CSとは?マーケティングで使われる用語にはどんな意味がある?

Operator in headphones with microphone consulting client on laptop in customer support service.
Operator in headphones with microphone consulting client on laptop in customer support service.

CSと聞いて、思い浮かべる意味は何でしょうか?
マーケティング用語の中にもいくつかのCSがあり、似通った意味をもつものもあります。今回は4つのCSの意味を、それぞれの違いを含めながら詳しく解説します。効果のあるマーケティングや質の高い顧客対応をしていくために必要な知識です。しっかり区別し、適切なサービス提供をしていきましょう。

CSとは

Businessman shaking hands with customer in office.

CSは、ある言葉の略語として、さまざまな分野で目にされると思います。ここでは、マーケティング戦略で使用されるCSに絞って説明します。

マーケティング分野で使われるCSとしては、4つの種類があります。

カスタマーサポート(Customer Support)
カスタマーサービス(Customer Service)
カスタマーサクセス(Customer Success)
顧客満足(Customer Satisfaction)

いずれも、カスタマー(お客様)に関わる言葉です。

ビジネスの市場がグローバル化し、顧客獲得競争が激しくなるなか、優れた商品やサービスをもっているというだけでは、継続的に顧客を獲得していくことが難しくなっています。実際にお金を使ってもらう、その前後も含めて、継続的にお客様との良好な関係を築いていかなければなりません。

上記に挙げたCSは、お客様との信頼関係を築き、継続的に自社や自社商品のファンでいてもらうために不可欠な要素です。消費者の購買活動がインターネットで行われる割合が高まっている昨今、多くの企業が自社内CSを強化する重要性を認識し、以前にも増して力を注ぐようになっています。

では、4つのCSのそれぞれの意味を確認していきましょう。

カスタマーサポート(Customer Support)

Wooden block with customer service and technical support symbols

カスタマーサポートとは、電話やメール、チャットなどでお客様対応をする仕事です。

商品やサービスの販売・提供を行う企業の多くが、カスタマサポートセンターやコールセンターなどを設置してカスタマーサポート活動を行なっています。

現代企業にとって、自社の顧客対応能力の重要度は高まっており、日々サポートの質の向上が図られているようです。カスタマーサポートの在り方が企業の成長や繁栄にも、大きな影響を与えるようになっています。

お客様からの問い合わせやクレームなどを受け付けるインバウンドのカスタマーサポートを行なうところが多いです。企業によっては、販売プロモーションなど、企業側からアプローチするアウトバウンドを並行するところもあります。

近年は、事業運営におけるカスタマーサポートのニーズの高まりを受け、アウトソーシングサービスも増えています。カスタマーサポートが事業推進に不可欠となる一方で、人件費、人材育成・教育費、設備費など企業にとっては大きな負担です。

そのため、業務効率化とサポートの質の向上、コスト削減などを目的として、自社のCS業務をアウトソーシングして進める企業も少なくありません。

カスタマーサポートで対応する内容は多岐にわたり、商品やサービスについての問い合わせやクレームの他、企業に対する意見や要望なども寄せられます。お客様の意図をしっかりと捉え、的を射た対応のできるコミュニケーション能力が求められます。

カスタマーサービス(Customer Service)

customer service

カスタマーサービスは、上記のカスタマーサポートとほぼ同義で使われている言葉です。お客様から寄せられる問い合わせやクレームに対し、的確な回答や問題解決をするために配置される部門・職種を指します。カスタマサポートセンターをカスタマーサービスセンターと名付ける企業もあります。

ここで、カスタマーサポートやカスタマーサービスで対応する主な項目を見ていきましょう。購入前、購入時、購入後と購買活動の一連で対応が発生します。

【購入前】

  • 商品やサービスの内容や使い方について
  • 料金や保証の内容

【購入時】

  • 購入の流れ(購入方法、支払い方法、配送方法など)
  • 初回の使用法や導入方法
  • 不備や不良品などのクレーム対応
  • 交換品の手配

【購入後】

  • 問題やトラブル発生時の対応
  • 故障したときの対応
  • 更新についての案内
  • 追加注文の受付

【その他】

  • 企業・サービス体制・商品に関する意見や要望の受付

とくに重要となるのは、クレーム対応です。理由や状況がどのようなものであっても、お客様は不快な気持ちを抱いています。丁寧に迅速に、的確な対応で最適な解決策にたどり着くことが大切です。

使い方がわからなかったり、何らかの不具合があったりして、困り果ててカスタマーサポートを頼ってくるお客様も多いです。現状を正確に把握して、スピーディーに解決に導くことが求められます。

ネガティブな事柄を受け付ける仕事と捉えられがちですが、スムーズにお客様の問題を解決できれば、喜びや安心といったポジティブな結果に転換できる可能性もあります。お客様からのコンタクトは、適切な対応で信頼を得ていく好機とも捉えることができるのです。

カスタマーサクセス(Customer Success)

Caucasian business man handshaking with company partner or customer

カスタマーサクセスとは、顧客を目標達成や成功(サクセス)に導くための支援・サポートを行います。近年、サブスクリプション型のビジネスモデルが増えたことで、必要性が認識されるようになった新しい部門・ポジションです。

広く捉えると、企業が顧客との関係性を継続的に築いていくための手法・概念でもあります。

顧客を支援・サポートする仕事という意味では、上記で説明したカスタマーサポートやカスタマーサービスと似ています。しかし、顧客との関係性の位置づけは、かなり異なる部分があり、企業にとってはさらに重要な機能を果たします。

カスタマーサポートやカスタマーサービスは、主にお客様の何らかのアクションに「対応」するものです。すでにお客様に起こった問題やクレームに対して、お客様に寄り添って解決を目指します。

カスタマーサクセスは、その「対応」もしますが、それ以上に「能動的」にお客様に働きかけていきます。つまり、求められていなくても顧客の成功につながると思われるアプローチを積極的に行なっていくのです。

言い方を変えると、お客様の真の目的(目標達成や成功)に寄り添っていく仕事ということもできるでしょう。お客様に何らかの問題が発生する可能性をいち早く察知し、未然に防ぐというスタンスでサポートを行なっていくのが特徴です。

具体的には、リサーチや分析から導き出した有効な情報を提供したり、効果的な提案をしたりします。自社商品やサービスの範囲だけでなく、それらが関わる業務を効率化することや、業績を向上させることまでを考えたサービスを提供する仕事です。

顧客満足(Customer Satisfaction)

Survey, poll or questionnaire for user experience or customer satisfaction research

顧客満足とは、文字通り顧客が自社や購入した商品や、利用するサービスに対して抱く満足感のことを指します。上記の3つのCSは、この顧客満足を高めるために提供するものでもあります。

顧客満足度という表現がよく使われますが、その度合いは、以下で測られます。

  • その顧客の期待度を超えたか
  • その顧客の期待に応えたか(期待通りか)
  • その顧客の期待を下回ったか

顧客満足を得るために重要となるのが「顧客の期待がどのようなものか」ということです。

顧客の期待は、顧客ごとに異なっています。たとえば、「お客様のために」と思って一律のサービスを提供しても、その期待と一致した一部の顧客しか満足させることはできません。一致しないお客様に対しては、「(質のよい)サービス」ではないということです。

企業は、顧客の期待を見極めることに注力しなければなりません。そのためにカスタマーサポートを設置したり、WEBマーケティングを行なったりすることが有効になるのです。

聞いたこと、書かれたこと、見られたことなどお客様との接点を活用して、期待に応え、期待以上を目指してサービスの質を向上させる必要があります。そのようにして期待に応え続ける企業が、顧客との関係性を維持・向上させていくでしょう。その継続的な関係が将来的な業績アップにもつながっていくのです。

企業や商品サービスに対するファンを増やすことが利益につながる

本稿で説明した4つのCSは、自社や自社が提供する商品・サービスのファンを維持・増加させるための取り組みです。そのためには、接点が必要です。問題やクレームなどの「接点」さえ活用することができます。ファンであり続けてもらうためには、継続的に期待に応えられる仕組みを作り上げることが大切です。

ABOUT US
T.Wada
まだコンピュータが1枚の基盤だった頃からITとともに育つ。約10年のアメリカでのIT開発ディレクター・企業取締役を通じて海外も含めたITの歴史を肌で感じてきた。自身の経験から顧客対応がなぜうまくいかないのかを考える中でカスタマーサクセスを作るクラウドサービス「Re:lation」を開発。3男1女の父。好きな言葉は「日々勉強」。