顧客の増加に伴う管理体制の見直しや、顧客対応のトラブル防止を目的として「問い合わせ管理システム」の導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。
しかし、多くの問い合わせ管理システムが存在するため、どのように比較するべきなのか迷ってしまうのも事実。
そこで本記事では、問い合わせ管理システムの比較ポイントを8つご紹介するほか、ExcelやGoogleスプレッドシートとの比較もします。
最後まで読むことで、課題解決に向けたシステムの選び方を把握できます。
目次
比較する前に確認!問い合わせ管理システムとは?
問い合わせ管理システムとは、顧客からの問い合わせ窓口を一元管理し返信漏れ・返信忘れなどのトラブルを防止するほか、迅速かつ的確に対応するためのシステムです。
インターネットが普及した現代において電話やメール以外にも、次のように問い合わせ窓口が多様化しています。
- Webサイトの問い合わせフォーム
- LINE
- チャット
- SNS
従来の管理方法であるExcelやスプレットシートでの対応では、リアルタイムで情報共有ができないほか、問い合わせ内容を複数人で把握できないなどの課題が挙げられます。
また、問い合わせ管理システムを用いた運用は、特定の社員しか知り得ない業務の「属人化」の防止も可能です。
問い合わせ管理システムとExcelを比較
Excelでの問い合わせ管理方法と、システムを用いた管理方法はどう違うのかを比較しながら解説します。
ここでは、以下の3つを比較します。
- 情報共有のしやすさ
- データ管理や保護の利便性
- セキュリティ
なお、以下の記事では問い合わせ管理にExcelを利用するメリット・デメリットについて深堀しました。
関連記事:メールをExcel(エクセル)で管理する方法とは?メリットとデメリットも解説|CSnavi
情報共有のしやすさ
Excelでの問い合わせ管理は情報をタイムリーで更新できないため、リアルタイムでの情報共有が難しくなります。
さらに複数の人が同時に書き込むことができず、他の担当者がファイルを編集していると他の人は書き込むことができません。
Excelの設定で「ブック共有」という方法で複数人のユーザーでファイルを共同編集できますが、以下のようにファイルの共有中にできない操作もあります。
- グラフやピボットグラフの作成や変更
- Excelテーブルの挿入
- 配列数式の変更または削除
上記で取り上げた以外にも使用できない操作も少なくありません。
あらかじめ担当者を決めて編集作業を行う方法もありますが、人数が多いと編集に時間がかかるほか、業務の属人化に繋がる恐れもあります。
一方、問い合わせ管理システムであれば、リアルタイムでの情報共有が可能となるため、時間ロスや作業の効率化を図れるでしょう。
データ管理や保護の利便性
Excelはデータ量が増えてくるとファイルの立ち上げに時間がかかったり、操作しづらかったりというデメリットがあります。
データが重くなることで、ファイルの立ち上げに時間がかかり、作業効率の低下に繋がってしまうでしょう。
最悪の場合、作業中にファイルが落ちるトラブルがあるほか、破損のリスクもあるのです。
問い合わせ管理システムはほとんどが「クラウド型」ツールのため、クラウド上にデータを複製したり保管したりするバックアップができます。
そのため、予想外の出来事にも安心して備えることが可能になるのです。
また、物理サーバーの管理が必要なくなるため、コスト削減にもなるでしょう。
セキュリティ
Excelはパスワードを設定することでセキュリティリスクを下げられますが、最低限といえます。
なぜなら、ExcelではメールやUSBメモリなどで簡単に顧客データを持ち出すことができてしまうからです。
問い合わせ管理の現場では顧客の個人情報を扱っている場合が多く、決して流失があってはなりません。
個人情報の漏えいは企業にとって大きなダメージになってしまいます。
堅牢なセキュリティ対策ができている、問い合わせ管理システムであれば、情報漏れのリスクを著しく抑えられます。
問い合わせ管理システムとGoogleスプレッドシートを比較
問い合わせ管理システムとスプレッドシートを比較した際にどのような違いがあるのか、確認していきましょう。
ここでは以下の3つを比較します。
- 顧客のステータス管理
- 問題の解決方法
- 情報漏洩リスク
なお、以下の記事で問い合わせ管理にGoogleスプレッドを利用するメリット・デメリットをさらに深堀しました。
関連記事:問い合わせ管理にはGoogleスプレッドシートを活用すべき?メリットやデメリットも詳しく解説|CSnavi
顧客のステータス管理
クラウドツールであるスプレッドシートは、Excelと比較して情報共有しやすいものですが、ステータス管理には不便です。
ステータス管理ができないことで、案件の担当者や現状の把握が曖昧になり、確認に時間がかかってしまいます。
そのため、非効率な業務体制になるだけでなく、顧客満足度の低下にも繋がりかねません。
また、Googleスプレッドシートは外部との連携も難しく、構築するにはかなりの手間と時間がかかるでしょう。
一方、問い合わせ管理システムの中には、対応状況が一目でわかる対策が取られています。
例えば「未対応・対応中・対応完了」などのステータス管理を簡単に行えるのです。対応状況の「見える化」は、問い合わせ管理をスムーズに行えます。
問題の解決方法
スプレッドシートはExcel同様に使いやすいツールでもあります。
しかし、わからないことがあったときは自分で調べる場面が多いため、解決までに時間がかかってしまいます。
さらに、スプレットシートを利用して問い合わせ管理をする際には、自分自身でフォーマットを作ることもあるでしょう。
このようにスプレッドシートは、作成作業や解決方法を考えるのに手間取り効率的とはいえません。
一方、問い合わせ管理システムであれば「FAQ・カスタマーサポート・導入サポート」などが充実していることが多く、素早く問題解決できます。
容易に問題解決できると、効率的な問い合わせ管理ができるだけでなく、顧客対応におけるミスを減らすことにも繋がります。
情報漏洩リスク
スプレッドシートは情報共有しやすい一方で、情報漏れのリスクが高いといえます。
前述したExcelでは、メールやUSBメモリから個人情報が流出する恐れがありますが、スプレッドシートはURLを知っていれば、誰でも閲覧・編集できる「リンク共有」ができてしまいます。
また、間違って第三者にデータを送ってしまった際に気づきにくいのも事実。
その点、問い合わせ管理システムでは、情報漏れのリスクを抑える機能が実装されています。
例えばセキュリティ対策が取られているシステムの中には、送信前に宛先・本文などを確認しないと送信できない「チェック機能」を実装しているシステムもあります。
問い合わせ管理システムを導入する4つのメリット
問い合わせ管理システムを導入すると、どのようなメリットがあるのかを確認していきましょう。
ここでは、以下4つのメリットをお伝えします。
- 複数の問い合わせ窓口を一元管理
- ステータス管理でトラブルを防止
- 分析機能が充実
- 業務の属人化を防止
メリット①複数の問い合わせ窓口を一元管理
メールや電話での問い合わせの他にSNS・チャット・LINEなど、複数の問い合わせチャネルに対応できます。
マルチチャネルを一元管理できるため、他の問い合わせチャネルごとに操作する必要がなくなります。そのため、作業時間の効率化を図ることが可能になるのです。
メリット②ステータス管理でトラブルを防止
問い合わせ管理システムの中には「未対応・対応中・対応完了」といった、ステータス管理ができます。
ステータス管理を行うことで、対応状況の「見える化」ができるため、対応漏れや対応忘れ、二重返信のトラブルを防止できます。
各ステータスの表示は、システムを使っている全てのユーザーに共有されるため、上司や同僚などからもサポートを受けられるでしょう。
メリット③分析機能が充実
問い合わせ内容や時間などをデータ化すると、業務の改善や品質の向上を期待できます。
例えば「株式会社インゲージのRe:lation(リレーション)」なら、対応件数や対応時間などを、担当者ごとにグラフで確認し分析可能です。
また、データを分析し活用しやすいシステムは、顧客行動の把握や顧客ニーズを紐解くことが可能なため、マーケティング戦略も立てやすくなるでしょう。
メリット④業務の属人化を防止
問い合わせ内容をチームで共有すると、特定の担当者しか対応できない業務の「属人化」を防止できます。
業務の属人化が進行している現場では、担当者が急な休みや外出している時に迅速に対応ができず、顧客を待たせてしまいます。
こうした事態は、顧客満足度の低下に繋がるだけでなく、顧客の流出にも繋がりかねません。
属人化の防止は安定した顧客対応・管理ができるため、売上の向上にも繋がるのです。
問い合わせ管理システム8つの比較ポイント
問い合わせ管理システムを比較する際はどのようなポイントがあるのか確認していきましょう。
ここでは、以下8つの比較ポイントを挙げました。
- どのチャネルに対応しているか
- 振り分け設定の最適化されているか
- トラブルを防止できる対策はとられているか
- ナレッジを共有しやすいか
- データ分析機能は実装されているか
- セキュリティ対策が万全
- 操作しやすいUIか
- お試し期間はあるのか
比較ポイント①どのチャネルに対応しているか
問い合わせ管理システムごとに対応チャネルが異なるため、自社で開設しているチャネルに対応しているか確認しましょう。
一般的にはメールや電話での問い合わせがほとんどですが、Webフォーム・SNSなど企業によって問い合わせ範囲は異なります。
また、現状の問い合わせチャネルが少ない場合であっても、今後対応チャネルを増やすことを検討しているのであれば、複数のチャネルに対応しているシステムを選んでもいいかもしれません。
問い合わせ管理システムの導入の際は、自社のチャネルとの相性を比較検討しましょう。
比較ポイント②振り分け設定が最適化されているか
振り分け設定の最適化がされていると、適切な担当者に問い合わせ内容を自動的に振り分けられます。
例えば、メールの自動化は誰が対応すべきなのかの判断が不必要になるため、その業務とは関係のない方がメールに目を通す必要がなくなり業務の効率化が図れます。
問い合わせ内容を確認する必要がなくなるため、管理者の負担が軽減するほか、時間の削減も可能です。
比較ポイント③トラブルを防止できる対策はとられているか
前述したステータス管理機能がついている問い合わせシステムなら、対応状況が「見える化」されているため、トラブルを事前に防止できます。
例えば、作業ステータス「未対応・対応中・対応完了」をつけることで、対応漏れや二重返信などを減らし、顧客満足度の向上を図れます。
また、対応漏れを知らせてくれる「対応遅れアラート機能」を実装している、システムも存在します。
トラブルを防止できる対策が取られていることで、客離れやネガティブなイメージの拡散を防げるほか、潜在的なトラブルを発見し改善もできるでしょう。
比較ポイント④ナレッジを共有しやすいか
ナレッジを共有しやすいシステムの導入は、属人化を防止できるほか、知識やノウハウを組織全体で共有できます。
なお「ナレッジ」とは以下の形態を指します。
- ナレッジ:社内に蓄積されたノウハウ・知識・スキルのこと
例えば、ナレッジの共有をする際に「テンプレート機能」や「掲示板」などを実装しているシステムであれば、よくある返信内容にすぐに回答できたり、運用ルールやナレッジの共有を容易にできたりするのです。
ナレッジの共有は、組織全体の生産性が期待できるほか、従業員1人ひとりのスキルアップにも期待できるでしょう。
比較ポイント⑤データ分析機能は実装されているか
問い合わせの様々なデータを収集することで、商品やサービスの改善や、ノウハウを蓄積できます。
情報にアクセスする方法や消費者行動が多様化している現代において、データ分析機能は欠かせません。
具体的なデータ分析は、パーソナライズされたマーケティングが可能です。
なお、パーソナライズは以下の形態を指します。
- パーソナライズ:一人ひとりに合わせて変更する(顧客の属性や行動・購買履歴などに基いて情報を提供)
また、前述した「Re:lation」は問い合わせ対応の課題を洗い出せるため、業務フローの改善から顧客満足度の向上に繋がる「顧客対応」もできます。
比較ポイント⑥セキュリティ対策が万全か
問い合わせ管理の現場において個人情報を扱うため、セキュリティ対策が万全なシステムを選ぶのも大切です。
以下のように様々なセキュリティ対策がされているシステムを選ぶようにしましょう。
- MFA(多要素認証)機能
- 送信前チェック機能
- Google OAuth正式対応
- 添付アラート機能
- 添付ファイルウイルスチェック
- ユーザ権限設定
- IPアドレス制限
例えば「MFA(多要素認証)機能」は第三者からの不正なアクセスを防げたり「添付ファイルウイルスチェック」では、ウイルスの可能性のある添付ファイルを事前に検知したりできます。
また、国際規格である「情報セキュリティマネジメントシステム」を取得している企業であれば、より安心してシステムを利用可能です。
比較ポイント⑦操作しやすいUIか
どんなに優れた機能を搭載しているシステムでも、操作がしにくいシステムでは使いこなすことができません。
入社して経験が少ないスタッフやITツールに慣れていないスタッフなどでも、直感的に操作できるシステム選びが重要です。
操作しやすいUIであれば、業務の効率化を図れるだけでなく、顧客対応の品質も向上できるでしょう。
結果として、顧客満足度にも繋がるのです。
比較ポイント⑧お試し期間はあるのか
問い合わせ管理を導入するメリットがわかったとしても、実際に利用しなければ、そのシステムが自社にあっているのかを判断できません。
そのため、お試し期間があるシステムで試してみましょう。
システムを試す際は操作性の確認やサポート体制なども確認しましょう。
主な問い合わせ管理システムを比較する
問い合わせ管理システムの比較ポイントをお伝えしましたが、主なシステムを比較するとどのような違いがあるのかご紹介します。
ここでは、5社の問い合わせ管理システムを比較しました。
以下の表に加え、システムごとに解説しますので、自社の課題解決に適したツールを比較検討してみてください。
①対応チャネル | ②振り分け設定 | ③トラブル防止対策 | ④ナレッジ共有 | ⑤データ分析 | ⑥セキュリティ対策 | ⑦操作のしやすさ | ⑧お試し期間 | |
Re:lation | メール 電話 問い合わせフォーム Webチャット LINE ※10種類以上に対応 | ◯ | ◎ | ◯ | ◯ | ◎ | ◎ | 20日間 |
Zendesk | メール 電話 LINE チャット | ◯ | ◎ | ◎ | ◯ | ◯ | ◯ | 14日間 |
メールディーラー | メール 電話 問い合わせフォーム Webチャット | ◯ | ◎ | ◯ | ◎ | ◯ | ◯ | ー |
メールワイズ | メール 電話履歴/訪問履歴 | ◯ | ◎ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | 30日間 |
yaritori | メール slack | ◯ | ◎ | ◯ | ◯ | ◯ | ◎ | 7日間 |
Re:lation (リレーション)|株式会社インゲージ
Re:lationの特徴
- 10種類以上の問い合わせチャネルを一元管理
- 対応状況が一目でわかるステータス管理
- 分析・セキュリテ機能が充実
Re:lationは導入社数3,500社以上の問い合わせ管理システムです。
Re:lationは10種類以上のチャネルを一元管理できるため、バラバラだった窓口を一つにまとめられるほか、対応漏れや二重返信といったトラブルを防止できる「ステータス管理」「対応遅れアラート機能」も実装しています。
そのほか、テンプレート機能や掲示板などの機能も実装しているため「ナレッジの共有」も容易に行えるため、授業員のスキルアップから組織全体の生産性の向上も図れるでしょう。
また、初めて使うスタッフでもその日のうちに使いこなせるほどの高い操作性は「グッドデザイン賞を受賞」。20日間の無料トライアルも実施しています。
Zendesk|株式会社Zendesk
出典:Zendesk
Zendeskの特徴
- 複数の問い合わせチャネルを一元管理
- カスタマイズ機能が豊富
- 世界で10万社以上が導入しているシステム
ZendeskはWebサイト・メール・電話・SNSなど、様々なチャネルを一元管理できます。
Zendeskも対応漏れや二重返信を防ぐステータス管理ができるほか、カスタマイズ機能も豊富なため、自社の特徴に合わせて必要な機能を追加することも可能です。
また、業務を効率化するための担当者の振り分けを自動化する機能も実装しています。
メールディーラー|株式会社ラクス
出典:Mail Dealer
メールディーラーの特徴
- リアルタイムに情報共有ができる
- 電話・メール・SNSなど複数の問い合わせ窓口を一元管理
- 7,000社を超える導入実績
メールディーラーはメール共有・管理に強い問い合わせ管理システムです。
メールをステータス別に管理できる特徴があるほか、情報共有をスムーズに行うためのカスタマイズ機能も実装しています。
また、システム導入後は専属のスタッフが配置されるため、システムトラブルや電話サポートを受けることも可能です。
メールワイズ|サイボウズ
出典:Mailwise
メールワイズの特徴
- 低予算から導入可能
- メール共有に特化
- 導入実績12,000社以上
メールワイズはメール共有に特化しているサービスで、問い合わせ窓口をメールに絞っている企業に向いているでしょう。
さらに、1ユーザー月額500円で、2ユーザーから利用できる特徴があり、低予算で導入できます。
低価格でありながら、チームでの情報共有や誤送信・二重返信を防止するための機能も実装しているのです。
また、30日間無料で試すこともできます。
yaritori(Onebox株式会社)
出典:yaritori
yaritoriの特徴
- メール対応状況の可視化
- チャットで簡単に情報共有
- カテゴリーごとに複数のテンプレートを登録
yaritoriはクラウド型のメールサービスです。
共有メールアカウントで起こりがちな「二重対応・対応漏れ・管理の手間」などをyaritoriで解決できるでしょう。
yaritoriはステータス管理をはじめとした、誰がどのメールを確認したか、していないのかが一目でわかる「未読・既読機能」も実装しています。
また、UIがシンプルなので直感的な操作も可能です。
問い合わせ管理システムを比較検討し導入しよう
問い合わせ管理システムの導入は、従来のExcelやスプレットシートの管理方法と比較すると、問い合わせ窓口を一元間りできたり、業務の改善、対応品質の向上を図れたりと、多くのメリットがあるのです。
企業によって問題としているテーマが異なるため、最適な問い合わせ管理システムを選ぶ必要があります。
「対応チャネル数」「ステータス管理」「分析機能」「操作性のしやすいUI」など、問い合わせ管理にどのような課題があるのかを洗い出す必要があります。
その際、本記事でご紹介した「8つの比較ポイント」を参考にしてみてください。
また、多くの問い合わせ管理システムは無料トライアルを実施しているため、実際に利用してみるのもおすすめです。