1-4. カスタマージャーニーの理解とタッチポイントの意識

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顧客は一直線に製品やサービスにたどり着くわけではありません。認知から購買、利用、そしてその後の関係性構築に至るまで、様々な段階(ステージ)と接点(タッチポイント)を経ています。この顧客の一連の「旅(ジャーニー)」であるカスタマージャーニーを理解し、各タッチポイントを意識した対応をすることが、CX向上には不可欠です。

カスタマージャーニーマップとは?作成の目的と基本ステップ

カスタマージャーニーマップ(CJM)とは、顧客が製品やサービスを認知し、関心を持ち、検討、購入、利用、そして最終的には推奨や離反に至るまでの一連の体験プロセスを、時間軸に沿って可視化したものです。作成の主な目的は、顧客の視点に立って各段階での行動、思考、感情、そして課題(ペインポイント)を深く理解し、CX改善の機会を発見することにあります。

CJMを作成する基本的なステップとしては、まず①具体的な顧客像であるペルソナを設定し、②顧客が体験する主要なステージ(段階)を定義します。次に、③各ステージにおける顧客の行動、思考、感情を洗い出し、④企業との接点(タッチポイント)を特定します。最後に、⑤各ステージでの課題や改善機会を明確にし、理想的な体験への道筋を描きます。CJMは一度作って終わりではなく、定期的に見直し、更新していくことが重要です。

主要な顧客タッチポイントの特定とそれぞれの役割

顧客タッチポイントとは、顧客が企業やブランド、製品・サービスと接するあらゆる機会や場所を指します。これには、ウェブサイト、SNS、広告、店舗での接客、製品のパッケージ、取扱説明書、コールセンターやメールでの問い合わせ対応、請求書など、オフライン・オンラインを問わず多岐にわたります。これらのタッチポイントを特定し、それぞれの役割を理解することは、一貫性のあるCXを提供する上で非常に重要です。例えば、ウェブサイトは情報提供や初期の関心を喚起する役割、問い合わせ窓口は問題解決や信頼構築の役割といったように、各タッチポイントがカスタマージャーニーのどの段階で、どのような顧客ニーズに応えるべきかを明確にします。これにより、各タッチポイントでのコミュニケーション戦略やリソース配分を最適化することができます。

各タッチポイントでの顧客体験を意識した応対とは

顧客対応担当者が日々の業務を行う上で、カスタマージャーニーとタッチポイントを意識することは、より質の高いCXを提供する上で不可欠です。それは、個々の問い合わせを断片的に捉えるのではなく、顧客がどのような旅路を経て今この瞬間に自分と接しているのか、そしてこの対応が顧客の次の行動や感情にどう影響するのかを考慮することを意味します。例えば、購入直後の顧客からの問い合わせであれば、製品への期待感が高い状態であることを理解し、より丁寧な導入支援を心がける。逆に、何度も同様の問題で問い合わせている顧客であれば、その不満や疲弊感を察し、共感的な対応と共に根本解決を目指す、といった具合です。担当者一人ひとりが、自分の対応が大きなカスタマージャーニーの一部であり、重要なタッチポイントであることを自覚することで、より顧客に寄り添った、記憶に残るポジティブな体験を創出することができます。

参照:3. 対応プロセスと体験の最適化

テンプレ(お役立ち資料)

VoC活用調査報告書2025

問い合わせの属人化を防ぐためのノウハウ集​