4-2. 感情的な顧客への共感的アプローチと冷静な対応

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時には、強い怒りや深い悲しみなど、感情を露わにする顧客に対応しなければならない場面もあります。そのような状況でも、担当者は冷静さを失わず、顧客の感情に寄り添った共感的なアプローチを心がけることが求められます。

顧客の怒りや不安の背景にある感情の理解

顧客が強い感情を示している場合、その表面的な言葉だけではなく、なぜそのような感情になっているのか、その背景にある根本的な原因や満たされなかった期待を理解しようと努めることが第一歩です。「期待を裏切られた悲しみ」「軽んじられたと感じる屈辱感」「どうにもならない状況への無力感」など、様々な感情が複雑に絡み合っている可能性があります。

ペーシング、バックトラッキング等、顧客の興奮を鎮めるためのコミュニケーション技法

顧客の感情が高ぶっている状態では、まずその興奮を鎮め、冷静に話し合える状態に導くことが先決です。相手の話し方や声のトーン、呼吸のペースに合わせる「ペーシング」、相手の言葉を繰り返して理解を示す「バックトラッキング(オウム返し)」、感情を代弁する(「お怒りはごもっともです」といった言葉)は、顧客に「自分の気持ちを理解してくれている」と感じさせ、感情のクールダウンを促す効果があります。

自身の感情をコントロールし、冷静さを保つためのセルフマネジメント

顧客から厳しい言葉を投げかけられたり、理不尽な要求をされたりすると、対応者自身も感情的になりがちです。しかし、プロフェッショナルとしては、どのような状況でも冷静さを保ち、客観的な対応を心がける必要があります。深呼吸をする、攻撃を個人的なものと受け取らないようにする(役割として対応していると意識する)、必要であれば一時的に席を外して気持ちを切り替えるなどのセルフマネジメント技術が役立ちます。少し席を外すを、窓の外を見るなどの少しの休憩も有効です。

カスタマーハラスメント(悪質クレーム)への適切な対処と組織的対応

一方で顧客からの要求や言動が、正当なクレームの範囲を超え、脅迫、暴言、長時間の拘束、不当な金銭要求といったカスタマーハラスメント(カスハラ)に該当する場合は、担当者一人で抱え込まず、組織として毅然と対応する必要があります。事前にカスハラへの対応方針やエスカレーションルートを明確に定め、担当者を守る体制を整えておくことも重要です。法的措置も視野に入れた対応が必要になる場合もあります。

テンプレ(お役立ち資料)

企業が押さえるべきクレーム対応の要点