自社ブランドイメージを保ちつつ、お客様ごとの課題に向き合う『クラウドサイン』のカスタマーサクセス
『クラウドサイン』のカスタマーサクセス部では、お客様とコミュニケーションを取る上で、どのような考えを大事にされていますか?
中嶋さん:弊社はクラウドサイン以外にも、法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」に代表されるように、法律が密接に関わる事業を複数展開しているため、ステークホルダーの皆様にとっての信頼性や安心感を大事にしています。
そして、『クラウドサイン』には、お客様に望ましい体験をお届けするためにブランドとしてあるべき指針をまとめた「ブランドブック」という社内ガイドラインがあります。この「ブランドブック」の中で、弊社の担当者がお客様にコミュニケーションを取る際の指針も明文化されています。事実に基づいた正確な情報伝達や、受け手の立場に立った簡潔で的確な表現を選択することはもちろん、対応する場面によって柔らかい伝え方や、毅然とした伝え方を使い分けています。
お客様からの問い合わせは、1日何件ほど届いているのでしょうか?
堀井さん:カスタマーサクセス部でご支援を担当させていただいているお客様からのメール連絡だけで、1日あたり100件以上のお問合せがあります。特に対応が多いのはコンサルティングチームで、次に通常のサービスサポートを担っているCSM(カスタマーサクセスマネジメント)のチームになります。
メールで相談いただく内容はさまざまで、機能に関する質問や、実際の運用方法の相談もあります。「〜のような機能はありますか」という一見単純な質問でも、なぜその機能がほしいのかを深掘りすると、たとえその機能がなかったとしても運用方法の工夫で解決できることもあります。だからこそ、紋切り型の回答で済ませるのではなく、お客様が本当に求めていることを聞き出すよう心掛けています。
『Re:lation』導入以前は、問い合わせ対応にどのようなツールを使用していましたか。
武江さん:カスタマーサクセス部では、Gmailでお客様からの問い合わせに対応をしておりました。使用するメールアドレスは、個人名のアカウントと共有メールアドレスに分けています。
現在、『クラウドサイン』は130万社以上の企業に導入いただいておりますが、お客さまがご契約のプランやサービス内容に応じたサポート体制を構築しています。お客さまがご利用のプランによっては「サポートチーム」として共有メールアドレスから支援する体制になっています。
一方で、有償のコンサルティングサービスにお申し込みいただいた場合は、専任の担当者による個別サポートをさせていただいており、その場合には個人名のメールアドレスから返信しています。
対応漏れ、案件のブラックボックス化、メール対応の品質。『クラウドサイン』の3つの課題
『クラウドサイン』のカスタマーサクセス部では、お客様とのメール対応について、どのような課題があったのでしょうか?
堀井さん:カスタマーサクセス部が当時抱えていた課題は、大きく3つです。1つ目は、共有メールアドレスに届いたお客様からの問い合わせ対応に漏れが発生していたことです。
当時は共有メールアドレスに届いた問い合わせは、どの案件に誰が対応するのか明確なルールが決まっておらず、気が付いた担当者が対応にあたっていました。そのため、どの案件に担当者がまだ付いていないのか、すぐに確認することができなかったのです。
武江さん:『Re:lation』を導入する以前に、問い合わせメールの対応漏れを自分たち自身で解決できないか試したことがありました。具体的には、別のチームの社員の方に協力していただき、メールが届いてから24時間以上経っているメールを見つけたら、Slackに「忘れていませんか」とリマインドの通知を送るようにしたのです。しかし、すべて手動でリマインド通知を送っていたため、その方にもかなりの負担がかかっていました。
堀井さん:2つ目の課題は、カスタマーサクセス部内で担当者ごとに担当案件がブラックボックス化していたことです。個別のメールアドレスに届いた問い合わせには、チーム内のメンバーをCcに加えて返信はしていましたが、担当者以外のメールボックス内ではどうしても埋もれがちでした。
その結果、業務工数を可視化しにくく、あと何件ぐらいのメール対応が残っているのか計算できませんでした。また、今までは誰が忙しいか気付けず、チーム内でカバーし合うことができなかったのです。
中嶋さん:3つ目は、メール対応の品質を底上げする方法に悩んでいたことです。法律を扱うサービスである以上、メール対応の中でもセンシティブなやり取りが多く、繊細で丁寧な対応が求められます。また、法改正や法解釈の進展に応じたご案内も必要になります。加えて、私たちはお客様により良い体験をお届けするために、製品としても頻繁に機能開発を行なっているため、新機能を含めた提案の内容や運用方法も随時研究と改善を重ねています。お客様に適切なメッセージを分かりやすく安定的にお届けしていくために、基本的な問い合わせ対応のクオリティを底上げしたいと考えました。
案内漏れや表記ミスを防ぐ、『Re:lation』を活用したナレッジマネジメントの工夫とは
ツール選定では、どのような要素を重視されたのでしょうか?
堀井さん:先ほどお話した3つの課題を解決できることから、前任の担当者が『Re:lation』を選定しました。機能面では、Slackに連携できること、UIが分かりやすいことが特に高評価だったと聞いています。
『Re:lation』導入決定後の流れをお聞かせください。
武江さん:前任の担当者が『Re:lation』に関する説明会を1時間ほど開催し、当時の私は「かなり使いやすそう」という印象を持ちました。Gmailを使い続けるよりも格段に良くなりそうだと、チーム内でも話した記憶があります。
中嶋さん:特にマニュアルも不要だったのですが、新入社員向けに初期設定方法や業務でよく使う機能と運用上の実務対応の流れは、社内の情報共有サービス内にまとめました。
御社の『Re:lation』活用で工夫されていることはありますか?
中嶋さん:サービスマネジメントとナレッジマネジメントの観点から、例えば『クラウドサイン』に新しい機能が追加された際にはフレーズ文言を更新し、お客様へ案内する内容を見直しています。このフレーズ文言の更新で表記ミスや記載内容の漏れが発生しないように、複数人によるチェックを行っています。フレーズ文言を更新する場合は、Slackから社内ワークフローの承認ルートに送り、複数メンバーのチェック後に承認されるという流れです。
堀井さん:Slackとの連携機能も活用しています。お問い合わせメールの担当者が自分に変更になった場合や、新規に担当者として割り当てられた場合に『Re:lation』から自動で通知が送られるので、二重対応が起きなくなりました。
中嶋さん:「担当者のアサイン状況」をよく確認しています。誰が何件の問い合わせにアサインされているか分かるだけでなく、未対応件数まで表示されるので、フォローに入るタイミングがすぐに分かるので便利です。
問い合わせ対応の漏れがゼロ件に!休暇取得時の案件引き継ぎもスムーズに
『Re:lation』導入後の成果についてお聞かせください。
武江さん:問い合わせ対応の漏れが0件になったことが最も大きな成果です。対応漏れが発生していないか確認するだけでも1日1時間は掛かっていたのですが、この手間と時間が省けたことで、より重要な業務にリソースを割くことができています。
中嶋さん:コンサルティングチーム内で担当者ごとの忙しさを、客観的な数字で表せるようになったことは大きな変化です。チーム内で案件の割り振りを調整する際は、現在の案件状況を確認することで、より実体に沿った議論ができるようになりました。
『Re:lation』の導入に関して、印象的なエピソードがあればお聞かせください。
武江さん:同じチームに所属する別の担当者が急遽、慶弔休暇を取得することになった際、案件の引き継ぎが非常にスムーズだったことが印象的ですね。常にお互いの案件を確認できる状態なので不明点はありませんでしたし、過去のメールを遡るのも簡単です。特別な申し送り事項がある案件にはコメント機能でその旨を残してもらいました。以前のようにGmailで対応していたら、こんなに簡単に引き継ぎはできなかったはずです。
休みになった場合に、周りからフォローされやすくなったことで、後ろめたさを感じることなく安心して休みを取得できる環境になったと思います。実際、直近でも1人の男性社員が育児休暇を取得し、現在チーム全体で抜けた穴をフォローしています。
『Re:lation』でさらなる業務の効率化と標準化を推進していきたい
今後の展望をお聞かせください。
中嶋さん:デジタル化やDXが上手く進んでいない企業様に対して、象徴的な取り組みとして「脱ハンコ」を掲げてデジタル化を推進していただくご支援をしていきたいと考えています。今年8月にIPAが公表したDXに関する調査では、その調査で回答協力を得られた企業の中でも8割以上が全社的にDXを推進できていない状況であることが明らかになっています。
デジタル化の進捗に課題がある企業様においても、まず契約領域をうまくデジタル化することができれば、その成功体験を次のデジタル化プロジェクトに役立てることができるはずです。私たちカスタマーサクセス部では、お客様の中長期の成果につながるような継続的かつ発展的なご支援を差し上げていきたいと考えています。
『Re:lation』について、今後どのように活用していく予定でしょうか?
中嶋さん:大きく2つあります。1つはさらなる業務効率化です。より多くのお客様に、より多くのご支援ができるように、定型化できる業務はワンクリックでも減らしていく姿勢で、内部の業務効率化に取り組んでいきます。
もう1つは、カスタマーサクセス部におけるナレッジマネジメントツールとしての活用です。Re:lationを上手く活用していくことで、組織的にコミュニケーション内容の改善を推し進めていくことが可能です。メールで日々活用している定型文を洗練させ形式知として共有することで、電話や商談時の会話内容も含めた品質向上につなげていくことができると思います。業務の標準化をさらに推し進め、お客様対応全体のクオリティ向上とメンバーのスキルアップにつなげていきたいですね。
『Re:lation』はどのような企業におすすめできるでしょうか。
堀井さん:お客様窓口がある企業は、ぜひ導入した方がよいと思います。既存のメーラーで充分と思われるかもしれませんが、お客様対応の課題を解消することは、お問い合わせにおける提供価値の向上につながるはずです。