必要
ビジネスシーンでよく利用される返信方法だったとしても、すべての人がインライン返信を快く思うとは限りません。インライン返信に不快感をもつ人がいるのは事実ですので、インライン返信を使う場合でも不快感を少しでも緩和させるために「インラインにて失礼いたします」といったお断り文言は不可欠でしょう。
返信は簡潔にまとめる
インライン返信ではわかりやすさを意識しましょう。ダラダラと本文を続けてしまうと読みにくく、インラインのメリットを活かせません。
相手の本文を引用する場合も該当箇所だけをピンポイントに引用し、メール全体を簡略化することが重要です。
相手のメール本文に誤字脱字があってもそのまま引用する
インラインで引用したい箇所に誤字脱字があった場合でも、むやみに修正せずに引用しましょう。相手のメールにミスがあった場合に、こちらが良かれと思って修正することで、相手の意図を誤って理解してしまうおそれがあります。
相手の意図が誤字脱字によって不明瞭な場合は、自己判断で修正してしまうのではなく、まずはそのまま引用しつつ返信時に意図を確認するのが重要です。
インライン返信はわかりやすさが魅力だけれども使い方は慎重に!
ビジネスシーンでよく用いられるインライン返信は、回答のわかりやすさや確認漏れ・回答漏れを防ぐなど多くのメリットをもつメールの返信方法です。メールのやり取りにかかる時間や手間も軽減できるので、多忙なビジネスパーソンに重宝されています。ただし、中には「雑な対応」と不快感を抱く人もいたり、インラインを繰り返すことでメールがわかりにくくなったりするため、相手や状況に合わせて適切なメールを返信することが重要です。