お客様の意図を汲み取り、社内とお客様を繋ぐ「ハブ」のようなカスタマーサポートを目指して
御社の事業概要についてお聞かせください
岸田さん:弊社はD2Cの黎明期より、D2CやEC事業者向けのサービスを提供しています。提供開始から13年が経つ単品・リピート通販向けのカートシステム『リピスト』を始め、ファッションブランド・アパレル事業者向けの『CLONA(クローナ)』、そして『リピスト』の後継プロダクトとなる『リピストX(リピストクロス)』が代表的なサービスです。
2022年8月にリリースされたばかりの『リピストX』は、既存の『リピスト』で提供してきた基本機能に加えて、お客様のD2C事業をさらに加速させる機能を実装しています。D2Cとはメーカーから直接消費者へ商品を届けるビジネスモデルのことで、まずは1つのジャンルに絞った商品を展開するケースがほとんどです。
黎明期のD2Cは、1つの商品のSKU(最小の管理単位)をそのまま継続していくことが多かったのですが、最近ではD2C事業の成功にあわせて既存商品を横展開していく企業が増えてきました。例えば、メンズ向けスキンケアブランドを扱っていたD2C企業が、既存商品のヒットと事業拡大に伴い、メンズのヘアケア領域の商品も展開していく、といったケースが挙げられます。
しかし、既存の『リピスト』ではこうした事業拡大に伴う、多商品展開に対応する機能が少々弱かったのです。そこで、新たに開発した『リピストX』では「よりどり販売機能」によってフレキシブルな定期コースを実装できるようになり、1つのブランドでSKUを横に展開することが可能になりました。サービス名に「X(クロス)」とあるように、D2Cにおいてもクロスセルが容易にできるようになったのです。
御社のカスタマーサポート業務では、どのような考えを大事にされていますか?
植村さん:弊社のCX部カスタマーサポートでは、私と北山の2名が主にマネジメント業務を担い、5名のメンバーがすべてのサービスにおけるお客様対応の実務を担当しています。
私自身の考えとして、カスタマーサポートは社内の部署同士を繋ぎ、そしてお客様とサービスを繋ぐ「ハブ」のような存在だと捉えています。お客様からの声や意見を営業に繋げたり、開発のチームに展開したりと適切に交通整理し、場合によっては社内エンジニアの見解をお客様に分かりやすく伝えることもあります。
「ハブ」であるカスタマーサポートがどのように機能するかによって、バッドエンドになりそうだった案件をハッピーエンドにもできると考え、日々の業務に取り組んでいます。
北山さん:カスタマーサポートとは、問い合わせされたお客様が本当は何を解決したいのか、問い合わせの背景や理由、要望をしっかり汲み取ることが重要だと考えています。実際にお客様の意図を汲み取ってみると、問い合わせいただいた内容ではない提案のほうがお客様にとってプラスになることも珍しくありません。
お客様の意図を丁寧に汲み取り、その上で回答することがカスタマーサポート業務で私たちが大切にしていることです。
お客様からの問い合わせは、1日何件ほど届いているのでしょうか?
植村さん:過去3ヶ月ほどのデータを確認すると、日によって件数の差はありますが、メールと電話がそれぞれ1日80件〜100件近くあります。メールと電話での問い合わせ内容に違いは特にありません。また問い合わせに付随してサポートチーム内での作業や他部署への連携が必要となり、サポートチームが1日で処理する作業は非常に多いです。
問い合わせの半数近くが、弊社サービスの基本的な使い方や操作方法、設定に関する内容です。その他には、ツールのトラブルやエラーの相談、日々の業務で困っていることに関する問い合わせになります。トラブルシュートに関しては、トラブルが起きた原因や状況によって対処が変わってくるため、過去の事例や他部署との連携が必須です。
また、『リピスト』を利用してくださるクライアント様の場合、広告掲載を行ってサイトの展開を行っている事情などもあり、問い合わせに対する早いレスポンスを重要視している傾向があります。そのため、問い合わせにクイックに対応するためには『Re:lation』は不可欠です。
クライアント様が広告をすばやく展開し、私たちサポートがお手伝いすることでPDCAを早く回すことが可能になっています。この点はクライアント様にも非常に好評いただいているので、今後も『Re:lation』をうまく活用しさらに良い評価を得られるようにしたいと思っています。
メール共有管理ツールを導入していたものの、メンバー間の問い合わせ共有や集計に難があった
『Re:lation』導入以前は、問い合わせ対応にどのようなツールを使用していましたか?
北山さん:2013年に私が入社する以前から、他社のメール共有管理システムを利用していました。その頃に感じていた課題として、担当者の把握が難しかった点が挙げられます。管理画面の視認性があまり良くなかったため、何通も問い合わせがきてしまうと、誰がどのメールを担当しているのか、パッと見で把握できなかったのです。それによって、誰が何件の問い合わせを抱え、どのくらい忙しいのかを管理することができていませんでした。
また、そのツールでは問い合わせ内容をメンバー同士で共有しにくかったため、こちらからの返答内容をブラッシュアップしたり、互いにフィードバックしたり、といったことが難しいという課題もありました。
さらに問い合わせ内容を集計できなかったため、お客様の声をFAQやシステムに反映する際も限定的な範囲でしか対応できていなかったことも課題でした。
ツール選定では、どのような要素を重視されたのでしょうか?
北山さん:2019年に『リピスト』が『Re:lation』との連携に対応したことをきっかけに、ツールの乗り換えを検討し始めました。
その際に重視した要素が、まず機能の使いやすさです。『Re:lation』は予約モードで送信時間をスケジュールできたり、後日対応するためにスヌーズ機能を活用できたりと、カスタマーサポートにとって便利な機能が揃っています。
また、他社システムの外部連携も高評価でした。弊社では社内コミュニケーションに「Slack」を、コールシステムには「OSORA」「InfiniTalk」などを採用しており、これらともシステム連携ができることは、導入の決め手になりました。
植村さん:加えて、『リピスト』と『Re:lation』がシステム連携していることも決め手の1つになっています。連携方法や使い方をお客様にご案内するためにも、まずは自分たちが活用し、その便利さを実感することが大事だと考えました。
ラベルやチケット、受信箱の設定。PRECSの『Re:lation』活用方法とは
『Re:lation』導入決定後の流れをお聞かせください
北山さん:『Re:lation』の導入自体は即決でした。導入決定から実際に社内へリリースするまでは、およそ2週間から1ヶ月ほどでした。
具体的には、1週間ほどで必要な初期設定を済ませ、1週間かけて社内の運用ルールを決め、あとはチーム内で簡単にミーティング兼勉強会を開催して順次メンバーが使用していく、という流れでした。
初期設定では、今後問い合わせ内容を集計していくことを考慮して、ラベル設定に最も時間をかけています。また、チケット設定でも問い合わせ内容を細分化してメールと電話に紐付け、週1の頻度で集計しています。集計の結果、何件の問い合わせがあったかを確認し、必要に応じてカスタマーサポートの業務に反映させています。この集計したデータは部署内にも共有し、今後の方針を決めていく際の参考にしています。
見ただけでだいたいの操作方法が分かるため、社内にマニュアルはありません。ラベル設定のルールについてテキストでまとめている程度です。
届いた問い合わせの担当者は、どのように振り分けているのでしょうか?
植村さん:弊社では余裕があるメンバーが能動的に担当者になるスタイルです。ただ、特殊な案件や慎重な対応が必要な際にのみ、チーム内で相談して分野ごとに得意なメンバーが担当することもあります。
便利だと感じている機能をお聞かせください
植村さん:複数問い合わせされるお客様の中には、以前の問い合わせのリプライに続ける形で別件の問い合わせをされるケースがあります。そのまま問い合わせを受けてしまうと、実質2回の問い合わせが1回と集計されてしまうため、1つのチケットを2つに分ける機能で切り離し、別件の問い合わせとして対応しています。
現在、受信箱は9つ設定されていますが、どのように使い分けているのでしょうか?
植村さん:まず『リピスト』、そして『リピストX』とサービスごとに受信箱を分けて対応しています。その他には、オンボーディング専用の受信箱も設定しています。というのも、サービス導入初期はアカウント発行や初期設定が必要になるため、問い合わせ数も増えるのです。そのため、効率的にオンボーディング対応するために受信箱を分けています。
残りは、別の業務分野やカスタマーサポートとは別の部署がそれぞれの受信箱を使用しています。
以前のツールと比較し、社内連携にかかっていた時間と手間が半分に!
『Re:lation』導入後の成果についてお聞かせください
北山さん:以前導入していたメール共有管理システムでは、お客様からの問い合わせに対する社内連携に時間がかかっていました。例えば、「誰が担当するか」「どのように返答すればよいか」といった相談です。
『Re:lation』の導入によって、この社内連携の時間と手間が半分以下になりました。『Re:lation』を見れば、どの問い合わせに誰がアサインされているかひと目で分かりますし、担当者がまだ振り分けられていない案件もすぐに分かるので、対応が漏れてしまう不安もありません。
植村さん:担当者ごとにアイコンの色を分けているため、現在誰が忙しいか、逆に誰に新規の問い合わせ対応をお願いできそうかひと目で判断できるのは便利ですね。以前のツールの場合、担当者が気づかないうちに案件を抱え込んでしまうことがあったのですが、今では他のメンバーが気付いてフォローすることができるようになりました。
『Re:lation』に対して現場のメンバーからはどのような感想がありましたか?
植村さん:『Re:lation』は私たちの業務に溶け込みすぎていて、これまでネガティブな反応や「使いにくい」「こんな機能があったらよかったのに」といった声を聞いたことがありません。
北山さん:以前のツールと比べても返信スピードは上がったと思います。対応漏れがなくなったこと、返信スピードが向上したことは、間接的に顧客満足度の向上に貢献できているはずです。
『リピストX』と『Re:lation』の連携に対する感想をお聞かせください
岸田さん:D2C事業者の方にとって、定期解約に関する問い合わせに対して瞬時に対応することが、LTVや継続率を高めるために重要な要素になります。今回の連携によって、ワンクリックで『Re:lation』と『リピストX』の画面を行き来できるようなったため、お客様対応を担当している方の業務が格段にスムーズで効率的になりました。
例えば、『リピストX』のコールセンター向け管理画面からワンクリックで『Re:lation』上のタイムラインをさかのぼることができるようになり、コールセンターのオペレーターは、電話口でお話しされている方の情報を簡単に瞬時に確認できるようになっています。
結果として問い合わせの対応スピードが速くなり、コールセンターの担当者様からは「連携してよかった。ありがとうございます」というお声をいただきました。
カスタマーサポートにとって、『Re:lation』は「ハブ」のような存在
今後の展望をお聞かせください
植村さん:2022年8月にリリースされたばかりの『リピストX』は、今後ユーザー数が増えていくだろうと考えており、それに比例して問い合わせ件数も増えていくはずです。場合によってはカスタマーサポートの人員を増やすことにもなりますが、『Re:lation』であれば新しいメンバーが使用する際にもスムーズに進みそうです。実際、これまでカスタマーサポート業務が初めての新入社員もいましたが、特に問題もなく『Re:lation』を使い始めることができました。
『Re:lation』活用の展望として、集計した問い合わせ対応のデータをさらに有効活用していき、お客様ごとの傾向や対応フローを整備することでサービス体験の向上を目指したいですね。
『Re:lation』はどのような企業におすすめできるでしょうか?
植村さん:カスタマーサポートに限らず、グループでお客様の問い合わせ対応をする企業は絶対に導入すべきです。確かに、既存のメーラーでもCcやメーリングリストなどを活用すれば最低限のメール共有はできます。しかし、既存メーラーでは対応漏れや検索性が悪いなどお客様対応を重視する企業にとっては不十分です。
例えば、『Re:lation』の担当者振り分け機能では、手動でも自動でも担当者を簡単にアサインできるので、担当者不在でお客様対応が漏れるということもなくなりました。2名以上のグループでお客様対応にあたっている企業には、特におすすめできると思います。
『Re:lation』を一言で表すと、どのようなツールでしょうか?
植村さん:私たちのチームにとっては要となる「ハブ」のような存在です。カスタマーサポートのメンバー同士やお客様とカスタマーサポートを『Re:lation』が繋いでおり、様々な業務ツールとも紐付けています。カスタマーサポート業務における重要な心臓部であり、なくてはならないツールですね。