業務効率化を図って生産性を上げなければ、企業は生き残れない。これは会社に勤めていれば日常的にいわれることですが、業務効率化とは一体どのようなことを指すのでしょうか? 今回は業務効率化の概要からメリット、効率化を進める具体的な方法について解説します。
目次
業務効率化とは?
一般的に業務効率化とは、業務の工程からムリ・ムダ・ムラを省き、業務全般を改善することをいいます。業務に非効率なムリ・ムダ・ムラを説明します。
「ムリ」
「ムリ」は、業務上の過度な負荷となる作業やスケジュール、精神的なストレスをいいます。一日では終わらないような量の業務を任されていたり、特定の人間に負荷がかかっていたりする業務は、いずれ破綻します。無理のある工程が破綻した場合には、周りの誰かがフォローしたり人員を増員したりと、結局は非効率的な工程になる可能性があります。
「ムダ」
「ムダ」は、「ムリ」とは逆に、本来必要ではない工程であったり、材料を必要以上に投下していたりするなど、無駄なコストをかけている場合です。また、工程や材料だけでなく、過度な人材登用をしている場合も大きな無駄になります。
「ムラ」
「ムリ」は、業務がどこか一カ所、もしくは数カ所に偏っており、ボトルネックが発生している状態のことです。ほかの工程がスムーズに進んでいても、どこかの工程にムラがあると業務はそこで止まってしまいます。例えば、月末になると営業からの精算書類が一気に業務に押し寄せ、支払い手続きをする経理の手前で作業が滞ってしまうことなどが挙げられます。業務工程は、あらゆる工程がスムーズに流れてこそ効率が上がるのです。
ムリ・ムダ・ムラをなくす業務効率化のメリット
コスト削減
ムリ・ムダ・ムラの削減は業務の効率を上げます。業務効率の向上は結果として生産性も上げ、コストの削減にもつながります。
利益率向上
コストの削減は利益率を向上させます。利益率の向上によって生まれた利益は、事業や研究開発費への投資を可能にします。また安定的に利益が生み出されるようになると、事業拡大のための融資が受けやすくなるなど経営環境も安定します。
企業の競争力強化
利益率の向上は設備への積極的な投資を可能にし、研究開発費も増やしますが、新たな人材雇用にも効果を発揮します。優秀な人材の確保は、企業の競争力強化となります。
従業員のモチベーション向上
業務の過剰な偏りや負担増は従業員のモチベーションを下げ、離職の危険性を高めてしまいます。業務のムリ・ムダ・ムラを省くことは従業員のモチベーション向上を促し、このようなことに真剣に取り組む企業姿勢は人材を採用するリクルート活動にも良い影響を与えます。
人材不足解消
慢性的な工程のムダは、本来必要でない工程に人材を配置するので、人材不足を招きます。業務の平準化や無駄な工程の省略は、人材を効率的に活用するので、人材不足の解消になります。また、業務の平準化は従業員の公平感を増すので、離職率の低減にもなり、優秀な人材の確保にも効果を発揮します。
業務効率化の課題
業務効率化にはさまざまなメリットがあるのですが、業務効率化の障壁となっていることにはどのようなものがあるのかここで確認しておきましょう。
人材不足がある
業務効率化を推進するための人材が存在せず、工程そのものにも人材が不足し、業務に滞りがでている場合です。業務のムラは従業員のモチベーションを下げ不満を増長し、効率化ができていない場合だけでなく、人材不足の場合にもムラは発生します。業務の偏りは属人化を進めてしまう可能性もあるのです。このような場合には、誰かに任せるのではなく、経営者自らが業務効率化を推進する必要があります。
情報共有が不足している
社内の情報共有が成されていないために、ムダ・ムリ・ムラな工程が明らかになっていない状態です。このようなことを解消するには社内で業務効率化プロジェクトを立ち上げることも必要ですが、普段から情報共有できるように、コミュニケーションツールと呼ばれるものを使っておくことも大切です。コミュニケーションツールとは、ビジネスチャットやグループウェアを指します。
業務の属人化や業務工程の不透明さがある
業務がアナログ的な作業で属人化しており、業務工程の中身が不透明になっている状態です。業務効率化は内容が明らかになっていないと、そもそも何がムダで効率化できないのかが判断できません。業務工程は内容を明らかにして業務ノウハウの共有を図っておくことが大切です。
不明確な費用対効果がある
業務を効率化した場合の効果が明確でないと、業務効率化への意欲はわかないものです。業務の効率化が自分たちの作業をいかに楽にさせ、会社の生産性を上げるのか、業務効率化へのモチベーションを上げるためにも効果を明らかにします。効果はできれば費用対効果として表現し、経営陣への訴求力を上げておくことも必要です。
業務効率化の手順
最後に、実際に業務効率化を進める手順について確認しておきましょう。
- 業務効率化プロジェクトの発足
業務効率化の第一歩は、業務の効率化を目的としたプロジェクトを発足させることです。各部門から担当者を選任し、全社で業務改善プロジェクトを立ち上げます。プロジェクトを立ち上げる主目的は業務効率化ですが、多くの人に参加してもらうことにより情報共有を促し、業務効率化を他人ごとにさせない目的もあります。
- 業務のムリ・ムダ・ムラを洗い出す
プロジェクトが発足したら、まず各部署の業務フローを明確にし、工程のムリ・ムダ・ムラを詳細に洗い出します。今までは作業が属人化し内容が明らかでなかった工程も、この作業で効率化できます。またこの際、人による効率化で対応できる工程と、ツールに任せた方が効率の上がる工程を分けておきます。
- 人による改善とツールによる効率化の効果を計算
改善効果を人の手によるものと、ツールの導入によって改善できるものに分けたら、それぞれをコストに換算します。一番簡単なコスト換算は、短縮できたり省くことができたりする工程の時間を計算することです。この時間を標準的な人件費の時間単価に当てはめれば、削減できるコストが明確になります。また、ツールの導入時には、この効果を改善コストとして用いることができます。
- 目標と効果を明確にする
効率化すべき業務と効率化した場合の効果が明確になったら、業務効率化の目標とその費用対効果を経営陣と全従業員に示しましょう。経営陣にはプロジェクトの実行と、投資の費用対効果について説明しておく必要があります。また、従業員に対しては、会社と自分自身にどのようなメリットがあるかを示し、協力を仰ぐ必要があるためです。
- 効果測定と継続的な改善
実際に業務改善のプロジェクトを実行させたら、ツール導入による効果と人の手による改善効果を合わせて測定します。目標と実際の効果に乖離があるようであれば、以降はPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを回して継続的な改善と実行、測定を繰り返していきます。
コストが増大するお客様からの問い合わせ対応
今回、紹介した業務効率化には人的な工夫も必要ですが、業務内容によってはツールの導入が効果的な場合もあります。例えば、お客様からの問い合わせ対応などは、コストがかかるだけで売上につながらないと軽視されてきた歴史があります。
また、業務内容も従来は電話対応がほとんどで、アナログな業務だったため改善が遅れていました。しかし、近年は口コミやSNSの普及もあり、顧客対応の品質が企業の評価を左右してしまうほど重要な業務です。長くアナログ的な対応が続き、対応コストも増大している問い合わせ対応にはツールの導入が最適です。
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問い合わせ業務の2つの課題と3つの効率化の方法とは? – CSnaviの記事もご参考ください。
適切な工程にツールを用いるのが効率化の要
業務効率化には、工程に適したツールの導入が効果的です。ただし、無計画にツールを導入しては、投資の無駄遣いにつながりかねません。大切なのは事前の業務フローの明確化と効果の予測です。業務の効率を上げるためにも、しっかりとした責任者のもとでプロジェクトを立ち上げ、全社で計画的に進めていきましょう。