事業の新規展開時やECサイトでの商品拡充時には、顧客からの問い合わせが増える傾向にあります。貴社のカスタマーサポート部門では、このような顧客からのメール対応が属人化してはいないでしょうか? 問い合わせメールへの対応漏れやミスはカスタマーサポートの効率を下げ、場合によっては顧客とのトラブルにつながる可能性もあります。今回はこのようなミスをなくし、顧客対応の品質を向上させるメールの共有方法について説明します。
共有しにくいメールでの問い合わせ
顧客からの問い合わせといえば以前は電話が主流でしたが、インターネットの普及によりメールやWebの問い合わせフォームを経由した問い合わせも増えています。メールや問い合わせフォームからの情報が同報配信で関係者に共有されるのは一般の会社でもよくあることですが、問題はその問い合わせに対応する担当者が決まったあとです。
メーラーの共有機能では問題解決は難しい
担当者の決定後、このような問い合わせは顧客と担当者が直接やり取りをすることが多く、他の関係者にその進捗や状況を共有されることはほとんどありません。また、担当者個人のメーラー(Outlookなど)には共有機能を持つものもありますが、複数人で共有した場合では、担当者の割り振りなどができないため、二重対応や対応漏れが発生する可能性があります。現実的にはメーラーの共有機能は、決して使い勝手の良いものではありません。
顧客数が多くなると、他のシステムでも対応が困難に
メーラーの他にも、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)でメールの共有機能を持つものがありますが、顧客単位に特化したものがほとんどで、BtoCのように顧客数が多くなると途端に使いにくくなります。
メールの属人化は新たな問題を生む可能性も
このような理由から、顧客からの問い合わせでは必然的に各担当者が1対1で対応することが多くなるのですが、これでは属人化を招きノウハウも蓄積されません。またメールの件数が増えればスレッド(同じ顧客からの同じ内容に関するメール)も多くなり、ミスや抜けが発生しやすくなります。このような状況に陥ってしまうと、万が一担当者が不在の場合、他のメンバーが顧客との状況を確認するためには膨大なメールのやり取りを遡らねばならず、上長もサポートすることが困難になります。問い合わせの内容がクレームの要素を含んだものであれば、担当者の対応によってはさらに大きな問題に発展してしまうことも考えられるのです。
顧客からの問い合わせメールはとても共有が難しいものですが、その反面、メールを共有し顧客対応の効率を上げれば、業務の効率と品質を同時に上げられます。
参考:顧客対応を円滑に!問い合わせ管理システムのメリット・デメリットと選び方
メールの共有で効率化できる業務とは?
一般企業ではWebでの問い合わせ件数は限定的かもしれませんが、ECサイトの運営部門やカスタマーサポートセンターには日々多くの問い合わせが入ります。上記のようなメールの処理で問題が発生する可能性が高いのはBtoCの窓口を担う部門です。
次から次へと届く顧客からの問い合わせやメールを効率的に処理しなければ、ECサイトやカスタマーサポート部門の業務は滞ってしまいます。顧客からのメールを部門のメンバー全員で共有し、対応漏れ・遅れなどのステータス管理や返信文のダブルチェック、承認ができれば、応対品質と効率は飛躍的に向上するでしょう。またカスタマーサポートなどでは、問い合わせの内容によってはエスカレーションや他部門(営業部門や管理部門)などとの情報共有も必要です。顧客からのメールを共有することは、単なるメールの共有ではなく顧客情報そのものを共有するとも言えるのです。ではメールの共有にはどのような方法があるのでしょうか?
メールを共有する方法は?
顧客からのメールを共有し、メンバー間で対応を行うには以下のような方法が考えられます。
メーリングリストを活用する
メーリングリストは、特定のメールアドレス宛にメールを送ると、メーリングリストに追加した複数のアドレスにメールを一斉送信できるシステムです。通常多数の宛先にメールを送る場合には、個々のアドレスを宛先に記入していきますが、メーリングリストを利用すれば、一つのアドレスを入力するだけで登録されたメンバー全員にメールが届きます。
メールを共有するには便利なメーリングリストですが、顧客への返信は自分のアドレスからする必要があり、顧客への回答を共有するには、送信先には見えないメールの宛先であるBCC(Blind Carbon Copy)にメーリングリストのアドレスを入れなければならないなど、一手間かかってしまうことが難点です。また、二重対応や対応漏れといったステータス管理は人の手で行う必要があります。
Gmailのアカウントを複数人で共有(委任設定)する
Gmailは無料で使え、多機能なことも人気です。そして、一つのアカウントを複数人で共有することができます。この仕組みは、メールの共有というよりアカウントの共有といったほうが適切でしょう。具体的には自分が使用しているアドレス、もしくは複数のメンバーで共有すると決めたアドレスに、他の人からのアクセス権を付与する方法で、委任設定とも呼ばれます。この設定を行うことにより、メールボックスの閲覧、メールの送信や削除などの操作ができるようになります。つまりこのアドレス宛に届いた顧客からのメールに返信すれば、複数人が対応したとしても、あたかも単一の担当者が回答しているように見えるのです。
メーリングリストのようにBCCにアドレスを入れるような手間はありませんが、誰が担当なのか不明確になりやすい難点があり、ステータス管理も人の手で行う必要があります。この方法も二重対応や対応漏れ、対応の遅れといったトラブルを完全に防ぐことは難しいと言えるでしょう。
効率的な顧客対応はメール共有システムを使うと実現可能
上記2つの方法は、メール共有という機能は実現できるものの、顧客対応・顧客管理の機能を持ち合わせているわけではありません。ECサイトの顧客管理部門やカスタマーサポートセンターでメール共有による効率的な顧客管理を行うためには、顧客管理機能を持つメール共有システムの導入が効果的なのです。
参考:メール管理の課題を解決して高品質な顧客対応を実現! 効率化のメリットを引き出す方法
メール共有システムのメリットとは?
ここではメール共有システムのメリットと注意点を確認しましょう。
顧客対応のステータス管理が可能
メール共有で一番ネックとなっていた顧客対応のステータス管理ですが、メール共有システムを使えばメンバー全員で簡単に把握でき、問題があれば上長もサポートできるようになります。このような機能はメール共有システムの一番の特徴で、カスタマーサポートで避けたい対応漏れ、対応の遅れ、二重対応などの顧客対応の不備を回避できます。
またメール共有システムであれば、顧客への返信も上長の承認を受けなければ返信できないように設定できる機能も豊富です。担当者によって文面の差が出ないようにチェックし、安定した品質の顧客対応ができることはサポート業務のトラブル防止と効率向上につながります。
過去の事例を共有できる
過去にあった顧客とのトラブル事例を全員で共有でき、似たような事例の対応に活かすことができます。例えばインゲージの提供する「Re:lation(リレーション)」であれば、過去に利用した謝罪文などをテンプレートとして登録することで、AIが回答に最適なテンプレートとして推薦してくれます。
クラウドのシステムであればテレワークも可能
近年は働き方改革や感染症の影響から、オフィスに出社できない状況もあるでしょう。クラウドに対応したメール共有システムを導入すれば、オフィス以外のさまざまな場所からテレワークでの作業が可能です。働き方の多様性を実現することは、人材不足の解消と優秀な人材の確保につながります。さらに、メール共有システムを使うことで、ECサイトの運営部門やカスタマーサポート部門の品質は飛躍的に向上するでしょう。メール共有システムは各社からいくつかリリースされていますが、インゲージの「Re:lation」であれば、これらの機能をすべて実装しています。
参考:顧客対応を円滑に!問い合わせ管理システムのメリット・デメリットと選び方
問い合わせ対応の不備は問題になりやすい
ブログやSNSが普及した現代では、個人の意見や考え方などをネット上に発信しやすくなっています。企業からの不用意な発言や対応の不備が、ネット上でいわゆる「炎上」を引き起こすのも珍しいことではありません。顧客からの問い合わせは迅速に処理し、遅れや対応漏れなどで問題が大きくならないよう注意したいものです。問い合わせ対応の問題を避けるためには「いつ」「誰が」「どのように」応対したのか、そしてその状況を全員で共有することが重要です。業務の広がりと共に増える顧客対応に、問い合わせ管理システムの導入を検討されてはいかがでしょうか。