担当者一人では解決できない問題や、より専門的な知識・権限が必要な場合には、速やかに上位者や関連部署に報告・相談し、対応を引き継ぐ「エスカレーション」が必要となります。適切なエスカレーションは、迅速な問題解決と顧客満足度の維持に不可欠です。
エスカレーションが必要な状況の判断基準(時間、専門性、権限など)
どのような場合にエスカレーションを行うべきか、明確な基準を組織として定めておくことが重要です。例えば、①規定の対応時間を大幅に超えそうな場合、②自身の知識やスキルでは対応できない専門的な内容である場合、③対応に必要な権限(例:返金処理、特別な値引きなど)を持っていない場合、④顧客が担当者の交代を強く要求する場合、⑤カスタマーハラスメントの可能性がある場合など、具体的で担当者が判断に困らないような基準の制定が求められます。

スムーズなエスカレーションのための正確な情報伝達と引き継ぎ
エスカレーションを行う際は、引き継ぎ先にこれまでの経緯、顧客の要望、現在の状況、問題点、自身が行った対応などを、5W1Hを意識して簡潔かつ正確に伝える必要があります。情報伝達の漏れや誤りは、解決までの時間を長引かせ、顧客の不満を増大させる原因となります。
関係部署や上位者との効果的な連携と迅速な問題解決プロセス
エスカレーションは、単に丸投げすることではありません。引き継いだ後も、必要に応じて情報提供やサポートを行い、関係部署や上位者と密に連携を取りながら、組織全体として迅速な問題解決を目指します。そのためには、日頃から他部署との良好な関係を築き、エスカレーション時の協力体制を確立しておくことが重要です。
エスカレーション後の顧客への適切な進捗報告とフォローアップ
対応が上位者や他部署に引き継がれた場合でも、顧客への連絡窓口は最初の担当者が引き続き行うか、あるいは引き継ぎ先が明確にその役割を担うかを決め、顧客を不安にさせないようにします。調査や対応に時間がかかる場合は、定期的に進捗状況を報告し、最終的な解決に至った際には、その結果と経緯を丁寧に説明し、改めて感謝と必要であれば謝罪の意を伝えます。