以前のカスタマーサポートは電話での顧客対応が一般的でしたが、現在ではメールやチャットでの対応が主流になりつつあります。しかし、電話でもメールでも、事業拡大とともに増えるお客様からの問い合わせの管理は大きな課題です。お客様から届いた大量のメールを管理するには複数人での対応が必要ですが、その場合はどのようにするのが効率的なのでしょうか? 今回はGmailのアカウントを複数人で使う方法や、そのメリット・デメリットについて解説します。
目次
Gmailアカウントを複数人で使う方法
手軽にそして無料で使え、安全性も高いGmailは、プライベートだけなくビジネスの世界でも使われています。Googleでは別途ビジネス用のメールサービスも用意されていますが、多くの人が使う通常のGmailでもビジネスに使うことは可能です。ただし、カスタマーサポートで多くのお客様からのメールを受け付け、顧客管理のため複数人でGmailを共有する場合は使い方の工夫が必要です。
最初に思いつくのは、GmailのID(メールアドレス)とパスワードを共用で使い回す方法でしょう。しかしGoogleでは、「アカウントの制限に達する」「本人確認または質問が表示される」「アカウントが一時的にロックされる」などの問題が発生することがあると禁止しています。このような問題を起こさずにひとつのGmailアカウントを複数人で使うには、大きく分けて以下のふたつの方法があります。
委任設定(代理設定)
Gmailにはアクセス権の委任機能があります。この機能は、たとえば社長が使っているGmailを秘書が代理で使う場合などに設定できる機能です。設定は簡単で、委任したいGmailのアカウントにサインインし、設定 → アカウントとインポート → アカウントへのアクセスを許可 → 別のアカウントを追加、と進み、委任したいメールアドレスを追加していくという手順です。
上記の例でいえば秘書のGmailアドレスを追加すると、設定後は秘書のGmailに「〇〇〇〇〇@gmail.com(代理)」のような表示が現れるので、ここから委任されたメールのアカウントを追加することになります。この委任設定はカスタマーサポートに使うことも可能です。ただし、ひとつのメールアドレスに大勢がアクセスすることになるため、メールの管理(顧客対応の管理)が難しくなる可能性はあるでしょう。
エイリアス機能
エイリアス機能は、Gmailのひとつのアカウントに対して複数のアドレスを作成する方法です。たとえば、ひとつのアカウントで担当分けをして、商品情報の案内や問い合わせ専用のアドレスを作成します。エイリアス機能は、委任設定よりわかりやすくメールの管理ができます。
顧客管理に便利なエイリアス機能のメリット・デメリット
エイリアス機能は、もともと持っているアドレスをメインに、サブのメールアドレスを複数作成できる機能です。複数人でGmailのアカウントを共有して顧客管理を行うのであれば、エイリアス機能が便利です。エイリアス機能はパソコンからGmailにアクセスし、管理者画面から設定します。
エイリアス機能のメリット
サブアドレスの作成は簡単
サブアドレスの作成は、メインのアドレスに別名を付与することで容易に行えます。たとえば、メインアドレスがingage@gmail.comだとすると、ingage+〇〇〇@gmail.comと作成(〇〇〇の部分は任意)すれば完了です。
メールの扱いが容易
複数のサブアドレスを作成してもメールボックスはひとつなので、メールの扱いが煩雑にならず複数人で共有できます。
自動のフォルダ分けが可能
ラベル機能やフィルタ機能を使って、たくさんのメールを受信しても自動的にお客様からのメールをフォルダに振り分けることが可能です。
特別なメーラーが必要ない
サブアドレスを作成しても、作成、閲覧、返信などは通常のGmailと同じように使うことができます。特別なメーラーなどを用意することなく、メールもそのまま複数人で使えます。
エイリアス機能のデメリット
セキュリティに問題ありと勘違いされる
GmailのIDとパスワードを複数人で共有することになるため、Googleがセキュリティに問題ありと判断する可能性があります。また、別々のデバイスからひとつのアカウントにアクセスした場合には、セキュリティの確認が都度発生することがあります。
複数のメールアドレスは管理しにくい
エイリアス機能はサブアドレスやフォルダ分けの機能などを使えるので、委任設定に比べ複数人でも使いやすいです。その反面、サブアドレスが増えることにより管理が複雑になります。
Gmailは無料ながら機能が多く、とても使いやすいですが、顧客管理に使うにはやはり不安が残ります。複数人でメール管理を行うと二重対応や対応もれなどの可能性もあり、お客様トラブルにつながる可能性もあります。したがって、カスタマーサポートでお客様のメール管理を行うのであれば、問い合わせ管理に特化したシステムがおすすめです。
顧客管理には問い合わせ管理に特化したシステムが最適
サービスを開始したばかりでお客様が少なく、カスタマーサポートの対応人数も少ない場合であれば、Gmailのエイリアス機能でも問い合わせ管理は対応可能でしょう。しかし、サービスの認知度が高まり売上が向上すれば、比例してカスタマーサポートの負荷も増えていきます。また先述のように、Gmailによるメール管理では顧客満足度やトラブル防止に不安が残ります。しっかりとした顧客対応を行うには、問い合わせ管理に特化したシステムを導入するのがよいでしょう。
問い合わせ管理に特化したシステムは、エイリアス機能では実現不可能な以下のような機能を備えています。
エイリアス機能のデメリットを解消できる
お客様からの問い合わせに「誰が」「いつ」「どのように」対応したかを明確化するのがステータス管理機能です。ステータス画面で対応状況がひと目でわかるため、エイリアス機能では防ぎきれないようなトラブルを回避できます。具体的には以下のことが可能です。
対応の不備をステータス表示で明確化
お客様からの問い合わせに対して「未対応」「対応の遅れ」「二重対応」といったステータス表示があると、簡単に解決するような問い合わせが取り返しのつかないトラブルになってしまうことも考えられます。問い合わせ管理に特化したシステムであれば、顧客対応のステータスを明確に表示してくれるので、メンバー全員にわかりやすく共有できます。
承認機能
電話での応対とは違い、メールはちょっとした言葉遣いや表現の違いでトラブルにつながってしまうことがあります。このようなトラブルを防ぐためには、ひとりでの対応ではなく、チェック機能を設けることが大切です。問い合わせ管理システムには、上長の承認を受けないと返信できないような管理機能が備わっています。
過去の事例を共有できる
過去にあったお客様とのトラブル事例を全員で共有(閲覧)できます。また、謝罪応対の文例なども保管できるので、言葉づかいの間違いを起こしにくくなります。株式会社インゲージの提供する「Re:lation(リレーション)」は、過去に利用した謝罪文をAIが最適なテンプレートとして推薦する機能も搭載しています。
クラウドに対応可能
多くの問い合わせ管理システムはクラウドに対応しているので、自宅やさまざまな場所からテレワークでの作業が可能です。クラウド対応は顧客メール対応の効率化になるとともに、働き方の多様性の実現によって、人材不足の解消と優秀な人材の確保にもつながります。
事業の拡大とともにシステムを整備することが大切
事業の規模が大きくなりお客様からの問い合わせが増えると、Gmailを使ったカスタマーサポートでは応対品質の維持が難しくなるかもしれません。対応の遅れでお客様とのトラブルが起こってからでは遅いのです。問い合わせ管理に特化したシステムであれば品質の安定した顧客対応が可能となり、サポート業務のトラブル防止と効率化につながります。事業にかかわるさまざまなシステムは、事業の拡大とともに整備を進めていくことが大切です。
お客様からの問い合わせ窓口業務にメール共有システムを使えば、顧客対応の品質は飛躍的に向上します。株式会社インゲージの「Re:lation(リレーション)」は、お客様からの問い合わせ対応に必要な機能をすべて実装しています。