現代の顧客は、電話、メール、チャット、SNS、ウェブサイトなど、複数のチャネルを状況に応じて使い分けます。企業側には、これらのチャネルをシームレスに連携させ、どの接点でも一貫した高品質な体験を提供するオムニチャネル戦略が求められています。
オムニチャネルとは?マルチチャネルとの違いと顧客メリット
マルチチャネルとは、企業が複数のチャネル(接点)を持っている状態を指しますが、各チャネルが独立して機能していることが多いです。一方、オムニチャネルは、それら複数のチャネルが緊密に連携し、顧客があたかも一つのチャネルを利用しているかのように、一貫性のあるシームレスな体験を提供することを目指します。顧客にとっては、どんなチャネルを使っても企業に同じ説明を繰り返す必要がなくなり、ストレスなく情報を得たり、問題を解決したりできる大きなメリットがあります。
顧客情報と対応履歴の一元管理とチャネル間連携
オムニチャネル実現のためには、顧客情報と対応履歴の一元管理が重要です。例えば、以前メールで問い合わせた顧客が次に電話してきた際に、そのメールのやり取りを担当者が即座に参照できれば、スムーズで的確な対応が可能です。これを実現するためには、CRM(顧客関係管理)システムや問い合わせ管理システムを導入し、全てのチャネルからの情報を一つのプラットフォームに集約・共有する仕組みが不可欠となります。
参照:5-3. CXテクノロジーの活用による効率化と体験向上
どのチャネルでも一貫したブランドボイスと応対品質を保つ方法
使用するチャネルが異なっても、顧客が受け取るメッセージのトーン&マナーや、提供される情報の質、問題解決のスピードなどが一貫していることは、企業のブランドイメージと信頼性を保つ上で非常に重要です。これを実現するためには、応対マニュアルの整備、全チャネル共通の品質基準の設定、担当者への継続的なトレーニング、そして統一感のあるパーセプションを体現するためのコミュニケーションガイドラインの策定と浸透が求められます。
各チャネルの特性を活かした最適なコミュニケーション設計
一貫性を保ちつつも、各チャネルの特性(電話の即時性・共感性、メールの記録性・非同期性、チャットの手軽さ・迅速性など)を理解し、それを最大限に活かしたコミュニケーションを設計することも重要です。例えば、複雑な問題や感情的な対応が求められる場合は電話、証拠や記録を残したい場合はメール、簡単な質問や迅速な回答が求められる場合はチャット、といったように、問い合わせ内容や顧客の状況に応じて最適なチャネルへ誘導したり、複数のチャネルを効果的に組み合わせたりする工夫がCX向上に繋がります。