カスタマーサクセスの立ち上げと同時にツール導入を検討。対応漏れの防止とコールセンターとの連携が課題に
カスタマーサクセスに注力されている背景をお聞かせください
尾﨑さん: ビューティー特化の動画メディア「DINETTE」を立ち上げた頃から、常にユーザーファーストでお客様が見たいもの、欲しい物をコンテンツ化することを心掛けてきました。
弊社がコスメのプライペートブランド「PHOEBE BEAUTY UP(フィービービューティーアップ)」を立ち上げ、まつげ美容液を販売したきっかけも、SNSを通して得られた声に押されてのことでした。
こうした背景から、お客様の声をデータ集計し、アウトプットに反映していくことが弊社の文化であり、他社ブランドとは違う強みです。だからこそ、購入いただいたお客様の声を集めていき、そして商品購入後の体験に満足いただくためにも、カスタマーサクセスに注力しています。
カスタマーサクセスの業務概要を教えてください
高橋さん:弊社のカスタマーサクセスでは、お客様からのさまざまなお問い合わせに対して、委託先のコールセンターと一緒に対応しています。電話やメールで寄せられるお問い合わせの中から、対応が必要な案件を私にエスカレーションしてもらい、お客様一人ひとりのお悩みを解決すること、そして解約率を改善することがミッションです。
また、解約率を改善するためにデータ分析にも取り組んでいます。定期購入の最適な頻度を検討したり、商品全般のご意見をまとめたりと、LTVを向上させていくこともカスタマーサクセスの重要なミッションです。
カスタマーサクセス業務では、メールと電話で1日何件の問い合わせがあるのでしょうか?
高橋さん:電話は1日で300件ほど、直近では月に8,000件ほどです。メールは1日でおよそ100件、月3,000件ほどになります。そのほとんどは委託先のコールセンターで対応しており、私が直接対応する問い合わせは、メールと電話を合わせて1日5件前後です。
カスタマーサクセス業務を立ち上げる際には、どのような課題があったのでしょうか?
高橋さん:一般的なフリーメールサービスを利用してお客様対応をする場合、対応が漏れてしまうことや、二重で対応してしまうことを恐れていました。また、カスタマーサクセスを立ち上げた1年前は、ブランドの露出が増えたことでお客様数も増えていたタイミングだったこともあり、ツールで一元的にお客様対応をまとめたいと考え始めたのです。
また、もう1つの課題が、委託先のコールセンターとお客様の対応状況を連携し、認識を合わせることでした。コールセンターでは以前から利用していたメールサービスがあったそうなのですが、使いにくかったり、情報を共有するには手間がかかったりと、課題も多かったのです。コールセンターで実際にご対応いただいている方は、全員がITのツール操作に慣れているわけではなかったことも、使いやすいツールの導入を進めた背景です。
ツールのランニングコストと使いやすさ、データ分析のしやすさを重視。決め手はECシステムとの連携機能
ツールの選定では、どのような要素を重視されたのでしょうか?
高橋さん:弊社のカスタマーサクセスはまだ立ち上がったばかりですので、コールセンターの担当者が増えることも変わることも珍しくありません。そのため、組織が変わるたびにツール利用の習得に時間が掛かってしまうと、事業全体のスピード感が損なわれてしまいます。そのため、ツールのラーニングコストが低いことが重要なポイントでした。
前職で私がカスタマーサクセスを担当していた頃は、外資系のカスタマーサポートサービスを利用していました。エンタープライズ向けのツールということもあり、細かいカスタマイズができるものの、しっかり扱えている社員はごく一部だったのです。結果、ツールの属人化が進み、担当社員が退職してしまうと、うまく設定が引き継がれないという問題が発生していました。
もう1つの要素として、データ分析がしやすいことも重視しています。ダッシュボードでは1日に何通メールが届いているかはもちろん、コールセンターが送ったメッセージ数を確認できることも必須でした。コールセンターの業務委託は、メッセージ単位で料金が発生する契約になっているため、現場担当者の作業量は常に把握したかったのです。
『Re:lation』をお知りになったきっかけと、ツールの比較検討についてお聞かせください
高橋さん:ECプラットフォームのecforceを提供されている、SUPER STUDIO社に『Re:lation』をご紹介いただきました。
比較検討については、コールセンターで以前導入していた問い合わせ管理システムと比べています。他社のツールは一般的なメールツールと変わらないなという印象で、確かにお客様へメールを送るという機能は備わっているものの、お困りのユーザの悩みを解決することに最適かどうか、疑問を感じたのです。
また、前職で使用していた外資系のカスタマーサポートサービスと比較すると、1ユーザあたりのコストは『Re:lation』のほうが圧倒的に安いです。そのため、今後カスタマーサクセスの社員が増えていく我々のようなベンチャー向きだと感じました。
『Re:lation』の導入を決定した決め手をお聞かせください
高橋さん:先ほどお話ししたツールの使いやすさとラーニングコストの低さ、データ分析のしやすさに加えて、弊社が使用しているECプラットフォーム、ecforceとの連携機能が決め手になりました。
両ツールを連携することで、ecforceの顧客管理画面に『Re:lation』でのやり取りをメモのように表示することができます。特にコールセンターで電話対応しているお客様とのやり取りが可視化されることで、弊社でも対応を引き継ぐ際の手間が減っています。
以上の比較検討の結果、カスタマーサクセスを立ち上げるタイミングで『Re:lation』を導入し、その後、お客様数の増加にあわせてライトプランからスタンダードプランにアップグレードしています。
2, 3日で導入が完了。お客様対応を統一できるテンプレート機能や、ラベル機能によるデータ分析が高評価
どのくらいの期間で『Re:lation』の運用が軌道に乗りましたか?
高橋さん:移管しなければならない過去の顧客データはなかったため、導入自体は2, 3日で終了しています。
コールセンターのツール習得もスムーズでしたね。新しいスタッフにツールを活用してもらった際にも、特にトラブルは起きませんでした。わざわざマニュアルを作る必要もなく、やはりラーニングコストを重視してツールを選定してよかったと思っています。
私自身、前職で外資系のカスタマーサポートサービスを初めて触ったときは、一通りの業務に必要な操作を習得するだけで、1週間以上も掛かっていました。しかし、『Re:lation』の場合は、アカウントを開設したその日に、一通りの機能と連携の仕様を理解することができたのです。
また、もし分からないことがあっても、操作画面右下のチャットボックスからご担当者に相談することができ、丁寧にご案内いただけたことも嬉しかったですね。
評価されている『Re:lation』の機能を教えてください
高橋さん:コールセンターからは、返信用のテンプレート機能が使いやすいという感想を聞いています。数えてみたところ、50件ものテンプレートを作成しているようです。
現場では、1人の担当者が作成したテンプレートがコールセンター全員に共有され、お客様ごとに対応が変わることで不公平感がでないように、対応内容を統一しています。
私の場合、よく活用しているのがクエリ作成機能です。自分自身でクエリをカスタマイズすることで、指定した検索条件に合致したチケットだけを一覧で表示することができ、例えば未送信のチケットだけをすぐ表示する、といった使い方をしています。
データ分析では、『Re:lation』をどのように活用していますか?
高橋さん:解約したいというお問い合わせに対して、その解約理由を抽出するためにラベル作成機能とデータのエクスポート機能を活用していますね。解約理由ごとにラベルを作成してお問い合わせを仕分けることで、解約の傾向をより深く分析できるようになりました。
この分析したデータは、CRMチームのKPIを策定する際に参考としたり、代表の尾﨑も参加する全社会議で使用したりと、さまざまなシーンで活躍しています。
『Re:lation』導入後、対応漏れやミスの発生はゼロ。コールセンター業務が効率化され、コスト削減にも効果が
『Re:lation』の導入でどのような成果がありましたか?
高橋さん:カスタマーサクセスの立ち上げと同時に『Re:lation』を導入しているため、分かりやすい前後比較はできませんが、これまでお客様の対応漏れやヒューマンエラーによる対応ミスは一切発生しておりません。
弊社では、平日のみのお客様対応としているため、どうしても月曜日にお客様対応の業務が集中してしまうのですが、テンプレート機能を活用することでコールセンターも月曜日から疲弊することなく業務に向き合えています。
想像の数字になりますが、もし『Re:lation』を導入せずに一般的なメーラーでお客様対応をしていたら、今の4倍くらいの手間と時間が掛かっていたのではないでしょうか。
また、費用の面に関しても、『Re:lation』の管理画面でメッセージ数を常に把握できることで、無駄なメッセージの送信を防ぎ、結果としてコールセンターの費用を抑えられています。
社内の評価や事業への影響をお聞かせください
高橋さん:コールセンターの担当者からも、新しいツール導入への不安や不便さはなく、問題なく業務を進められていると聞いています。
私個人としては、機能の開発スピードを特に評価しています。毎週金曜日には、何かしらのアップデート情報が送られてくるのですが、これは本当にすごいことです。しかも、カスタマーサポートの方に以前ご相談したようなアップデートもあり、私たちの声をしっかり聞いているのだと実感しました。
尾﨑さん:Instagramのメディアと比べても、ECサービスは拡大していくにつれ、お客様を意識する機会がどんどん減っていきます。
ブランドを立ち上げた初期は、私自身が1件1件の購入内容をじっくり確認していましたし、解約がある度に私をメールのCcに追加して、コールセンターとお客様のやり取りを追っていました。時には、私自身がDMを送ることも。
しかし、ブランドがある程度の規模になり、自前のCRMチームやCSのメンバーが活躍してくれるようになった今、いい意味でも悪い意味でも、お客様が見えなくなってしまうことがあるのです。
そんなタイミングで、『Re:lation』のデータが社内に展開されるようになったことで「購入の先にお客様がいる」という実感を得ることできるようになり、お客様の現状をデータとしても、生の声でも把握できるようになったと思います。
女性のお悩みを解決していくブランドとして、カスタマーサクセスを通じてお客様に向き合っていく
カスタマーサクセスについて、今後の展望についてお聞かせください
高橋さん:お客様がどんどん増えてきている中で、すべての声を拾うことが難しくなり、かつ複雑になってきています。だからといって、お客様の声に向き合うことから逃げてはいけません。
カスタマーサクセスとして、1人ひとりのお悩みに対してどのようなソリューションを提供できるか、いかに多くのお客様の声をデータとして拾うことができるか、常に考えていきたいです。
そのためにも『Re:lation』をより一層活用していき、得られたデータを会議の場だけでなく、現場のECチームや店舗スタッフにも伝え「私たちのお客様はどのような方々なのか」という実像をしっかり共有していきます。
ブランド全体について、今後の展望についてお聞かせください
尾﨑さん:会社として、まずは女性のライフスタイル全般のお悩みを解決していきたいですね。「PHOEBE BEAUTY UP」では肌、美容、メーキャップでお客様がコンプレックスに感じていることを解決し、より自分を好きになってもらうこと、美容を楽しんでもらうきっかけになれればよいなと考えています。