顧客との接点となる主要なコミュニケーションチャネルには、それぞれ異なる特性があり、効果的な対応方法や体験設計のポイントも異なります。ここでは、電話、メール、チャット、そしてセルフサービスという4つの代表的なチャネルについて、CX向上のための具体的な勘所を解説します。
【電話応対】声のトーン、話し方、保留・転送のコツ
電話は、声を通じて直接感情が伝わる即時性の高いチャネルです。聞き取りやすく、落ち着いた声のトーン、丁寧かつ明確な言葉遣い、適切な話速が重要です。相手の話を最後まで聴き、共感を示す相槌も信頼関係構築に繋がります。調査や確認のために顧客を待たせる「保留」は最小限に留め、目安時間を伝える配慮が必要です。担当者変更や他部署への「転送」を行う際も、事前に顧客の了承を得て、スムーズな引き継ぎを心がけることで、顧客のストレスを軽減します。
【メール応対】分かりやすい件名、構成、簡潔な文章、返信速度
メールは記録性が高く、非同期でのコミュニケーションに適したチャネルです。一目で内容がわかる具体的な件名、挨拶・本題・結びといった分かりやすい構成、そして簡潔で誤解を招かない文章表現が求められます。問い合わせへの返信は、企業の規定時間内に、可能な限り迅速に行うことが顧客満足度を高めます。よくある質問への回答や定型的な案内には、事前に作成したテンプレートを活用することで、効率と品質を両立させることができます。
【チャット応対】即時性、簡潔な言葉遣い、複数対応、有人・AI連携
チャットは、手軽さと即時性が大きな特徴です。顧客は迅速な回答を期待しているため、短い文章でテンポ良く、かつ的確にコミュニケーションを取るスキルが求められます。多くの場合、担当者は複数の顧客と同時にチャット対応を行うため、効率的な情報処理能力も必要です。定型的な質問にはチャットボット(AI)が一次対応し、複雑な内容や個別対応が必要な場合は有人オペレーターにスムーズに引き継ぐ、といった連携体制もCX向上に有効です。
【セルフサービス】FAQ・ナレッジベースの整備と効果的な誘導
FAQ(よくある質問)やナレッジベースといったセルフサービスチャネルは、顧客が自身のタイミングで疑問を解決できるため、満足度向上と問い合わせ件数削減の両方に貢献します。コンテンツは常に最新の状態を保ち、顧客が求める情報に容易にたどり着けるよう、検索性やナビゲーションを工夫することが重要です。また、有人チャネルへの問い合わせ前に、まずセルフサービスチャネルを参照するよう促すなど、効果的な誘導を行うことで、全体のサポート効率を高めることができます。