優れたCXの提供と継続的な品質向上は、一部の担当者や部門の努力だけでは達成できません。経営層のコミットメントのもと、組織全体として取り組み、顧客中心の文化を醸成し、それを支える従業員の体験(EX)を高めていくことが不可欠です。
応対マニュアル整備と業務プロセスの標準化
誰でも一定水準以上の高品質な対応ができるようにするため、応対マニュアルの整備と業務プロセスの標準化は基本です。マニュアルには、基本的なビジネスマナー、製品知識、各種ツールの操作方法、チャネル別対応手順、クレーム対応フローなどを網羅的に記載します。また、業務プロセスは定期的に見直し、非効率な部分を改善し、標準化することで、応対品質の均一化と生産性向上を図ります。
顧客中心文化を組織全体に浸透させるためのリーダーシップと施策
「顧客第一」「CX向上」をスローガンとして掲げるだけでなく、それを組織の隅々まで浸透させるためには、経営層からの明確なメッセージ発信とリーダーシップが不可欠です。部門横断的なCX改善プロジェクトの推進、成功事例の全社共有、顧客視点での貢献を評価する制度の導入、定期的なCX研修の実施など、具体的な施策を通じて、全従業員が顧客中心の価値観を共有し、行動できる文化を醸成します。
従業員体験(EX)向上がCX向上に繋がるメカニズムと具体的な施策
従業員が自社の製品やサービス、そして働く環境に誇りと満足感(従業員体験=EX)を持っていれば、それは自然と顧客へのより良い対応やサービス提供意欲に繋がります。EX向上のためには、働きやすいオフィス環境の整備、適切な権限委譲と裁量権の付与、公正な評価と報酬制度、キャリアアップ支援、ワークライフバランスへの配慮などが重要です。EXとCXは表裏一体であり、EX向上はCX向上のための重要な投資です。

定期的なスキルアップ研修、OJT、コーチング体制の構築
顧客ニーズや市場環境、テクノロジーは常に変化します。これらに対応し、継続的に応対品質とCXを高めていくためには、従業員のスキルアップが不可欠です。第2章で学んだコミュニケーションスキルをはじめ、製品知識、ツール操作スキル、問題解決能力などを高めるための定期的な研修プログラムやOJT(On-the-Job Training)、そして個々の強みを伸ばし課題克服を支援するコーチング体制を整備・運用することが求められます。