クラウドでメールを送受信・管理するメリットは?個人向け・法人向けの違いも解説 

企業内でメールサーバを保有して直接アクセスする「オンプレミス型」のメール配信システムは、保守・メンテナンスに伴うランニングコストの高さや、社外での使いにくさがデメリットとされ、悩みを抱えている企業も多いでしょう。

一方、近年主流になりつつある「クラウド型」のメールサービスは初期費用を抑えられるほか、インターネット環境があればどこでも使えるなどの特徴があります。

しかし、クラウドメール送受信ツールは無料で利用できるものから有料のものまで、様々な種類があるため、どれを選べばいいか迷ってしまうのも事実。

本記事では、クラウドメール送受信ツールの選び方やおすすめのメール管理クラウドシステムもご紹介します。

メール管理に最適なクラウドメール送受信ツールとは

クラウドメール送受信ツールとは、メールサーバーを社外のクラウド環境に置いて、Webブラウザやアプリからメールの送受信ができるシステムです。

ここでは、クラウドメール送受信ツールの基本的な仕組みから、従来のメールシステムとの違いを解説します。

クラウドメールの仕組み

クラウドメール送受信ツールは、以下の順番でメールの送受信を行っています。

  1. 送信者のパソコン
  2. 送信者のサーバー
  3. DNDサーバー
  4. 受信者のサーバー
  5. 受信者のパソコン

DND(Domain Name System)サーバーとは、ドメイン名とIPアドレスを変換する仕組みを提供するサーバーのことです。

つまり、受信者のインターネット上の住所(IPアドレス)を確認・照合するために、DNDサーバーを通過しています。

なお、IPアドレスは数字で形成されていますが、メールアドレスとして扱う際は「ドメイン」という文字列に変換して、認識しやすくしています。

従来のメールやWebメールとの違い

従来のメールシステムは企業内でメールサーバを保有して直接アクセスしていました。

一方、クラウドメール送受信ツールの場合、クラウド環境にあるメールサーバーを介するため、アカウントを作成すれば簡単にメールの運用を始められるのです。

そのため、メールソフトをPCやスマホにインストールする必要がなく、端末本体からブラウザやアプリを開いてメールの送受信ができます。

なお、Webメールとクラウドメール送受信ツールに大きな違いはありません。

個人向けと法人向けのクラウドメール送受信ツールの管理方法の違いとは

個人向けと法人向けのクラウドメール送受信ツールの大きな違いとして「容量・セキュリティ」などが挙げられます。

以下では、それぞれの違いをお伝えするほか、クラウド型とオンプレミス型の違いを表でまとめました。

個人向けのクラウドメール

個人向けのクラウドメール送受信ツールは、基本的に無料で利用できるという特徴があります。

そのため、GmailやYahoo! メールなどをプライベートで利用している方も多いでしょう。

個人向けメールクラウドは多種多様なサービスが展開されているため、ビジネス利用している企業も増えているのです。

個人からビジネス用として、多岐にわたり活用できる点が特徴的でもあります。

しかし、セキュリティ機能の充実度やメール環境の設定における制限が多いことからも、ビジネスには向いていません。

このような理由からビジネスでは、法人向けクラウドメール送受信ツールサービスの利用が主流といえるでしょう。

法人向けのクラウドメール

法人向けのクラウドメール送受信ツールサービスは、組織で運用するために必要な機能を備えています。

特徴を以下にまとめました。

  • 大容量のクラウドストレージを利用できる
  • メールアドレスに独自ドメインが使用できる
  • メールユーザーの管理を行える
  • セキュリティ対策が充実している
  • 外部ツールと連携できる

例えば、大容量のクラウドストレージの利用は、必要に応じて容量の変更ができるほか、サーバー容量をチェックする管理者の手間を省けます。

さらには、メールの添付ファイルなどに含まれているウイルスチェックやサーバー攻撃を防止できる機能などが実装されているため、安心して利用できます。

クラウド型とオンプレミス型の違い

法人向けのメールサービスは「クラウド型」と「オンプレミス型」に大別できます。

それぞれ特徴が異なるため、目的に合わせて適切なほうを選びましょう。以下の表に、クラウド型とオンプレミス型の違いをまとめました。

クラウド型オンプレミス型
導入コスト少額高額
カスタマイズ性制限がある自由度が高い
セキュリティクラウド提供事業者がセキュリティ対策を実施している自社でセキュリティ対策(構築)が可能
保守・メンテナンスクラウド提供事業者が管理。自社で対応
インフラ調達期間契約後すぐに利用できる構築までに期間がかかる

このように、クラウド型は導入コストを最小限に抑えられるほか、メンテナンスやランニングコストを削減できます。

さらに、外部からのアクセスを容易に行えるため、テレワークや外出先でも活用できます。

一方、オンプレミス型は、カスタマイズ性や高度なセキュリティシステムの構築が可能となるメリットがありますが、初期費用や導入までの期間がかかることは否めません。

保守・メンテナンスに備えるための管理体制を整えておく必要があるため、それに伴うランニングコストもかかります。

それぞれの特徴を踏まえたうえで、自社に適したメールシステムを選びましょう。

クラウドメール送受信ツールの選び方のポイント

クラウドメール送受信ツールは自社の問題点にあった機能や外部への情報漏れを防げるシステム選びが重要です。

ここでは、2つのポイントに絞って解説します。

セキュリティ面の安全性が高いか

ビジネスメールには、取引先企業や顧客情報が含まれているため、セキュリティ面の安全性が高いクラウドメール送受信ツールを選ぶ必要があります。

社員研修でセキュリティについての講習を行ったとしても、完全に防げるわけではありません。

さらには、フィッシングメールやサイバー攻撃といった、外部からの危険も守れるシステム選びが重要です。

また「警察庁:令和3年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によると、サイバー攻撃を受けて復旧までに5,000万円以上の被害を受けた企業もありました。

このようなことからも、堅牢なセキュリティ対策が施されている、クラウドメール送受信ツールを選ぶようにしましょう。

オプション機能が自社に合っているか

クラウドメール送受信ツールを選ぶ際は「オプション機能」が自社にあっているかも重要なポイントです。

例えば「ご送信防止」「メール監査機能」「アカウント数」など、様々な機能があります。

ビジネス環境は日々変化するため、クラウドメール送受信ツールを導入した際は不要だった機能が必要になることも考えられます。

はじめから、オプション機能があるクラウドメール送受信ツールを選んでおくことで、変化に応じて機能の追加が可能です。

自社の問題点を洗い出し、適切なクラウドメール送受信ツールを選びましょう。

クラウドメール送受信ツールはどこまで管理できる?メリットを紹介

クラウドメール送受信ツールを導入すると、どのようなメリットがあるのか確認していきましょう。

また、オンプレミス型で運用している企業がクラウド型に変えると、どのような変化が見込まれるのかについても解説します。

メールボックスの容量が大きい

特に法人用のクラウドメール送受信ツールは、メールボックスの容量が大きいというメリットがあります。

ビジネスの場では、1人ではなく複数人での利用が一般的です。

例えば、容量が小さいと動作が重くなり、急ぎのメールを送れなくなる可能性があります。

そのため、業務効率が悪くなってしまいます。

一方、クラウド型は大容量のストレージを利用できるため、容量を圧迫することはありません。

もし、容量がいっぱいになった場合でも、グレードアップすることで引き続き同じクラウドメール送受信ツールを利用できます。

自宅や外出先など社外でも使える

前述した、オンプレミス型は特定のパソコンや端末でしかメールの送受信ができません。

一方、クラウドメール送受信ツールは、アプリをダウンロードしておけば自宅や外出先でメールの送受信ができます。

そのため、テレワークにも対応できるほか、うっかり会社でメールを送り忘れてしまっても端末さえあれば、その場で対応できます。

場所による制限がないことで、自社ビジネスにおける効率を上げられるのです。

クラウドメール送受信ツールで管理するデメリット

クラウドメール送受信ツールのメリットをお伝えしましたが、どのようなデメリットがあるのかを確認していきましょう。

メリット・デメリットを把握した上でクラウドメール送受信ツールを選ぶのが重要です。

サーバー障害が起きた場合のリスクがある

クラウドメール送受信ツールは自社ではなくサーバー管理会社が、管理・運用しています。

そのため、クラウドメール送受信ツール会社でサーバー障害が起きると、メールの送受信ができないというリスクがあり、自社で対応することはできません。

もし、障害があった場合はサーバー管理会社に連絡をし、対応してもらえるまで待つ必要があります。

その間、メールの送受信はできない状態となるでしょう。

頻繁に障害が起きてしまうと業務に支障が出てしまうため、クラウドメール送受信ツールを契約する際は安全性を重視してください。

ユーザー数によってはコストが嵩む

クラウドメール送受信ツールは初期コストが少ないというメリットをお伝えしましたが、企業規模や運用人数によってランニングコストが嵩む可能性もあります。

例えば、クラウドメール送受信ツールはユーザー数が増えるごとに課金するシステムがほとんどのため、利用人数によっては、オンプレミス型の方がランニングコストを抑えられる場合もあるのです。

導入前に「今後のユーザー数はどれだけ増えるか」ということをある程度予測しておくようにしましょう。

クラウドメール送受信ツールを使用する人数を把握しておけば、急な人数増加にも落ち着いて対応できます。

クラウドメール送受信ツールの種類|メール管理に適したシステムを紹介

ここまで、クラウドメール送受信ツールの選び方やメリット・デメリットを解説してきました。

実際にどのようなクラウドメール送受信ツールシステムがあるのか、代表的なものをご紹介します。

ぜひ、自社の問題解決ができるシステム選びをしてみてください。

Gmail(ジーメール)

出典:Gmail – Google

GmailはGoogleが提供しているクラウドメール送受信ツールサービスです。

多くの企業でも使われており、無料プランでも15GBの容量を利用できます。

メールの送受信の際には、自動で添付ファイルのウイルススキャンを施してくれるため、安全性も優れたツールです。

さらに「Google Workspace」には、スプレッドシート・ドキュメント・カレンダーなど、さまざまなツールを使用でき、情報を共有できるメリットもあります。

  • Business Starter:680円
  • Business Standard:1,360円
  • Business Plus:2,040円

Microsoft Outlook(マイクロソフトアウトルック)

出典:Microsoft Outlook

「Microsoft Outlook 」は、Microsoft 社によって提供されているメールサービスで、世界で5億人以上のユーザーがいます。

Microsoft Officeのアカウントがあれば、無料プランでも15GBの容量を使うことができます。

主なメール機能として「自動振り分け機能」「ウイルススキャン」「連絡先の同期」などの、メール管理に必要な機能が実装されているのです。

また、24 時間年中無休で電話サポートを受けられるのも魅力的です。

  • Microsoft 365 Business Basic:540円
  • Microsoft 365 Business standard:1,360円
  • Microsoft 365 Business Premium:2,180円

Yahoo!メール(ヤフーメール)

出典:Yahoo!メール

Yahoo!社が提供している「Yahoo!メール」。利用者数2400万人のメールサービスです。

Yahoo!メールはシンプルな操作性が魅力的で、あまりクラウドメール送受信ツールを使い慣れていない方でも使いこなしやすいシステムです。

さらに「迷惑メールフィルター 」や「なりすまし拒否」など、セキュリティ面も優れているほか、機能の説明などのサポートも充実しています。

  • セキュリティーパック:304円
  • ウイルスチェック:220円
  • マイネームアドレス:330円

iCloudメール(アイクラウドメール)

出典:iCloud – Apple

iCloudメールはAppleが提供しているクラウドメール送受信ツールサービスです。

基本的に料金は無料で、iCloudのサービス全体で5GBまでのストレージ容量を使うことができます。

5GB以上の容量の利用は月額課金で使用できます。

iPhone と iPad を連結する機能もあるため、Apple 製品を使っている企業にとっては便利でしょう。

  • 50GB:130円
  • 200GB:400円
  • 2TB:1300円

Zoho mail(ゾーホーメール)

出典:Zoho mail

Zoho mailは、Zoho社が提供しているメールサービスです。

オンラインアプリケーションを提供している会社なので、ビジネスでのクラウドメール送受信ツールの利用ができます。

オプション機能が豊富なため、目的に合わせてカスタマイズすることも可能です。

また、顧客管理ツールである「Zoho CRM」と連携も可能なため、メール管理と顧客管理を紐付けることができます。

  • LITE:120円
  • PREMIUM:480円
  • WORKPLACE:360円

CloudMail(クラウドメール)

出典:CloudMail | YourNet

CloudMailは大容量のメールボックスで、セキュリティ対策やサポート体制も充実しています。

例えば「振り分け機能」「条件フィルタ」「スパムチェック」といった、さまざまな機能を実装しています。

さらに、サービス移行時の課題でもある「メールサーバー名」や「メールサーバーのログ」などの情報をそのまま引き継ぐためのサポートまで対応してくれます。

メールをクラウド型システムで管理できる「Re:lation」

上記のようなクラウドメール送受信ツールは、外部ツールと連携させて問い合わせ管理や情報共有ができることをご存じでしょうか?

その中の1つ「Re:lation(リレーション)」は、3,500社以上の導入実績があるメール共有管理ツールです。

メールの他にLINE・電話・Twitter」など、10種類以上の問い合わせチャネルを一元管理できる特徴もあります。

顧客との接点を多く設けている企業であれば、Re:lationの画面だけで各問い合わせチャネルを一画面に集約し、チーム全体で共有・管理できるのです。

予約送信から、誤送信防止機能やAIによる返信用テンプレート機能などが実装しているため、メール業務の効率化が図れるのも利点です。

さらに「あの対応どうだったっけ?」と確認したい時に便利な、ワンクリックで過去の対応を呼び出せる機能もあります。

また、顧客対応における「未対応・対応中・対応完了」といった、ステータス管理も可能なため、対応漏れや二重返信を防げます。

出典:Re:lation|ingage

Re:lationはメール管理に欠かせない機能を実装しているほか、顧客管理から対応と幅広い用途で利用できます。

なお、20日間無料トライアルを実施しているため、自社に合うツールなのかも確認できます。

メール管理の徹底にはクラウド型のシステムがおすすめ

クラウド型のメールは、インターネット環境があればどこでも利用できるほか、定期的なメンテナンスが不要などのメリットがあります。

クラウドメール送受信ツールを導入する際は「セキュリティ面は信頼できるか」や「自社に合ったオプションがついているか」などに注目し、目的や課題を整理して選びましょう。

その際、顧客管理から顧客対応、複数の窓口を一元管理できるツールをあわせて活用するとさらに便利です。

メール管理業務における効率化を目指す場合は、メール管理システムの利用も検討してみてください。

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